バトルマスター・オブ・ファンタジア
この世界の成り立ち。
かつて、この世界にも国による実効支配はあった。
しかし、全世界を巻き込む魔法戦争によって、
国家という国家は全て壊滅した。
その後、魔物と、その魔物を討伐することを生業とする、魔物ハンターたちがはびこる世界になっていた。
一方で、現実世界もまた、第三次世界大戦で壊滅していた。
国家という国家はもとより、会社の組織や学校という制度までが全て瓦解し、戦争は国家による戦争では無くなり、個人と個人による殺し合いになっていた。
それからさらに時は流れ、現実世界では、
とある異世界ファンタジーのRPGが、世界的に流行していた。
それが、『バトルマスター・オブ・ファンタジア』だった。
俺は、現実世界では、誰にも看取られずに、孤独死した。
そして、身元も公表されず、ただの身元不明の遺体のまま処理された。
遺骨も引き取り手が無いまま、無縁仏として処理された。
今の世界では、誰でも名前を知っているような
著名人とかでない限り、死んだ時にも、
いちいち身元も公表されないという。
だいたいからして、死んだということすら、いちいち公表されないのだという。
総人口が、一人減っただけという扱い。
現実世界で名乗っていた名前は、名前すら忘れた。
そして、異世界に転生した。転生した先の世界こそ、『バトルマスター・オブ・ファンタジア』の世界だった。
そこで、パーティーを組んだ。しかし、そのパーティーも、あえなく追放された。
追放された後は、あてもなくさまよう。
この世界の唯一の組織、団体といえるのは、魔物ハンターが集うギルドだという。
ギルドの女「うわ!あんた、ギルドすら知らないの!?
はー、どこの世界から来たのか知らないけど、そんなんでよく、今までこの世界で生きてこられたね。」
今まで、誰とも協力関係を結んでこないで、一人で生きてきたから。
実は俺は引きこもりだった。引きこもり生活が長く続き、親以外との世間の人々とのつながりは無くなっていた。
その親も、死んだ。そして、唯一熱中していたゲームが、『バトルマスター・オブ・ファンタジア』だった。
プレイを始めると、案内人が出てきた。
「今や、この世界は、魔物と、その魔物を討伐することを生業とする、魔物ハンターたちがはびこる、荒廃した世界になっています。
あなたも、その魔物ハンターとして、実績を積み重ね、名声を上げましょう。」
しかし、自分はパーティーの仲間もいない、一人きりだと案内人に伝えた。
「それならば、一人プレイ用のモードがありますよ。
出てくる敵も、一体ずつ。獲得経験値も、全て自分一人だけのものです。」
案内人は、あることに気づいたようだ。
「あああああーっ!なんということでしょう!一生の不覚!
まだ、あなたの名前を聞いていませんでした!」
名前か…。その時、俺の脳裏に『ガーラント』という名前が浮かんできた。
「ガーラント、俺は、ガーラントだ。」
「ガーラントさんですね。確かにガーラントという登録名で登録しました。」




