31話
「ふ~ふ~ふん、ただいま戻りましたよー!」
「なんや、良いことでもあったん?」
おっと、浮かれすぎてたか。いかんいかん。
「なんやねん、変なやっちゃな」
うんうん、何時のは気になるキツネの視線も今日はそうでもない。
ムフフ。いやー! 生きてるって素晴らしい!!
「ああ、哲夫君戻ったか。丁度良かった」
「あ、瑠璃男さん。件のロケットばっちり壊しときましたよー!」
「ああよかった。・・・・・・機嫌が良さそうだね? さては、これがばれてたかな?」
? なんだ?
瑠璃男さんから渡された、茶封筒。
なになに? また依頼か?
まあいいや、だって俺はいま、生きる喜びを見つけることが出来たんだから!
どんなアホな依頼でも出来る気がする。
「アホってなんやねん。一応神様のお願いやぞ」
さて、今回の依頼は何かなぁ~。
・・・・・・え?
あれ? 目がおかしくなったかな?
何か、紙の束が入ってるんだけど。これってなにかな?
遠い昔に似たものを見たことがあったような?
「ぐすっ、ごめんな哲夫君。万札がそんな遠い記憶やなんて、ホントにごめんな」
やだな、泣くなよ。・・・・・・? まんさつ? え?
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「五月蠅いうるさい! 驚きすぎやろ! 元大人が10万ぽっちで驚きすぎやろが!」
「じゅじゅじゅ・・・・・・10万円!!!! なんで? え? なんで? なんでお金?」
え? え? 意味わからない。
もしかしてマフィヤ的な、死ぬ前に油断させて絶頂の中処分的なアレ?
「せーへんよ、そんな事。いや、こんなんなってしもうたのも、ワシの責任やな」
え? キツネが泣てる・・・・・・。
やっぱり、俺死ぬの?
死ぬ前にうまい物食べろ的な?
「いやいや、そうじゃないんや。ほら、食費だけでもあげよって言ってたやん?」
・・・・・・あ、ああ、アレね? 言ってた言ってた。
「いや、絶対忘れとったやろ! んん! まあ、そう言う訳や。大事に使うんやで?」
え!? 何食べよう! ねえ、何食べよう!!
! そうだ、肉!! 上手い肉食べよう!! いっぱい肉を食べよう、そうしよう!!
「子供か! ・・・・・・言っておくけど、それ一か月分やから。多分それが最大額やで?」
一か月10万円かぁ~。いやぁー、十分すぎるな。
さらば! 野草!! 命を繋がせてくれて、本当にありがとう!!
「仕事量によっては、もっと減るかもな」
ん? キツネよ、何かボソッと言いやがりましたか?
「いや、今回はこれまでの分と合算したし、仕事量に応じて渡したから多分、これからはもっと少ないでな?」
「あー、そうなってしまうかな。申し訳ないね哲夫君」
えー!! 俺頑張ってるじゃん? すっごく危ない仕事してるじゃん?
なのに、毎月10万円ももらえないの?
超絶ブラック企業だな! 魔術教会って!
「いや、会社ちゃうし。それにキミ、借金の件、忘れてへんよね?」
ぐぬぬ! そう言えば、そうだった。
でもさ、俺超頑張ったんだぜ? 命張ってさ、神様に喧嘩売ったりさ。
「それや、それはアカンねん。もちょっと穏便に仕事しなさい。どこの世界にクライアントに喧嘩売るやつがおんねん」
「えー! 異世界ものなら居ても不思議じゃないじゃん」
「おい、アホが居るぞ、ここに超絶アホが降臨しとるぞ! ラズリー、仕事より学業優先せなアカンようや」
「不味いことになりましたね」
うっそ! 冗談じょうだん。
「神様に喧嘩なんて売らないよ、だって勝てないんでしょ? やらないやらない」
「繰り返すのはうそ言ってる証拠やで?」
「そんな事ないない」
「まあ、前科あるんやから、滅多な事言わんほうがええで」
ふー、危ないあぶない。
「そう言えば、俺の借金ってどれぐらい残ってるの?」
「全然減ってへんで? むしろ増えてるで?」
「ああ、一応計算してもらったのがここにあるけど、見るかい?」
いや、見るでしょ? 自分の借金なんだから確認は必要でしょ?
なぜか瑠璃男さんが申し訳なさそうに、一枚の紙きれを差し出す。
大丈夫、最初に聞いてた額の給料なら直ぐに・・・・・・ぶぅぅぅぅ!!!
「汚っ! なにしてんねん、キミ」
えー? え? えええええええ????
「減ってない、寧ろ・・・・・・増えてる」
「さっき、言ったやん。なぁ?」
うそ、え? なんで?
紙に書かれた金額、それは辛うじて百万の単位で押しとどまっていると言って良い金額。
最初、200万だったよね? あっ! そうだった、『万物の槌』。アレかぁ~。
本当に忘れてた。そうだった。
「一個500万かぁー」
「そうやな、フックショット? に、スーツ二着で三個使ってるもん」
「まあ、教会始まって以来の新記録ですがね」
そんな記録はいらないー。
うわぁ~、マジかぁ~。
手元の10万円が、いきなり少なく感じる。・・・・・・この数字はもはや暴力だ。
こりゃ、野草さんにこれからもお世話になることになるかもな。
「良い事教えたる、キノコはやめとき。キミの世界やと、カエンタケやっけ? あれと同等かそれ以上のもんがこの世界にはゴロゴロあるから、絶対に手は出さんようにな」
そんなぁ~。これからの季節、キノコ重要なのに。
・・・・・・山の女神様に頼んで、食べられるキノコ教えてもらおう。
「神様を近所のお姉さんみたいに頼るやない! ホント反省せーへんな、キミ。相手は神様や、ちゃんと口に出して確認しなさい」
「・・・・・・相手は神様」
駄目かぁ~。
次回投稿は10/31を予定しております。
では、次回投稿で。




