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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
431/999

5-126 名も無き王の墳墓3階層

―1―


 換金所に居たクニエさんに素材を預け、そのまま就寝。今日は、もう、これで終わりだね。


――[アクアポンド]――


 翌朝、家の裏に池を作っていると14型がやって来た。そして、俺の背後に立ち、そのままじーっとこちらを見ている。な、何だ? 何か喋ってくれないと怖いんですけど。


『14型、今日はともに迷宮へ向かうか?』

 俺の天啓を受け14型がスカートのすそを持ち優雅にお辞儀をする。

「ふぅ、マスターは、やっと私の強さを理解したのですね。少し遅すぎる気もしますが、これもマスターらしさの一つなのですね」

 あ、はい。まぁ、いいや。それじゃあ、《転移》スキルで迷宮都市に行きますかね。


――《転移》――


 《転移》スキルを使い14型とともに迷宮都市の王城に降り立つ。さあて、今日は6階層まで下りるのを目標にするかな。


 西の庭から城内を通り、東の庭へと出る。と、今日も例の冒険者チームが居るな。なんで、迷宮に入る前に鉢合わせしちゃいますかねぇ。

 料理しているのは、今回も魔法使いぽい女性か。それに対して赤髪の騎士が何やら注文を付けている感じだな。他の4人は、それを見守っているってトコロか。


「うが、おかず来た」

 体育座りでご飯を待っていた巨人がこちらを向く。いや、だから、俺はおかずじゃ無いからな。

 と、そこで14型が反応した。14型が地面を滑るように体勢を低くして動く。って、お前。


『14型止まれッ!』

 俺はすぐさま天啓を飛ばす。俺の天啓に反応して今にも巨人へと拳を振り下ろそうとしていた14型が止まる。そして、そのまま目にも止まらぬ速度で優雅な立ち姿へと変わる。ホント、この子、油断していると洒落にならない行動を取ろうとするな。


「うが?」

「何だ、誰だ?」

 ああ、そうか、この反応――この冒険者たちには14型の動きが見えていなかったのか。うーん、この冒険者たちの実力が見えた気がする。でも、ここに居るってコトはCランク以上なんだよな。俺が思っている以上にCランクの人たちって微妙なのかなぁ。


『14型行くぞ』

 俺の天啓を受け、14型が冒険者たちへと向き直り、スカートの裾を持った優雅なお辞儀をする。その顔は怖いくらいに動きの無い笑顔だ。




―2―


 14型とともに『名も無き王の墳墓』の中に入る。そのまま兵士さんに挨拶をして、奥の部屋に向かう。扉を開けた先には――ヴァインが居た。まーた、ヴァインですよ。俺は現れたヴァインを真紅妃で貫く。無慈悲な一撃なんだぜー。

 隣の部屋で現れた魔獣もヴァインだった。今回、草ばっかりじゃん。で、今回もしっかり木箱があるワケですね。ま、サクサク進みたいから本当は無視しても良かったんだけどさ、今回も木箱があるか、確認したかったんだよな。


 で、罠は、と。


【罠はかかっていない】


 お、今回は罠無しか。じゃ、サクッと開けますかね。


 中には――小さなナイフが入っていた。えーっと。


【低品質な鉄のナイフ】

【鉄で作られた低品質なナイフ。剥ぎ取りなどによく使われるナイフ。低品質の為、壊れやすい】


 ご、ゴミだ。ゴミが入っている。ま、まぁ、所詮、1階層だもんな。これは14型が持っている魔法のリュックに入れておくかな。うーん、これ、次から開けなくてもいいかなぁ。と、それじゃあ、下に下りますか。


 先程の部屋に戻り、下へと降りていく。階段を下りる度に辺りが暗くなっていく。羽猫、頼むぜ!


――《ライト》――


 羽猫がライトのスキルを使い、辺りに光が満ちていく。さ、コレで進めるね。


 2階に降りて柱の通路を進んでいると前方からネザーブレイドと書かれた線が飛んできた。って、おいッ! もう復活しているのかよッ!

 飛んできたネザーブレイドを14型がたたき落とす。へ? お、おい14型? い、いやいや、これはチャンスか。


――《スパイラルチャージ》――


 赤と紫の螺旋が地面に叩き付けられたネザーブレイドを貫く。そして、真紅妃によって地面に縫い付けられたネザーブレイドは動かなくなった。えーっと、あのー、あっさり勝っちゃったよ。14型の攻撃が効いていたのか、何というかさ、前回、ちょっと苦戦したのが馬鹿らしくなってくる勝ち方じゃん。もうね、もうね。


 14型が魔石を取り出している横で袋の中身を覗いてみる。え?


 いやいやいやいやいやいや、な、何だ、コレは。俺はすぐに袋を閉じる。


 脈打つ赤い塊。その赤い塊から見える白い物質。大量に蠢く虫。


 中にあったのは蛆の沸いた蠢く肉団子だった。うげぇ、何だよ、コレは。吐くかと思ったぞ。グロい、グロい。グロすぎる。ああ、もう考えたくないキモさだ。コレが見ない方がいいって言われた理由か?




―3―


 3階層に下りる。ここはターンテーブルのフロアだよな。まぁ、魔獣が出ないから、その分は楽かな。


 十字路へと進む。えーっと、2個目を右だったな。2個目には『床』と書かれた線が伸びている。では、進みますか。

『14型、自分がどちらを向いているのか教えて欲しい』

 トラップを踏んだ所で14型に天啓を飛ばす。


「マスター、ついに狂われたのですか。いえ、元から狂っていることを忘れていました。今、マスターは左を向いたようですが、それすら分からぬほどとは……」

 はいはい、ありがとね。やはり左向きか。うーん、ここってさ、ターンテーブルかな、と思ったんだけど、どうも左を向く罠って感じなのかな。となると湖の向こう側に下りる階段へのルートには2回右を向けばいいのか。


 俺が十字路を抜けると、何事も無いように14型が後ろをついて来た。へ? 何で普通について来ているんだ?


『14型、もう一度、十字路に戻ってくれ』

 俺が天啓を飛ばすと、14型が優雅にお辞儀をし、そのまま振り返り十字路に戻る。14型が『床』と書かれた線の上に乗る。しかし、何も起きなかった。えー? 14型は罠が無効なのか? それとも、14型がロボだから、反応しないのか? うーん、謎だ。


 まぁ、気にしても仕方ない。14型だからな、うん。そうそう。と言うことでッ! 先に進みますかッ!

 クロアさんと通ったからな、ちゃんと道順は覚えているぜッ!

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