34話
「嫌だ! 乗りたくない!!」
「わがまま言わんと、ワシもついていってやるから、な?」
「嫌だ、もうマッハホウキには乗りたくないんだーーー!!」
嫌がる俺を引きづりキツネは俺と共に、マッハホウキに乗り込む。
マジでマッハを体感した俺は、これに乗るとあの全身を襲う激痛を思い出してしまう。その後に起きた自分の残虐性を伴って。
そんな事はどうでも良いと、キツネはマッハホウキを起動する。
「や、やめて! 国内、そう! 活動が国内限定の魔術師ってことでいいじゃん!?」
「? 何言ってんねん? あほらし。ほな行くで」
「あああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
「うっさ!!」
一時間ほどマッハホウキに揺られ、到着と同時に地面へと転がり出る。
やっと、着いた・・・・・・オロロロロ!
「汚いなぁ~。哲夫君や、いい加減慣れてくれな、困るで」
っげふ! 移動が苦手なんじゃなくって、トラウマを見せつけられるのが苦痛なの。
「トラウマとは、ちゃんと向き合わな、な」
この神様、ちっともわかってないな。トラウマと向き合うのが嫌なんじゃなくって、強制的に見せつけられるのが嫌なの!
「同じちゃうん?」
「全然、違う!」
「あはははははは!」
「いやー、若い子は元気があっていいねー!」
「あっ! あんたでしたか・・・・・・ッチ!」
うわ! いきなりキツネの舌打ち・・・・・・珍しいな。
このキツネが誰かに敵意を向けるのを初めて見たかもしれない。
あ~あ、あんなに牙むき出しにして、全然敵意を隠そうとしない。
何か、この二柱の間にあったんだろうか?
「いやいや、何もなかったよね? キツネくん」
「何も無いわけないやろ! ワシがこの姿なの何でや思ってんねん!!」
「えー! 気に入ってるのかと思ってたのに・・・・・・もっとワーム的なものの方が良かった?」
「何やねん、ワーム的なもんって!! そんなもんワームしかないやんけ!!」
あ、何となく力関係分かったかも。
「そんな~、愛らしくっていいじゃないか」
「一回だけやったらな!! 何でワシだけ依り代必要やねん!!」
「だって、触れ合いたかったんでしょ?」
「触れ合い方にもいろいろあるわい!」
あー、過去に何か悪戯的なことされたんだな。
んー、じゃあこの神様は悪戯の神様と呼ぼう。
「あー、キミキミ。その呼び方はあんまりよろしくないかな」
「それでええ! ずっとそう呼んであげて」
「改めまして、グーテンターグ。ようこそ僕の庭に」
「あんたのちゃうやろ、主神さまにまた怒られろ」
うん、今回はドイツなのね。
まー街並みは明らかに外国ですけど。へー、初めて来るなぁ~。
ドイツって何気に行ったって言う人見ないよな。なんか、寒いイメージだったけどそうでもないな。
「そうでもないよ? ほら」
パチンと指が鳴ると・・・・・・。
「・・・・・・変わりませんけど?」
「あはははは、今の季節はね」
やっぱり、悪戯の神様だな。この神様。
「で? 何ですの、依頼って」
あれ? キツネも聞いてないんだ。
「ああ、ちょっとしたものなんだけど、もうこの地域には必要なくなっちゃったんでね」
街並み見渡しても、それらしいもの無いよな?
・・・・・・もしかして、また空とか? ・・・・・・ないな。
あっ! この前のネリフィム族の! おーい!!
あっ! 手振り返して・・・・・・あれ? 行っちゃった。
なんか、隣を見て逃げたような?
「だいたいがコイツの被害者やからな。この世界の住人は!!」
「たまたまだよー」
ええ~、ホント何したんだ、この神様。
「いやいや、本当に大したものではないんだよ? ただちょっと厄介なことになっててね」
うわぁ~、神様が厄介ってもう嫌な予感。
「ちょっとさ、金を創りだす装置だったんだ。・・・・・・昔はね」
昔は? で、今は?
「今はさ。ほら、何でも金で解決する時代でもないだろ? だから、金を含むものを創りだす遺跡に作り替えたんだよねェ~」
? 視線が泳ぎ出したな。
金を含むね。まあ、いろんな触媒に使うよな、電子機器の。汎用性高そうな遺跡になりそうだな。
「そう! それで・・・・・・終わってたら、良かったのにねぇ~」
え? あれ? その反応・・・・・・そうじゃないのか?
金を含むね・・・・・・電子機器ってどこまで作れるの?
まさか、完成品が出てくるとかないよな。部品だけだよな? 基盤までとかだよな!?
「あは、あははははは。・・・・・・はぁ」
マジかよ。それ、・・・・・・ほとんど『万能の槌』じゃん!!
金を含んでれば、何でも制限なく製作可能な遺跡。
そう、何でもだ。
いかに想像力に乏しいこの世界の住人でも、そんな四次元〇ケット見つけたら悪用しない方が難しいだろう。
例えば電子制御の兵器類。
魔法があるこの世界でも・・・・・・いや、この世界だからこそ威力を発揮する。
魔法とは違い、魔力も祈りの時間も必要としない。しかも誰でも使えて効果が均一。
何より、防ぐ方法が限られている。
耐防御魔法系は、一様に祈りの時間が多いことで知られている。
短いもので30分、長いものだと3時間はゆうに超える。
そんなものでは、防ぎようもない。
「いやー、びっくりだよね」
「びっくりだよね。ちゃうわー!!! アホか、アッホなんか!? もう、手に負えん。主神様呼びだそ」
「わー! ごめんって!! やめて、本当にやめて!! 子供たちの前でもう、尻とか叩かれたくないの!!」
「知らんわ!!」
こりゃ、無理だよ。帰ろ。
「待って!! 帰らないで!! 手はあるから、本当に帰らないで!」
手がある? 嘘だぁ~。
「本当だよ!!」
えー! 信じられない。
けど、まあ。聞くだけなら・・・・・・ね?
次回投稿は11/06を予定しております。
では、次回投稿で。




