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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
433/999

5-128 名も無き王の墳墓6階層

―1―


 至る所に根を伸ばし、手を広げた大樹へ近寄る。上にある黒い球体が霜のヴァインだったかな? アレだけが魔獣なのか。まぁ、無理に倒す必要は無いから、このまま無視して進むのも有りか。所詮ヴァインだから、何かレアぽい素材が手に入るワケでもなさそうだしなぁ。


 さあ、どうしよう?


 俺が迷っていると大樹の上の黒い球体が動き始めた。クルクルと回り、タマネギの皮を向くように1枚1枚、黒い葉が開いていく。ああ、アレ、黒い葉っぱが集まって球体になっているのか。


 黒い葉っぱが開き、中から黒い靄に覆われた狼のような形状の芯が現れる。アレがこの黒いヴァインのコアか?

 狼が口を開くと、そこから白い線が走った。白い線をなぞるように氷の柱が生まれる。氷の柱は一瞬で砕け、霧となって消えた。何だ? 氷のブレスか?

 明らかに、こちらを敵と見なして攻撃してきてるな。うーん、近寄りすぎたか。って、待てよ。氷属性だと? 氷の属性は無いって言っていたよな? 水と風の合成だって。そして、この迷宮には闇の属性しか無いっと。なんで水と風の合成魔法が使えるんだ? 魔獣は特殊な扱いなのか? いやいや、それだったら、俺も、もうちょっと優遇して貰っててもいい気がするんですけど。


 再度、霜のヴァインから生まれた黒狼が白い線を飛ばす。その白い線を追うように氷の柱が生まれていく。何だ、何だ、見当違いの方向に攻撃しているぞ。更に次々と白い線を飛ばしていく。そこから氷が生まれ、霧となって消える。と、そこで俺の視界に赤い線が走る。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、か。


――[アイスウォール]――


 俺の目の前に氷の壁が生まれ、氷の柱を打ち砕く。お前は俺の名前を知っているか? 俺の名前を知っているかッ!


――[アイスランス]――


 木の枝のように尖った氷の槍が生まれ、黒いヴァインへと伸びる。しかし、届かない。う、アイスランスで格好良く倒す予定だったから、届かないのは想定外だ。う、うーん、コレは弓が必要か。と言っても今持っている弓は水天一碧の弓だからなぁ。ヴァインに水属性は効果が薄いだろうし、うーん。困ったな。

 俺が考えている間も氷の線と氷の柱が走り続ける。適当に撃っているからか、余りこっちに飛んでこないなぁ。


「無理です」

 と、そこで14型が呟いた。珍しく弱気だね。


 そして14型が走り、大樹に右拳を叩き付ける。しかし、大樹はビクともしなかった。14型の力ってさ、結構、凄いと思うんだが、この大樹ってば丈夫だなぁ。それとも、この大樹も迷宮の一部なんだろうか? そう言えば、この大樹からは線が見えないな。つまり、そういうことか。


 さあ、どうする、どうする。相手の攻撃を喰らう危険は無さそうだが、こうも連続で氷のブレスを放たれると《飛翔》で上がるのもキツいか。うーん。


「マスター、お借りしてもよろしいですか?」

 どったの14型さん。まぁ、考えがあるなら任せるよ。っと、そこで、またも視界が赤くなる。


――[アイスウォール]――


 氷の柱を氷の壁によって防ぐ。いくら適当に放っているとはいっても、たまには攻撃がくるか。

 14型が真銀の槍を握る。え? ちょ、ちょっと待て。お前、まさかッ!


 14型が真銀の槍を投げる。いやいや、お前ッ! そして、真銀の槍は――大樹の途中に突き刺さった。あ、真銀の槍は刺さるんですね。って、お前ッ! 100歩譲って、投げたのは良いとしよう、しかし外すなよ、外すなよッ! 大事なコトだから、2回言うけど、外すなよッ!


 あー、もう。どうする、どうする。


――[アイスウォール]――


 氷の柱を氷の壁によって防ぐ。ちまちまと、面倒な……。もうね、奥の手を出すぜッ!


――《真紅妃召喚》――


 サイドアーム・アマラに持たせていた真紅妃が巨大な蜘蛛へと姿を変える。そして、真紅妃は大樹を駆け上がっていく。おー、さすがは蜘蛛、すたすた上がっていくね。

 真紅妃が無数の氷の柱を打ち砕き、駆け上がる。そして、そのまま狼のような黒いヴァインのコアに巨大な牙を突きつける。黒いヴァインは暴れるが、鋼鉄のような足で押さえ込み、牙を深く、深く突き刺していく。そして、そのまま魔石を削り出し、喰らう。


 あ、魔石。14型といい、真紅妃といい、なんで君らは好き勝手やるかねぇ。


――《飛翔》――


 《飛翔》スキルで飛び上がり、途中の真銀の槍を引き抜く、さらに大樹の上に。はいはい、真紅妃、元の槍に戻って下さいな。真紅妃に手を伸ばし、蜘蛛の体をそのまま掴む。巨大な蜘蛛の姿が槍へと変わっていく。そして、掴んだ、俺の手の中には元の槍の姿をした真紅妃があった。


 ま、勝てたからいいか。


 大樹から飛び降り、《浮遊》スキルを使って着地する。にしても14型って近接戦闘型なのかなぁ。力があるから、投げるのもイケルか? と思ったけどさ、全然、ダメダメだったな。しかし、だ。14型も戦えるとなると、何時までも素手ってのはな。さすがに戦力になるなら武器を持たせたいトコだよね。武器としてならナックル系の武器になるんだろうか。

『14型、武器は必要か?』

 ま、必要かどうかは本人に聞くのが一番か。


 俺の天啓を受け、14型が首を傾げる。うん? どったの?

「そうなのです。以前は、私も何か武器を使っていたような覚えがあるのです」

 ふむ。やはり、そうか。となると何がいいかな。14型は拳を叩き付けるような攻撃ばかりだったから、やはり篭手のような感じの武装がいいかなぁ。ちょっと後でフルールに相談してみよう。




―2―


 大樹を後にし、さらに前進すると下りの階段が見えてきた。かなり広い大広間のように見えたけど、あっさり下り階段が見つかったな。前進するだけとか、楽勝、楽勝。もしかして、さっきの黒いヴァイン――巨大な霜のヴァインを回避しようとして遠回りすると、広くて迷う的な階層だったんだろうか。


 そのまま階段を下りる。


 階段を下りていくと扉が見えて来た。そして、その扉の横の壁には文字が書かれていた。えーっと何々?


 印刷所・営業時間10:00~18:00


 ……。


 何コレ? 印刷所って何だ? しかも迷宮の中にあるとか、意味が分からないんですが。う、うーん。謎過ぎる。


 扉を開けると中は小さな部屋になっていた。部屋の奥には郵便受けのような小さな小窓が開いている。俺が小窓をのぞき込もうと近寄ると、中から1枚の紙切れが落ちてきた。


 紙切れには青字で印刷された絵が描かれていた。えーっと、これは女の子かな? で、コレ、何? この階層ってコレしか無いから、コレが7階層への直通通路を開くための鍵? いや、でも、この部屋から下の階層に行けそうに無いし、うーん。


 わからん、わからんが、一度戻るか。時間的にも、ここから戻ることを考えたら――夕方前ってトコか。

 ま、今日の探索はここまでって感じだな。


 一応、紙は鑑定しておくか。


【ブルウシュライフェ】

【迷宮の鍵】


 う、うーん。鑑定したらさらに意味が分からなくなった。ま、まぁ、でもさ、鍵ってコトは、これで間違いなさそうだな。さっきの5階層の広間を探索したら他の下り階段がありそうだけど、今日は、これで帰るか。


 にしても、よく分からないなぁ。

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