第271話 助っ人
空港にやってくると、2人を待つ。
すると、飛空艇が空港に降りてくるのが見えた。
「来たみたいだな」
「そのようですね」
俺達がそのまま待っていると、空港から人が出てくる。
その中には黒髪の女性と赤みがかかった金髪のチビがいた。
もちろん、サシャとゾフィーである。
2人はきょろきょろとリートの町並みを見ていたが、すぐに俺とヘレンに気付き、こちらにやってくる。
「ジーク先輩、ご無沙汰しています」
「どうも。あんた、また迎えにきたわけ?」
サシャは後輩らしく丁寧に挨拶をし、妹弟子はいつものように生意気だ。
「わざわざ来てもらったわけだからな。迎えにくらい来るさ」
ヘレンもうんうんと頷く。
「男だったら来なそう……」
うーん……
「……行かなくていいのか?」
一応、ヘレンに確認。
「いや、行くべきですよ」
そうだよな。
「ゾフィー、俺は誰であろうと行くぞ」
「あんたがヘレンに言われて、ここにいるのがよくわかったわ」
まあ、それはそう。
「実際に来たんだから何でもいいだろ。サシャ、昼食はまだだよな?」
「ええ。ゾフィーさんが着いたら美味しい魚屋さんを紹介してくれるって言うもんですから」
「本当に美味しいのよ」
うーん……
「サシャって、俺やアデーレの一個下だよな?」
あと学校は違うけど、レオノーラ。
「そうですね。先輩方の一学年下です」
つまり21歳くらい……
「ゾフィー、サシャはお前の一つ上の先輩だぞ」
ゾフィーも同じ学校だ。
「うるさいわねー……」
「ジークさん、いいんですよ。ゾフィーさんはそういう人なんで……」
まあ、そうだが……
「あれ? 私、ジーク以下? サシャ……先輩……」
なんかめちゃくちゃ悩み始めた。
人見知りに余計なことを言ったようだ。
「いや、いいですから」
「そ、そう? そうだよね」
ゾフィーはずっと年上の連中とこんな感じだったから目上の人間に対する接し方が下手くそなんだよな。
なお、これも口には出さない。
絶対に『お前が言うな』だから。
「ゾフィー、昼飯と共に町を案内してやれ。それで午後から支部に来い。仕事の説明をする」
「う、うん。案内って言われてもあんま知らないけどね」
2人が昼食に行ったので支部に戻った。
すると、3人娘はすでに昼食を食べていたので2人が来たことを伝え、俺も弁当を食べる。
そして、そのまま待っていると、玄関に2人の姿が見えたので受付に向かった。
「よう」
2人がエントランスの隅にある廃品の山をじーっと見ていたので声をかける。
「うん……何あれ? せっかくの新築なのにゴミ屋敷にするんじゃないわよ」
失礼な。
「仕事に関係するんだよ。いいからこっちに来い」
2人を受付内に入れると、一緒に共同アトリエに向かった。
「あ、王都ぶりです」
「やっほー」
「よく来てくれたわね」
3人娘が笑顔で出迎える。
「ゾフィー、サシャ、知ってるだろうが、エーリカとレオノーラとアデーレだ」
「もちろん、知ってるわよ」
「お久しぶりです」
うんうん。
あとは……あれ?
「ゾフィー、お前、前に来た時に支部長に会ったか?」
「挨拶はしたわよ。怖そうな元軍人さんでしょ?」
あ、知ってたか。
「ならいい。とはいえ、挨拶には行こう。サシャは初めてだしな」
「まあ、そうね」
「お願いします」
2人を連れて、支部長室の前まで行くと、ノックをする。
「支部長、本部からサシャとゾフィーが応援に来てくれました」
『ちょっと待ってろ』
そう言われたので待っていると、扉が開き、支部長が出てきた。
「支部長、ゾフィーは前も来ましたが、こちらは本部のサシャです」
支部長に紹介すると、サシャが頭を下げる。
「本部で受付をしているサシャ・アーレンスです。魔法学校ではジークさんやアデーレさんの後輩でした。よろしくお願いします」
サシャの名字を初めて知りました。
「ああ。確かに本部に電話したら出てくる声だな」
「ええ。そういう意味ではご無沙汰しております」
まあ、支部長も本部には電話するか。
「そうだな。2人共、よく来てくれた。こちらはちょっと仕事が溜まっていたので助かる。俺は元軍人で錬金術のことはさっぱりわからないから何かあったらジークに言ってくれ」
丸投げ。
「わかりました」
「今回もよろしく」
「ああ。ジーク、俺は町長のところに行ってくる。後のことは任せたぞ」
そのまま直帰ね。
「わかりました」
頷くと、支部長が帰っていった……いや、町長のところに行った。
「本当に軍人さんですね。強そうです」
「ねー……なんで錬金術師協会の支部長をやっているのかしら?」
天下り。
まあ、言わんでいいか。
「サシャ、お前の席はアデーレの隣だ。ゾフィーは前と一緒な」
そう言って席につくと、サシャがアデーレの隣に座り、ゾフィーが俺の隣に座った。
「先輩、隣ですね」
「そうね。わからないことがあったら言って」
「ありがとうございます」
美しい先輩後輩の関係性だ。
そう思って、ちらっとゾフィーを見ると、目が合った。
「隣だな」
「そうね」
「わからないことがあったら言えよ」
「ないわよ」
…………俺達は美しさも何もないな。
まあ、これがツェッテル一門だ。
悪いのは本部長。
「お前の隣は明日から来るマルティナだ。わからないことだらけだろうから教えてやれよ」
一緒に釣りをしたチビ仲間だろ。
「マルティナには女王ハムスターがいるわよ」
それもそうか。
あいつがいればどうとでもなる。
「そうだな。じゃあ、お前らに頼みたい仕事の説明をしよう」
「何なの? 飛空艇でも作る?」
作るわけないだろ。
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