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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
437/999

5-131 一時の別れ

―1―


「ラン、また!」

 ジョアンが王者の盾を高く、高く、掲げる。


『ああ。ジョアンも神国で頑張れ』

 俺は真銀の槍を掲げ、応える。


「ラン、またなのじゃー」

 姫さまが貝殻で作られたブローチを掲げる。おー、アレは。ちゃんと持っていてくれたんだな。


 俺は夜のクロークに付けている貝殻のブローチをサイドアーム・ナラカで引っ張り姫さまに見せる。俺もちゃんと付けてるぜ。


 赤騎士がこちらへと手を振り、青騎士がお辞儀をする。ああ、当たり前だけど、2人も国に帰るんだな。


「セシリア姫が国に帰る……か。はっはっはっはっは!」

 獅子頭のヤズ卿が俺の前に出る。そして、何故か俺の頭の上に手を置き、羽猫をなでる。

「にゃ!」

 何で、羽猫をなでてるの、この人。

「これでやっと神国と交易再開だね」

 聖騎士長さんも俺の横に立つ。そして、何故か獅子頭のヤズ卿と同じように羽猫をなでる。

「にゃにゃ!」

 だから、なんで、羽猫をなでるんだよ。


「そう言えば、風の噂で聞いたのだがね。故郷のナリンに赤竜素材を渡して支援してくれたノアルジーという帝国貴族が居たみたいなんだがね」

 聖騎士長さんが独り言のように呟く。ほうほう、それはまたなんとも豪儀な人が居たものだ。

「そこの芋虫冒険者、もしノアルジーという帝国貴族に会ったら、聖騎士シメオンが感謝をしていた。私で出来ることなら力になろう、と言っていた――と伝えて貰えるかね」

 聖騎士長さんが羽猫をなでながらそんなことを言う。


『何故、自分に?』

 俺の天啓を受け、聖騎士長さんが俺の首元に下げた指輪を見る。


「芋虫冒険者、君は帝国貴族だろう? 会う機会があれば、と思ったのだよ。自分で言えたら一番なんだがね。帝国貴族とは絡みにくいのだよ」

 あー、なるほど。そういうことか。それならいいよ、いいよ。ノアルジーね。確かに俺がお礼を伝えておくよ。

『了解した』

 はい、伝えた。今、伝えた。ちゃんと、伝えたよ。いやあ、俺ってば、ちゃんと約束を守る偉い子ちゃんだからね。

「そうか、そうか」


 にしても、これでジョアンや姫さまと一時、お別れか。次に再会する時は、ジョアンはもっと凄い聖騎士になってるかな。ま、俺も、もっともっと強くなってるだろうけど、な! いやぁ、強くなることが目的だったわけじゃ無いのになぁ。困っちゃうなぁ。HAHAHA




―2―


――《転移》――


 ジョアンや姫さまたちの見送りが済み、《転移》スキルを使い自宅へ戻る。


 さあて、いつものように食堂の裏から中に入り、自分専用の椅子に座る。ふぅ、今日は見送りだけだったはずなのに疲れたな。まさか、ジョアンと戦うことになるとは思わなかったしなぁ。しかも、ジョアンのヤツ、無茶苦茶硬い、硬い。何というか、ホント、あそこまで鉄壁だと盾としての安心感が違うよなぁ。


「マスター、お帰りなさいませ」

 俺が椅子に座りくつろいでいると、いつの間にか背後に14型が居た。うぉ、びっくりした。相変わらず突然現れるなぁ。扉を開けた気配が無かったぞ。何だろう、テレポート的な力で、俺の背後に現れているんだろうか……。


「おう、オーナー帰ってきたのか? 飯にするか?」

 ポンちゃんもやってくる。おー、ご飯を頼むぜ。


「ふあぁ、フルールのご飯も頼みますわぁ」

 扉を開けて、フルールもやってくる。何だか、眠そうだな。もうお昼過ぎだぜ? と、そうだ。


『フルール、14型用に何か武器を作ってくれないか?』

「あら? 裏オーナーも何か必要なんですの?」

 俺の言葉を受けてか、14型がお辞儀をする。俺の背後からでも分かる優雅さだね。こういうとこや外見だけは優れたメイドぽいんだけどなぁ。でも、ポンコツ。


『手甲的な、力強く殴りつけるような凶悪な武器が欲しい』

「分かりましたわぁ。ちょうど狼系の素材が沢山手に入ったので、それで試してみますわぁ……ふあぁ」

 その狼系の素材は俺がクニエさんに渡したモノじゃ無いのかね。間違いないよね。


『自分用の防具も頼む』

「ふぁい、わかりましたわぁ」

 はい、頼んだんだぜ。


「マスター、また迷宮にて私の力が必要になるのですね」

 14型が横から俺をのぞき込み喋る。いや、当分、俺1人で十分かなぁ。明日は1階層から直通階段を使って7階層に行く予定だしね。


「オーナー、それにフルール、ご飯を持ってきたぞ」

 ポンちゃんが俺たちのご飯を運んでくる。料理、料理。おー、待ってたぜ。


 さ、まずはご飯、ご飯。

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