75話
「よし! そうと決まればさっさと仕事にとりかかろう!!」
色々と言いたいこともあるけど、大事なのは仕事をこなして借金を返済することだ。
何時までもミリオンなんちゃらとは言わせないようにしないと!
「折角借金無くなったのに、こんな仕事させて申し訳ないなぁ~」
ん? キツネが何やら気になることを言っていたような?
「それにこない面倒な仕事振るなんて、心苦しいわぁ~!」
「キツネ・・・・・・今なんて言った?」
「面倒ごとに巻き込んで心苦しいってな・・・・・・」
コイツ、分かってて言ってるよな?
そこじゃないだろ! その前!!
「ああ、言ってなかったっけ? キミの借金無くなったんよ。前回の任務の報酬で」
「聞いてない!! 何で!?」
だって、まだ700万ぐらい残ってるんじゃ?
「いやぁ~! あのニンゲンって流石にワシだけじゃ食べきれんくて、ラズリーにもおすそ分けしたんやけどそれでも消費しきれんくてね・・・・・・売ったのよね」
売った? ニンゲンの肉を?
「そうそう、流石に教会が全部持っていくのは心苦しいから、キミの借金と相殺してみたの。そしたら・・・・・・なんと! ピッタリ借金完済!!! やったね、哲夫君!!」
「言えよ!!! 真っ先に言えよ!!」
「しゃーないやんけ!! このジジイが来てもーたんやから!!」
「こりゃ、小童。ジジイと言ったか!?」
「ろくに薬杯の管理もできんジジイやんけ!! この・・・・・・耄碌ジジイ!!」
「主が不問にしておったから言わなんだが不心得者の分際で!! そなたの罪、我が魂ごと払ってくれようぞ!!」
「・・・・・・黙れ!!!!!!」
やいのやいのと、五月蠅い!!
今は俺の借金の話が先だ! 喧嘩するなら後でやれ!
「瑠璃男さん! 本当に無くなったんですね。俺の借金!」
「ああ、た、確かに完済したのは確認できてるよ・・・・・・哲夫君、この方々は神様だからね? 一応言葉には気を付けてね」
呆気にとられている二柱をしり目に、俺が確認したいことは確認できた。
であるなら、こんなめんどくさそうな仕事はキャンセルしよう! そうしよう。
もっと簡単そうな仕事で生活費だけ確保する方向性にシフトするんだ!
「そんな事させるかい! 一度請け負った仕事やろ!! 完遂するまで逃がさへんで!」
「おう、その通りじゃ! 主命を受けておいて都合が変わったからと、投げ出すなど許さん!」
こいつら!! 急に共闘しやがって!
大体、どこにあるかもしれない薬杯なんてどうやって探せって言うんだ!
「この仕事、本来そこからやるもんなんや。本来はな・・・・・・今まではサービスしてたようなもんや」
おいこら! 初めて聞いたぞ、そんな事。
瑠璃男さんの方を見て確認すると。
「まあ、確かにこんな仕事も無いわけではないから・・・・・・仕事の範疇とは言えなくもない・・・・・・かな?」
本当!? 言わされてない?
まあ、キツネはなにも合図らしい行動はしてないけどさ。
「・・・・・・けど、口約束の段階で正式に依頼はされてない様な・・・・・・」
「哲夫君、神様がわざわざ書面に起こして何か言うなんてことあると思う!? キミの知ってる神話で口頭以外で神様が人間に何か言うことってあるのかなぁ~」
キツネがやけに勝ち誇った顔をしている。
うう、確かに一方的に押し付けるのは神話的ではあるけど・・・・・・そう! その場合、何かしらの見返りってものが有るじゃないか!!
「キミの給料は見返りじゃないとでも?」
ぐぬぬ! 確かにそう言えなくもないけど・・・・・・そう言うことじゃないはずなのに、金の事を言われると正しく聞こえてしまう。
途方もない借金のせいで、逆らえない体になってしまったか!!
「くそっ! やるよ! やりますよ!!」
「初めからそう言ってればよかったんやで、これで話が進むやんけ」
「まったく、神命を軽んじるとは!」
あれ? なんで俺が怒られてる? 俺が悪かったのか?
いまいち納得できないが、まあ、確かに仕事は仕事だ。
やるしかない・・・・・・のか?
ああ、やるって言ったんだった。いや、言わされたんだったな。
それにしても、所在不明の薬杯か。
どうやって探したものか。
遺跡の情報に詳しくて、それでいて神様とは違う情報源を持っている人か。
そんな人・・・・・・いるな。一人だけいるな。
けどな、間違いなくただじゃ教えてくれないよな。
どうしたものかと、思案しているとキツネが気味の悪い笑顔で声をかけて来た。
「少しなら経費で落としてあげるよ?」
そうか、経費があるんだ。
じゃあ、行くか。
嫌な予感がするものの、依頼された仕事を完遂するためには行くしかない。
憂鬱な気分を押し殺して、一路学校へと足を向ける。
神様には無い情報源を知っていそうな人物。
俺が唯一知っている遺跡に精通した人物と言えば、もうこの人物しかいなかった。
果たして協力してくれるかどうかは賭けになるが、不明な遺跡に関しては一応専門家だしお金が絡めば少しは考えてくれるかもしれない。
あんなことがあったから、顔を合わせずらいけどこの際仕方がないとあきらめよう。
堂々と遅刻をして教室に入り込む。
幸い休み時間だったため、少し目立つだけで済んだ。
目的の人物は、・・・・・・いた。
集団の中で必死にネコを被りながら、自分を押し殺しているその人物に目で合図を送り教室から連れ出す。
・・・・・・おーい! こっちみて!!
無視しないで!! ホントにお願いだから!!
いつもの空き教室で何とか落ち合うことが出来た。
「何よ?」
あー、そんなに不機嫌を前面に押し出してこないでくれますかね?
「桐山に頼みがあるんだ。盗掘師としての桐山に」
話を聞いてくれるようなので、事のあらましを説明する。
その最中も不機嫌な様子だったが、最後まで聞いてくれた。
そして桐山は答えてくれた。
「300万、一切負けないわよ? それでいいなら教えてあげる」
正直高い。けどそれぐらいなら、何とか経費でどうにかなるんじゃないか?
それに俺には桐山しか伝手がない。
仕事のためには、情報を得なければ。
「分かった。それで」
「じゃあ! 報酬はそれで、諸々の費用は実費でお願いね!!」
あれ? いや・・・・・・費用は別なの? 諸々込みで300万じゃ・・・・・・。
「あのさ! ・・・・・・って、もういないし」
ああ、これはちょっと早まったかもしれない。
次回投稿は01/27を予定しております。
では、次回投稿で。




