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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
7  二つの塔攻略
589/999

7-22 競売開催の案内

―1―


 本社の自室でごろごろと芋虫スタイルを満喫しているとお腹が空いてきた。あ、14型さん、ご飯お願いします。いやぁ、最近は忙しかったからね、こう、ゴロゴロとして今までの分を取り返さないとッ!


「マスター、お食事を持ってまいりました」

 しばらくすると14型が料理を持ってきた。今日の料理は、と。


 何かの饅頭と焼いたお肉に香辛料を包んだもの、それに海鮮スープか。最近、饅頭系が多いけどさ、ポンちゃんの中での流行なのかなぁ。

「では、マスター、どうぞ」

 14型が俺の口を、その怪力で無理矢理引き開け、その中へ料理を詰め込んでいく。

「マスターの小さな手では料理を食べるのが難しいでしょう」

 いや、お前、お前、俺はサイドアームがあるから、自分で食べれ、だから、やめろって。


 さらに水を無理矢理口の中へと押し込む。ぶへ、溢れるって。こいつは、俺をどうしたいんだ。お前の親切心は分かるが、無茶だからな、無理だからな。俺、死んじゃうからな。


『14型、やめろ』

 俺が天啓を飛ばすと、14型はやっと手を止めた。まったくポンちゃんの料理が味わえないじゃないか。


 もしゃもしゃ。


 饅頭は海鮮風だな。ホント、色々な饅頭を作ってるなぁ。そういえば、最近、結構、海鮮料理が増えてきたよな。これもファット団の皆が頑張っているからだろうか。


「ところで、マスター、下にフー家の者が来ていたようですが、どうしますか?」

 フー家? って、キョウのおっちゃんかッ! それを早く言え!

『会おう』

 食事を置いて部屋を出ようとしたところで14型が再度話しかけてきた。

「食事はどうされますか? フー家の者も食事中のようですから、急がれる必要は無いのですが」

 14型さん、そういう情報は早く言って下さい。


『では、食事をしてからにしよう』


 もしゃもしゃ。


 まぁ、キョウのおっちゃんと一緒に食事ってのも悪く無いけどな。




―2―


 下に降りると食事を食べ終わったキョウのおっちゃんがいた。こちらに気付いたキョウのおっちゃんがニヤリと笑う。

「ランの旦那、また商会が大きくなったようなんだぜ」

 うむす。飛ぶ鳥を落とす勢いなんだぜー。


『キョウ殿、今日はどういった用件で?』

 俺が天啓を飛ばすと水のうまさに感動していたキョウのおっちゃんが口を開いた。

「この水は最高なんだぜ。これが飲み放題とは……っと、ランの旦那、ランの旦那の商会に呼び出しがあったんだぜ」

 えー、また? また八常侍とやら? 面倒だなぁ。


 そういった俺の気配を読み取ったのか、キョウのおっちゃんが手を振る。

「違うんだぜ。帝国の属領の一つが、今度、大規模な競売をする予定なんだぜ。それに大商会になったノアルジー商会も参加しないかって話なんだぜ」

 へー、競売か。最近、似たような話を聞いたな。

「まぁ、俺が持ってくるほどの話じゃないんだが、ランの旦那は俺の知り合いだから、俺が来たんだぜ」

 お、何気に俺は偉いんだぜアピールしてますな。まぁ、実際、キョウのおっちゃんって結構、お偉いさんぽいもんなぁ。闘技場で戦ってたのに、戦ってたのにッ!


『キョウ殿も行くのか?』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんは手を振った。

「いかない、行けないんだぜ。俺も忙しいんだぜ。国の一大事か魔族関係でもなければ帝都から出られないんだぜ」

 忙しい割には、ちょくちょく、うちの食堂でタダ飯を食っている姿を見られているようですが、そこんところ、どうなんでしょうか。まぁ、俺がキョウのおっちゃんと会うのは久しぶりだけどさ。俺、忙しかったもん。


『場所は?』

 俺の天啓を受け、キョウのおっちゃんがニヤリと笑う。

「ナリンなんだぜ」

 そう来たか。


 何だろうなぁ、これは。俺をナリンに連れて行こうという運命的な何かが働いているとしか思えない感じだよな。裏から手を回されているというか。


 むむむ。


 いやまぁ、さすがに俺がさ、そんな裏から手を回されるほどの大物ではないって分かってるけどさ、それでも全てがそこに集約しているようで気持ちが悪いんだよな。


 ここまでお膳立てされるとさ、逆に裏を掻きたくなっちゃうんだが、ダメかなぁ。


「場所なら迷宮都市からの方が近いが、こちらからでも案内人は出せるんだぜ」

 あー、そうか。キョウのおっちゃんは俺が迷宮都市とこっちを行き来している情報は得ているのか。その情報を得ていて、(いやまぁ、《転移》スキルを知っているキョウのおっちゃんなら気付いて当たり前なんだけどさ)俺を利用しようって考えないんだから、キョウのおっちゃんもお人好しだよな。


 俺が言うのも何だけど、国のお偉いさんでそれはダメだと思うんだぜー。くっくっくっく。


 まぁ、アレだよ。


 何が待ち構えているか分からないけどさ、行ってみますか、ナリン。


 まぁ、運良く空飛ぶ魔獣が手に入ればラッキーだし、妖精の鐘が手に入ればもっとラッキーって感じでさ、行ってみますかね。


 どんな国なんだろうなぁ。ま、行ってみれば分かるか。


『いや、迷宮都市側から行くとしよう。キョウ殿、かたじけない』

 俺の天啓にキョウのおっちゃんは片手を振っている。

「いいって、俺とランの旦那の仲なんだぜ」

 なんだかんだでキョウのおっちゃん、いい人だよな。ホント、眠たそうなおっさん顔なのにさ。


『で、開催時期はいつなのだ?』

 それ重要だよな。

「一月後を予定しているらしいんだぜ」

 一月後か。結構、日数に余裕があるな。まぁ、移動距離とか考えたら、そんなもんか。これでも結構、ギリギリの日程での招待かもしれないな。

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