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COSKILLER (コスキラー)―CKR(シクル)―  作者: 黒薔薇
裏社会組織 黒曜会からの勧誘
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54/54

池袋コスプレ交流フェス参加

池袋コスプレ交流フェス――当日


朝

池袋の街は、

普段よりも明らかに人が多かった。


駅から会場へ向かう道には、

すでに様々な衣装を身につけたレイヤーたちが

歩いている。


大きなキャリーケースを引く者や

衣装の入ったバッグを抱える者に

カメラを肩から下げた者


そして――

その中に、七人の姿があった。


Heroは黒と深紅の指揮官風衣装

Jokerは白と金の舞台役者風衣装。

Dollは桃色とクリーム色の人形工房職人風衣装

Mirageは深緑と黒の占星術師風衣装

Knightは茶色と灰色の新聞記者風衣装

Maskは黒と青のハッカー風衣装


そして――

YONAGIは白銀と深い青の聖騎士衣装


長い白いマントが、

朝の風に揺れている。


Jokerが周囲を見回した。


「……おお、すごい人だな!」


Mirageが笑う。


「さすが池袋ね?」


Dollも周囲を見る。


「イベント会場まで、もうレイヤーだらけ…」


Knightが首から下げたカメラを確認する。


「この人数なら、

俺たちが混ざっても目立たないな…」


Maskが端末を見る。


「入場列は予定より少し長くなっています。」


Heroが頷く。


「焦る必要はないぞ?

普通に参加する。」


Jokerが笑った。


「了解♪」


七人はそのまま、

他の参加者たちと一緒に会場へ向かった。




会場内の入場を済ませると、

そこにはさらに多くのレイヤーが集まっていた。


撮影エリアや

交流スペースに

サークルブース


それに休憩スペースなど

様々な場所から、

シャッター音が

カシャッ

カシャ

と聞こえてくる。


「すごい……」


Dollが思わず声を漏らした。


YONAGIも周囲を見回す。


「前回とは、雰囲気が違いますね…」


「うん」


Dollが笑う。


「池袋らしいイベントって感じ♪」


Jokerはすでに数人のカメラマンから

声をかけられていた。


「すみません、撮影お願いできますか?」


「もちろん♪」


Jokerはすぐに役者らしい笑顔を作る。


「どこで撮ります?」


その様子を見て、

Knightが小さく笑った。


「もう馴染んでるな…」


Heroは周囲を見ながら言った。


「それでいい。

普段通りに動いてくれ…

その中でRENを探す。」


Maskが端末を確認する。


「現在地を確認します。」


Heroが小さく頷いた。


「頼む。」


七人は一度、

それぞれの行動に分かれた。



Dollは交流スペースへ向かった。


衣装の装飾を見ていた女性レイヤーから

声をかけられる。


「その衣装、すごく可愛いですね!」


「ありがとうございます♪」


Dollは笑顔で答える。


「手作りなんです。」


「えっ、本当ですか?」


「はい。」


自然な会話をするDollは、

相手の会話の中からRENの名前が

出ないか注意していた。


「今日はどんなキャラなんですか?」


「人形工房の職人です。」


「可愛い!」


「ありがとうございます♪」


その時――

少し離れたところから、

男性の声が聞こえた。


「RENさん来てるらしいよ?」


Dollの表情が一瞬だけ変わる。


「……」


すぐに笑顔へ戻る。


「RENさんって知ってますか?」


何気ない口調で聞く。


「うん。さっき撮影エリアにいたって…」


「そうなんですね…」


Dollはそれ以上聞かなかった。


スマートフォンを取り出し、

さりげなく短いメッセージを送る。


『REN、撮影エリアにいるという話あり』




一方――撮影エリア


Jokerは数人のカメラマンと話していた。


「じゃあ、次はこっち向いてください。」


「了解♪」


カシャッ


カシャッ


撮影を終えたJokerが、

カメラマンに軽く頭を下げる。


「ありがとうございました。」


「こちらこそ!」


そのまま移動しようとした時――


「……あれ?」


近くの女性レイヤーが、

誰かを見つけたように顔を上げた。


Jokerはその視線を追う。


人混みの向こうに

黒いジャケットを着た

カメラを持った男性


そして――


「REN……?」


Jokerは小さく呟いた。


男性は、

数人のレイヤーと話している。


その中には――

Maskが調べていた女性レイヤーの一人もいた。


Jokerはカメラを構え直した。


しかし、

撮影するふりをして、

RENの様子を観察する。


「……なるほど」


---


同じ頃

Knightは交流スペースの端で、

新聞記者風のキャラクターとして

参加者と話していた。


「今日はどちらから?」


「埼玉です。」


「県外からですか!?」


「そうなんですよ!」


そんな何気ない会話の中


「RENさんも来てるみたいですよ?」


Knightの目がわずかに動く。


「RENさん?」


「知ってるんですか?」


「いや…」


Knightは笑った。


「名前を聞いたことがある程度でして…」


そして自然に話題を続ける。


「人気なんですか?」


「結構有名ですよ!」


「女性レイヤーとの交流が

凄く多いって聞きましたけど…」


「そうそう…」


相手は何気なく答える。


「撮影会とかでも、

よく一緒にいる人が変わるんですよねぇ…」


Knightは笑顔のまま、

その言葉を頭に刻んだ。


---


その頃――

YONAGIは、

女性レイヤーが集まる交流スペースにいた。


聖騎士姿ということもあり、

何人かの参加者から声をかけられる。


「その衣装、すごいですね!」


「ありがとうございます。」


「どこの作品ですか?」


「オリジナルです♪」


「えっ、オリジナルなんですか?」


YONAGIは微笑む。


「はい。」


自然な会話を続けながら、

周囲を見ていた。


そして――

一人の女性が、

友人に小声で話しかける。


「……RENさん、また女の子と話してる。」


「え?」


「ほら!……」


YONAGIも視線を向ける。


少し離れた場所で

RENが一人の女性レイヤーと話している。


その表情は、

親しげだった。


そして――

RENが何かを渡した。


小さな紙袋を見て

女性は驚いたような顔をして、

それを受け取る。


YONAGIは目を細めた。


「……何を渡したんでしょう?」


その時


「YONAGI」


イヤホンからHeroの声が入った。


「俺の方からお前の姿は見えている。」


YONAGIが小さく答える。


「はい。」


「まだ動くなよ?」


「分かりました。」


YONAGIはその場に残った。



そして――会場の反対側


Maskが端末を見つめていた。


「Hero」


「どうした?」


「RENの位置を確認しました。」


「今どこだ?」


Maskが画面を見る。


「撮影エリアから移動しています。」


「どこへ?」


一拍


「女性更衣室の近くです。」


Heroの表情が変わる。


「……女性更衣室?」


「はい。」


Maskが続ける。


「ですが――」


「何かあるのか?」


「RENと一緒に移動している女性が一人います。」


Heroは周囲を見る。


「その女性は?」


Maskが写真を拡大する。


そして――


「過去にRENから金銭を借りている女性です。」


Heroの目が細くなる。


「……分かった。」


「全員に伝えてくれ!」


Maskが頷く。


「了解」


イヤホンを通して、

七人へ一斉に連絡が入る。


『RENが女性レイヤーと移動しました。

対象女性は

過去の金銭トラブルに関係している可能性あり』


その情報を受け取った六人が、

それぞれ自然な動きを崩さないまま、

少しずつRENのいる方向へ移動し始めた。


イベント会場には、

相変わらず楽しそうな笑い声と、

無数のシャッター音が響いている。


誰も――

この会場の片隅で、

次の事件が動き始めていることなど知らなかった。


そして――

RENは、

女性とともに人混みの中へ消えていった。


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