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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
6  空中庭園攻略
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6-37 スターダスト

―1―


 武器はサイドアーム・アマラに真紅妃、サイドアーム・ナラカにスターダストだな。槍ではなく、剣なのは、もう気にしないことにしよう。後は氷魔法が使えるように《スイッチ2》に水天一碧の弓を準備してっと。コレ、氷魔法のために弓を持たないとダメだから不便だよなぁ。砂漠に水属性が無いってのが、ホント、不便です。何か腕輪のようなモノで代用できると簡単でいいんだけどな。

 さ、準備完了だね。


 さあ、行くかッ!


「待って欲しいですわぁ」

 俺が鍛冶工房を出ようとした所でフルールの待ったがかかる。


 もう、何かね。俺の出鼻をくじくなぁ。

『急いでいるのだが』

「スターダストの説明がまだですわぁ」

 あ、そういえば、そうだった。うーむ、考えが試し切りと助けに行く方に、完全に向いてしまっていたな。

 手短にお願いしまーす。


「スターダストは《変形》機構がついているんですわぁ」

 へ、変形だと。

『変形させる方法は?』

「スキルの発動と同じだと思いますわぁ」

 な、なるほど。


 試すのはすぐ終わるから、それくらいなら急いでいる時でも大丈夫だよね。よし、やってみよう。


 スターダストを持ち、スキルを発動させるように変形させてみる。


――《変形》――


 スターダストの握り部分についている刃のようなナックルガードがスライドし裏返る。そして中から柄部分が伸びる。先程、剣の柄だった部分が単純に倍になっていた。


 こ、これは……。


 や、槍になッただと!


「スターダストは剣形態と槍形態の二種類を持った武器ですわぁ」

 フルールはドヤ顔だ。普段は殴りたくなるくらいに小憎たらしい笑顔だと思っていたが、今日は許すよ、特別に許すよ。


 格好いいじゃん。


 変形する武器とか最高じゃん。


「持ち運ぶ時は剣形態にすると便利だと思いますわぁ」

 確かにな。と言ってもさ、槍よりは短いけど、結構長めの剣だから邪魔になるのは変わらないよな。持ち運ぶ時は《スイッチ》スキルの亜空間の中に入れておこう。

「剣形態は何かの属性が邪魔して魔法付与が出来ないのでお気を付けですわ。槍形態なら大丈夫ですわぁ」

 なるほど。


 真銀の槍みたいに魔法付与は出来ないのか……。それは、それでがっかりだなぁ。まぁ、でもさ、槍形態ならエンチャントが出来そうだし、そっちはエンチャントしながら使おう。


『わかった。フルール、最高の武器だ。有り難く使わせて貰う!』

 さあ、今度こそ出発だ。


 向こうの状況は分からないけど、急がないとな。


 羽猫と共に鍛冶工房を後にする。


――《転移》――




―2―


 王城の西の中庭に降り立つ。あー、だから、もう王城にチェックを入れる必要が無いのにッ! 今度、こっちのノアルジ商会の支社の庭にでもチェックしておくか。うん、そうしよう。


 まずは採掘場に急がないとな。いや、冒険者ギルドで情報を手に入れた方が良いのか? クエストとして受注出来るかもしれないしなぁ。う、うーん、悩むな。


 ……。


 いや、自分のところの商会の問題だからな、俺自身の手で解決しよう。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、飛ぶ。


 迷宮都市の外壁を越え、しばらく進んだ所で数十人の冒険者らしい格好の一団と、それを先導するように動く、同じく数十人ほどの兵士らしき一団が見えた。もしかして採掘場の討伐の為の部隊か? もう、動いているのか。先走ったけどさ、意外と、俺、必要無かったのか……?


 先頭は……イルックさんか。一応、顔見知りだし、挨拶だけはしておくか。


 遠回りするように空を飛び、兵士の一団の前方に降りる。そして、そのまま兵士たちが俺に追いつくのを待つ。

「隊長、前方に魔獣が!」

「よく見やがれ! アレは魔獣の姿だが、冒険者のランだ」

 イルックさんが隣の兵士を軽く小突いていた。


『行軍中すまない。これは、うちの商会の採掘場に現れた魔獣の討伐軍で間違いないだろうか?』

 これで違っていたら恥ずかしいな。

「うちの商会……? ミラン商会の……、いや、今はノアルジー商会の、だな。その商会の採掘場に現れた魔獣の討伐軍よ!」

 あっていたか。でもさ、これだけの軍や冒険者が(それこそ100人近い規模だぞ)投入されるってさ、結構、大きな問題になっているのか?

『結構な数だが、それだけ大事ということか?』

「ヤズ様のご命令よ。ノアルジー商会は迷宮都市の生命線とも言える水と食料の提供を約束してるらしいからよ。だから、皆、士気も高いぜ」

 えーっと、何が、だからか、わかんないんですけど。俺、そんな約束した覚え無いんですけど……。

「ランも参加するのか?」

 えーっと、いや、あの……。

『いや、自分の商会のことだからな。一人で動こうと思う』

 酒樽のようなイルックさんがヤズ卿と同じような豪快な笑い声を上げる。

「そうか、そうか! わーったぜ」


『俺が先行して様子を見てこよう』

 そのまま倒しても問題なかろう、なのだ。

「おうよ。ラン、無理はするなよ!」

 イルックさんが片手をあげる。それに俺も小さな手を上げて応える。おうさ、無理はしないぜ。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルを使い、飛ぶ。


 うーむ、人の規模を見る限り、結構、大事になっているみたいだなぁ。イルックさんには自分の商会のことだからって格好つけたけどさ、大丈夫なんだろうか。

 ま、まぁ、無理そうなら逃げよう。


 うん、そうしよう。


 逃げて、合流して、皆と協力ってのも有りだよな。


 さあて、どんな魔獣がいるのやら。

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