表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/185

52話

 あー!! 無理無理無理!!

 何人いるんだ? この集団!

 倒しても倒しても、次から次へと!!

 

 闇が濃くなる山の中、俺は見事にその山の中に釘づけにされていた。

 いくら攻撃しても、回復してくるし!!

 大体! たった一人にローテーション組むなよ!

 俺が得意なのは、乱戦だ。

 逃走するでもいい、させるでもいい。

 システマチックに来られるより、感情のまま向かってこられる方がやり易い。

 

 近づいたら近づいただけ離れる包囲の円。

 たった一人の俺に対して、消耗戦を初手から仕掛けてくるその姿。

 おかしい。

 なんで俺をこんなにも、警戒している?

 敵集団は、俺の何を知っているんだ?

 

 この集団に遭遇してから、疑問しか浮かばない。

 俺を先に捕捉したにもかかわらず、囮を使って誘導し、そして徹底した消耗戦。

 俺が部隊として動いているなら分からなくもないけど、たった一人。

 強硬策でも数で押せば。そう考えるのが普通だろう。

 何故そうしない?

 この件で動いているのが俺一人だと、知っているかのような・・・・・・複数の魔術師がこの件に係わっていることを想定していない様な、この動き。

 

 ・・・・・・まさか、時間稼ぎが目的か?

 少なくとも桐山に起こっている状況は、時間的余裕が無い。

 言い換えれば、この世界の危機まで時間が残されていない。

 それを・・・・・・知ってる・・・・・・のか?

 だったら、俺をここに縫い留めている理由は?


 まさか、俺が遺跡を破壊できることが・・・・・・知られている?

 魔術教会でも知っているのは瑠璃男さんぐらいの情報を、敵組織に握られている?

 いや、そんな事・・・・・・いや。

 そう考えないと、この件はおかしい。

 大体、なんで売られた直後と言ってもいい今、遺跡を使った?

 身を隠してから使えば、俺がこうしてここに来ることもなかった。

 人知れず、桐山が関わっていることを悟られなければ、この集団の目的は容易く完遂していた。

 でも、そうしなかった理由は?


 もしかして・・・・・・俺が主目的なんじゃあるまいな?

 俺と接触のある盗掘師である桐山を使い、俺をおびき寄せて消耗させること自体が目的?

 だったら、こいつらの目標は俺の確保。

 わざわざ世界の危機を演出しておきながら、俺一人を捕らえることを目指していたら?

 ・・・・・・俺が抵抗したほうが、面倒になるよな?

 でも、確実に捕らえるなら俺が魔力切れになった所を捕らえる方が楽ではある。


 じゃあ、今回の件は本来の意味で世界の危機ではない・・・・・・のか?

 この状況が続いているのは、向こうにとっても好ましい状況ではないのかもしれない。

 俺の魔力には未だに余力がたっぷりと残されている。

 タイムリミットまでは、手数を抑えれば持つかもしれない。

 でも、それをできない理由が俺にはある。


 俺があれこれと考えている途中でも、敵集団の攻撃は休まることは無い。

 次々に放たれる魔法を避けていくが、どうしても避けきれない魔法が出てくる。

 火球が俺の眼前に迫る。

 ・・・・・・これしかないか。

 顔を手で覆い、火球に身を晒す。


 俺に触れた魔法は、破裂して強い衝撃を俺に与える。

 爆風で飛ばされた俺は、立木に体を強かに打ち付け動けない状況を演出する。

 これは、はっきり言って賭けだ。

 分の悪い賭けでしかない。

 俺の予想通りなら、俺を確保したこの集団は俺を遺跡の場所まで運んでくれるだろう。

 もし、本当に世界を亡ぼすために俺を殺そうとするなら、近づいてきたときに逃げればいい。

 俺の計画通り、包囲の円が狭まってくるのが見える。

 しかし、何事にも誤算と言う物はある。

 受け身を取り損ねてしまった俺は、その狭まる円をみて意識を手放してしまった。


◇ ◇ ◇


 目を覚ますと何やら広い空間に寝かされていた。

 薄目を開けて周りを確認すると、現代では考えられないかがり火という照明器具が飛び込んでくる。

 ?

 なんだ? 新しい異世界に召喚でもされたか?

 俺の視線の先に、同様に現代では考えられない服装の男がいた。

 その男は、フルプレートの鎧を身にまとい、デカい両手剣を手に佇んでいる。

 ・・・・・・よし! これは夢だ。 異世界から異世界へなんて絶対受けないタイプのラノベだ。

 そんな滅茶苦茶な設定の夢に違いない!


「ようやく起きましたか、達夫君」

 なんだ、これは達夫の夢か。あいつも幼稚な夢見るもんだ。

 早く目覚めないと・・・・・・?

 あれ? 起きてるのか? おれ。

 口の中を噛んでみると、確かに痛い。

「どうしました? よもや私を忘れたわけではないでしょうね?」

 げ、現実・・・・・・なのか?

 微かに放たれる殺意を受けて、このまま寝たふりは出来ないことを理解する。

 ゆっくりと、今起きましたよ~を装い体を起こす。


 男を見ると、俺の返答を待っているようにも思える。

 どうしよう、俺、この人知らない。

 ここは・・・・・・混乱して質問を質問で返す奴作戦を試してみるか。

「こ、ここは?」

「おお、ここは初めてでしたね。我らが聖堂、第7聖堂へようこそ、達夫君」

 せ、聖堂? 

 あたりを見回す。

 だ、ダメだ。思わず笑いがこみ上げてくる。

 ここって、よく撮影とかに使われる採石場跡じゃねーか。

 

 しかも、こんな場所でフルプレート着たオッサンとか。

 オッサンに背を向けながら、どうしても方が揺れるのが抑えられない。

 場所と服装から、俺の後ろに居る人がどうしても、コスプレイヤーにしか見えなくなってきた。

 達夫。ちょおま、交友関係どうなってんだよ。

「どうしました?」

「いえ、なん、でもありません」

「さあ、我らが神への忠誠を示しなさい」

「っぷー!」


 もう! わざとか!? こらえきれんかった。

次回投稿は12/12を予定しております。

では、次回投稿で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ