表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
5  名も無き王の墳墓攻略
404/999

おしえて、シロネせんせい4

「ふぅ」

 シロネは1つ小さなため息を吐き、そして歩き出す。いつものように向かうのは、自分が受け持っている教室だ。今日も今日とて教室に入り授業を始める。


「むふー。本日は、魔法の詠唱とランクについての話になります……っと、あれ?」

 シロネが教室の中を見回すが、そこには自分の授業の時にだけ、高確率で居たはずの青髪少女の姿が見えなかった。

「ノアルジーさんの姿が見えないようですが、むふー。どうしたんですか?」

 シロネがとりあえず目立つ豪華な服装の少女に声をかける――と、意外な答えが返ってきた。

「ノアルジーさまは最近、授業に出てこられないんです」

「ええ、それで皆も寂しい思いをしているんですの」

「確か、図書館の噂が流れた頃くらいですよね」

 図書館の噂? とシロネが疑問に思うと、少女たちが教えてくれた。


「図書館に魔獣が現れるって噂です」

「そうなんです、ノアルジーさまが、その真相を調べると言われてから……」

 少女たちの中に悲しみのムードが広がる。


「それでノアルジーさんは、むふー。どうなったんですか?」

 豪華な服装の少女が顔を上げる。

「それが、寮のお部屋の方には居られるようですの」

「ええ、お声をかけると、ちゃんと返事はされますもの」

「昨日も入っていますと、ええ、本日も同じように入っていますと」

 シロネは腕を組み、考える。少し考え、そして、授業を始めることにした。


「むふー。では、皆さん、今日の授業を始めます」

 シロネの言葉に少女たちが口を閉じ、気持ちを切り替える。


「魔法の詠唱とランクですねー。むふー。では、エミリアさん、魔法のランクについてはどの程度、知っていますか?」

 シロネの言葉に豪華な服装の少女が頷き、話し始める。


「まずは殆どの人が使うことが出来る初級魔法ですわ。消費するMPも2から8程度ですね」

「むふー。そうですね。魔人族以外の多くの人が初級魔法までは使えるでしょうねー」

「あら? 魔人族は魔法が使えないんですの?」

「初めて聞きました」

 少女たちの言葉にシロネが頷く。


「そうですね。むふー、神国では魔人族を見ることはないでしょうから……。私たちと同じような姿をして、素知らぬ顔で社会に紛れ込んで、そして私たちから色々なモノを奪っていくのが魔人族ですねー。むふー、そう、私たちとは本質から違う、別の世界の生き物ですねー」

「まぁ」

「私たちと同じ姿なのに……怖いです」


 シロネが話を続ける。

「むふー。話が横にそれました。ランクの話でしたねー。後は中級、上級、そして特級魔法ですね」

「特級魔法!」

「あれですね、紫炎の魔女が使っていたという」

「数百はMPが必要って言われている」

 少女たちの勢いに押されながらもシロネが頷く。

「そ、そうですね。むふー。私は紫炎の魔女と祖母から魔法を習いましたが、その時に特級魔法を見せてもら……」

「シロネ先生、紫炎の魔女と会ったことがあるんですか!」

「弟子だったんですか?」

 さらに教室内が騒がしくなる。シロネは騒がしくなった教室が静かになるのを辛抱強く待ち、そして、ゆっくりと語り出す。


「出会ったのは、私の故郷のナハン大森林ですねー。むふー。紫炎の魔女は、ええ、彼女は、この神国で――ちょっとやり過ぎてしまったらしく、その罰として……」


 シロネの話は続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ