第三十話 売れる商品
チーム『Thankone』のチャットルーム。
ミーナ | みんなはどんなお店に行きたいって思うんだろね。
ル カ | 私は、おしゃれで美味しいお店!
ショータ| オレは独自のメニューがあって、話題になっているお店とかかな。
ル カ | 盛り付けとか、おしゃれだったり、可愛かったり。
ショータ| 食べ方が変わっていて、楽しめたりするのも良いよね。
ミーナ | あー、そういうの。話題になってたりすると、行きたくなるよねー。
KIKU | 私、ユニークな演出を提供するお店、ピックアップしてみようか?
ミーナ | KIKUちゃん、それ良いかも!よろしく!
KIKUはユニークな演出をする飲食店のリストを出す。
ル カ | 面白いお店、いっぱいあるね!
ショータ| いろんなアイデアがあって刺激になるなぁ。
ミーナ | このフライドポテトのチーズフォンデュ食べたいなー。
ル カ | それ!めっちゃカロリー高そう!
ショータ| ビール飲みたくなる!
ミーナ | この和風パフェすごいねー。
ル カ | 蓮根チップのデコレーションがおしゃれ!
ショータ| 抹茶アイス、黒胡麻アイス、ホイップ、揚げ煎餅、黒蜜。さらにメロン。
ミーナ | 映えるねー。
ショータ| なんかオレ、これ作ってみたいかも。
ル カ | えー?作れるの?
ショータ| なんか、オレにも出来そうだなーって。
ミーナ | 真似っこじゃダメよ。
ショータ| もちろん。オリジナルのパフェ。
ル カ | 例えばどんな?
ショータ| 白と黒のコントラストに、赤をアクセントに使う感じ。とか。
ミーナ | 色!?味じゃなくて!?
ル カ | おしゃれ感はありそうだね。
ショータ| 味の設計は後からでも良さそうじゃない?
ミーナ | そうなのかなぁ。どう?KIKUちゃん。
KIKU | 発想がすごいと思う!普通は味からだけど、見た目から設計するって、ショータくんらしいよね!
ショータ| 現代のグルメはそこ重要じゃない?
ル カ | たしかに!
ミーナ | うん。写真とか動画を見てお店を知るんだもんね。
ショータ| 料理の写真だけじゃないよ。例えば板前さんが魚を捌いている動画とか。
ル カ | あー、良い仕事してる感!そういうお店行きたいなぁ。
ミーナ | 高そうだけどね。
ショータ| お店によるよ。パフェなら、例えば、盛り付けをしてる動画。
ル カ | それ見たいかも!下から積み上がっていくんだね。
ショータ| そうそう。それを、三倍速でとか。ポップな感じに作ると良いだろなぁ。
ル カ | なるほど!ねぇ、KIKUちゃんって動画も作れるの?
KIKU | もちろん!AIは動画も作れるけど、お店の動画なら実物を撮影したのを編集するのが良いと思うよ。
ミーナ | そうなの?
KIKU | うん。写真や動画を見たお客さんが、実物を見てがっかりするっていうの、マイナスになるから。
ル カ | それ!ほんとに、そう思う!
KIKU | スマホでキレイに写す撮影方法とか、撮影した映像を編集する時のアドバイスもできるよ。
ショータ| AIが作った動画じゃダメって事?
KIKU | ダメではないけど、情報を作ることよりも、実物や実体験の価値が大事なんだと思うの。
ショータ| 実体験か。
ミーナ | どんな体験ができるのか、って事がお店にとって大事なんだね。
ル カ | うんうん。何だか見えてきた気がする。
ショータ| ボスからのお題。どんな店が流行るのか、だね。
ミーナ | ねぇ、KIKUちゃんはどんなお店が流行るんだと思う?
KIKU | 流行るって、たくさんの人に注目されて、興味を持たれるって事だと思う。
ショータ| 注目、興味って、なんかマーケティングの理論があったよね。
KIKU | うん。AIDAとか、AIDMA理論の事だね。
KIKUは『AIDMA理論』について説明する。
ミーナ | うーん、なんか難しいなぁ。
ショータ| 要するに、段階を追って考えようって事だね。
ル カ | うんうん。あー、懐かしいなぁ、学校で習ったー。
KIKU | 流行るお店を作るためには、注目される事がまず大事。でも、その後の段階も大事なんだと思う。
ミーナ | つまり、実体験が伴ってこそって事ね。
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「ハリーさん、『チーム男闘児』のみなさんと行くお店ってどこですか?」
ルカが尋ねる。
「うん、まだ決まっていないんだけど、候補はいくつかあるよ。
カジュアルなレストランか、ピッツェリアか、バル。」
ハリーはAIが作ったリストを見せる。
ルカはスマホで検索する。
店名。
画像。
紹介文。
評価点。
場所。
予算。
「どんなお店か、想像しているだけで楽しくなりますね。」
「うん。
でも実際に行ってみないとわかんないけどね。」
「それはそうでしょうけど•••。」
ハリーは微笑む。
「みんなで行って、楽しめれば良いよね。」
ルカはうなづく。
「はい!
その通りですよ。」
「いつにしようかな。」
「週末ですかね。」
「じゃ、金曜日にしようか。」
⸻
週末。
金曜日。
仕事の後。
ピッツェリアに集合。
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「ミーナさんは、約束があるから来れないんだっけ。」
「はい。
女子は二人です。」
ルカ。
ヨーコ。
ハリー。
アラン。
マサル。
五人がテーブルに集う。
ピッツァとドリンクを注文する。
芳ばしい香りが漂う店内。
冷たいおしぼり。
文字とイラストのメニュー。
店内には観葉植物の鉢。
ドラセナ。
ベンジャミン。
モンステラ。
「思ったより静かなお店だね。」
「まだ時間が早いんですよ。」
ハリーは腕時計を見る。
午後6時。
カウンターの向こうに調理場。
生地を手先でクルクルと広げている。
「すごい。
慣れた手つきだね。」
「ああいうの、生で見るの初めてです!
感動ー!」
アランが口を開く。
「あれ、結構難しいんだよ。」
「挑戦したことあるのね。
アランくん。」
ヨーコが聞き返す。
「この店の生地は、あの伸ばし方に合わせたレシピになっているんで。
試作したの、オレだから。」
「あら、そうなのね。」
「特注の生地なんですね。」
ルカ。
「うちの会社、オーダーメイド対応しているんだよ。」
ハリー。
「そうっすよね。」
マサルが会話に加わる。
「結構、いろんなブレンド比率があるんすよ。
こね方や発酵の時間も違ったり。」
ヨーコがうなずく。
「ピッツァ生地の商品だけで何種類もあるのはそういう事よね。
卸価格もお店によって違っているの。
だから結構複雑なのよ。
経理業務。」
「なるほどー。」
ルカは納得する。
コトン、コトン。
ドリンクがテーブルに届く。
「じゃ、お疲れさま。」
「カンパーイ!」
カツン。
グラスを軽く当てる。
「ぷはー、ビール良く冷えてるー!」
⸻
カラン、カラン。
「いらっしゃいませー。」
店員の明るい声。
店に新しい客が入ってくる。
ハリーたちのテーブルの横を通る。
「あれ?」
ルカが客に気付く。
「うん?」
ハリーが振り向く。
男性が二人。
「あー!
カイトくん!
それと、ショータくんも。」
「ハリーさん!
みんなも。
お揃いっすね。」
「奇遇だねー。
オレたちも来たばっかりだよ。
一緒にどう?」
「えぇ?
良いんすか?」
「良いよ、良いよ。
みんなで一緒にピッツァ食べよう。」
テーブルに二人が加わる。
焼きたてのピッツァがテーブルに届く。
二人のドリンクも運ばれてくる。
「じゃ、改めて。
お疲れさまー。」
「カンパーイ!」
⸻
賑やかになる店内。
「いらっしゃいませー。」
店員の声。
「あれ?」
ルカ。
「うん?」
ハリー。
カップルが立ち止まる。
「リッくん!
ミーナさん!」
「げ。」
「あー、うわー。
みんないるー。」
「えー?
何なに?
二人、そういう仲だったの?」
「あー、いや、なんつーか。」
「えっとー、仕事の延長っていうか、勉強っていうか•••。」
「ミーナのお相手はリッくんだったのかぁ。」
ルカが笑顔でミーナに言う。
「あー、ごめん、ルカ。
先にリッくんと約束してたから。」
「良かったら一緒にどう?」
ハリーは二人をテーブルに誘う。
「ちょっと、ハリーさん。
二人の邪魔に•••。」
小声のルカ。
「えー、良いんすか?」
リクは即答。
「良いよね、マネージャー。」
「ううー、うん。
そうだね。」
リクは隣のテーブルから椅子を運ぶ。
「あ、店員さん!
こっちのテーブルに加わりますんでー。」
店員はすぐにテーブルを繋げて拡張する。
ミーナはルカの隣に座る。
「良かったのミーナ?
せっかくのデートなのに。」
「ううーん。」
追加のピッツァが届く。
ドリンクも届く。
「えーと、じゃーまた改めて。
お疲れさまー。」
「カンパーイ!」
賑やかになるテーブル。
「おいしー!」
ピッツァを食べるミーナ。
「おぉ、オレが作ってる生地が、こうなるんだ。
めっちゃ感動ー!」
リクも食べる。
「えーと、何人いるんだ?
ひーふーみーよー•••。」
「九人ですね。」
「あはは、そんなにいるんだ•••。」
ハリーは耳の後ろをかく。
⸻
カラン、カラン。
「いらっしゃいませー。」
店員。
「あれ?」
ルカ。
「う、まさか•••。
また?」
振り返るハリー。
「おー、やっぱりここか。
しかも、こんなにいるのか。」
「そうだね。」
サブローとジョー。
「ボス!」
「常務!」
社員たちの声が重なる。
「今日あたり、どこかで集まっていそうだったからな。
得意先を回って来たんだ。
挨拶がてらな。」
「そうだったんですね。
どうぞ、ぜひぜひ、ご一緒に。」
ハリーはサブローに席を薦める。
狭いテーブルに大人数。
ハリーとカイトは立ち飲み。
「いやー、渡りに船だな。」
「え?
なんすか、それ。」
「なんでもないよ。」
ハリーは笑う。
賑やかなテーブル。
焼きたてのピッツァが届く。
ドリンクも届く。
「じゃー、改めて。」
「何回目だっけ?」
みんな笑う。
「カンパーイ!」




