5-132 名も無き王の墳墓7階層
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――《転移》――
《転移》スキルを使い、迷宮都市の王城――その中庭に着地する。さ、今日も『名も無き王の墳墓』に向かいますかね。
そのまま王城を抜け、東の中庭へ。さあ、今日は、ついに『名も無き王の墳墓』の7階層の攻略だね。
東の中庭を進み、迷宮の入り口となっている祠の中へと入る。うーん、今日は他の冒険者と出会わなかったな。というか、ここ最近だと、あの冒険者チームとクロアさんにしか出会っていないんだが……。も、もしかして、あのチームしか挑戦していないのか? うーん、余り人気が無いのか、上位の冒険者の数が少ないのか――ま、俺は俺で勝手にやりますか。
『名も無き王の墳墓』に入り、兵士さんの所へ向かう。
「芋虫冒険者、今日も挑戦か」
おうさ、今日も頑張るぜー。っと、兵士さんに渡すモノがあるんだった。
俺は魔法のリュックから青いインク? で女の子が描かれた紙を取り出す。えーっと、これってば、ブルウシュライフェって名前らしいけど、どういう意味なんだろうな。
「おお、芋虫冒険者もついに手に入れたんだ」
お、やっぱりコレが鍵であっていたのか。鑑定した時の説明文が迷宮の鍵だったしな。
「使い方は分かるか?」
使い方? これって使うようなモノなのか?
『出来れば教えて欲しい』
俺の天啓を受け、兵士が頷く。
「使い方と言っても簡単だ。ステータスプレートにかざすだけだ」
へぇ、そうなんだ。確かに、とっても、簡単だ。じゃ、ちょっと試してみますか。
ステータスプレート(金)にブルウシュライフェを乗せる。すると紙が光り、そのまま消えた。へ? 消えた? これでいいのか?
「終わったか。後はここの通路の奥にある台座に手をかざせば……芋虫冒険者、その体型で手をかざすことが出来るか?」
いやいや、それくらい出来るからね。にしても、台座か。
兵士さんが扉を開けてくれる。そして奥へと進む通路が現れる。じゃ、行きますか。
通路を進むと少し広い部屋に出た。中央には他の八大迷宮でも見かけたことのある台座があり、それを囲むように、地面に円が描かれていた。これは確実にアレだな。触ると転送される装置だ。
そして、その台座の近くに何処かで見たことのある冒険者の集団が居た。あー、こんなトコロに居たのか。
「うが、ご飯」
だから、ご飯じゃねえよ。って、なんでお前らここで待機しているんだよ。台座に触れて、すぐにでも転送していけばいいじゃん。
『何故、移動しないのだ?』
俺は冒険者パーティのリーダー格と思われる赤髪の騎士に天啓を飛ばしてみる。すると赤髪騎士は馬鹿にしたような顔でこちらを睨んできた。
「順番待ちだ、順番待ち! 次は俺たちの番だから、円の中に入るんじゃないぞ!」
あ、そうなんだ。そう言えば、この冒険者たちだけよく出会うけどさ、他の冒険者がいないってはずがないもんな。ここに来た初日には他の冒険者たちの姿も見えたからな。
……。
うーん、いつも彼らと会うのは、たまたま時間がかぶっているだけなんだろうか。
台座を囲むように描かれた円の外で、赤髪騎士たちのパーティと座って待つ。まぁ、俺は丸くなるって感じですがね!
って、さっきから、巨人さんが、こちらをチラチラと見ているのが怖い。いや、だから、俺は食べ物じゃ無いからな。よだれを垂らしながら見ているんじゃねえよ。
しばらく待っていると床に描かれた円が光り出した。
「行くか」
赤髪の騎士たちが立ち上がる。ふむふむ、そんな感じなのか。
赤髪の騎士たちが円の中に入る。そして赤騎士が台座の上に手を置く。すると円の光が天井へと伸び、そのまま赤騎士たちを覆い隠す。そして光が消えた後には赤髪の騎士たちの姿は無かった。転送されたか。
じゃ、次は俺の番だな。円が光るまで待つんだよな。っと、その前に今触ったらどうなるか、試してみようかな。
円の中、台座へと近寄る。台座に描かれているのは鎧かな? 世界樹が竜で、世界の壁が巨人、空舞う聖院は削られていて分からなかったけど、この絵ってさ、多分、この迷宮のボスを表しているんだよな? って、コトは『名も無き王の墳墓』で最後に待ち構えているのは鎧? いや、全身鎧に身を包んだ王って感じか。墳墓って言うくらいだから、死者の王って感じなのかなぁ。
試しに台座に触れてみる。しかし、何も起こらなかった。
ふむ。仕方ない、光が戻るまで待ちますか。
薄暗い迷宮の中、1人で――いや、羽猫と2人で待つ。しばらく待っていると台座の周囲の円に光が灯った。じゃ、行きますか。
台座の上に小さな俺の手を乗せる。すると台座の上に見たことの無い風景が浮かび上がった。これが7階層かな。その画像を選択した瞬間、俺と羽猫は光に包まれた。
そして気付いたら、見知らぬ、まったく別の場所に立っていた。
大きな円形の高台の上、前方には吊り橋のようなモノが見えた。さ、ここが7階層か。周囲に、さっきの冒険者たちの姿は見えないな。もう、結構進んでいるのかな? じゃ、俺たちも探索を開始しますか。
円形の台座の縁に立ち、下をのぞき込む。おー、結構高いな。と、下の方で何やら蠢いているモノが……。何だ、何だ? 包帯を体に巻いた――ミイラか? 結構、うじゃうじゃ居るぞ。落ちたらヤバそうだな。と、そう言えば、羽猫に《ライト》のスキルを使って貰っていないのに、結構、明るいな。
俺が顔を上げて天井を見ると、6階層でも見かけた果実のようなモノが天井にぶら下がっており、ほのかに明るく光り輝いてた。
ふむ。
とりあえず、吊り橋を渡って、先に進んでみますか。




