↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/13

最終章 「最近のなろうは変わったな」と思っていた

ここまで。


なろう作品がどう変わったのかではなく。


それを十数年読み続けてきた、


私自身がどう変わったのか


を振り返ってきた。


書き始める前は。


もっと単純な話になると思っていた。


歳を取って。


重い話が苦手になって。


主人公最強やスローライフを、以前より選ぶようになった。


まあ、そんなところだろうと。


だが。


実際に一つずつ考えてみると。


思っていた以上に。


私はずいぶん変わっていた。


なろうを読み始めた頃。


異世界へ行く。


それだけでも面白かった。


知らない世界。


知らない魔法。


知らない能力。


冒険者ギルド。


ステータス。


スキル。


そういうものを、一つずつ知っていくこと自体が楽しかった。


今ではどうだ。


鑑定。


はいはい。


収納。


はいはい。


冒険者ギルド。


分かります。


追放。


なるほど、この後はだいたい分かります。


悪役令嬢。


はい、破滅回避ですね。


完全に慣れた。


というより。


覚えすぎた。


そして。


覚えすぎたからこそ。


昔とは違うところを見るようになった。


追放ものなのは分かった。


では、何が違うのか。


主人公最強なのは分かった。


では、その強さで何をするのか。


ダンジョンものなのは分かった。


では、配信するのか。


会社を作るのか。


現代なのか。


異世界なのか。


基本形では驚かなくなった。


その代わり。


基本形の上に乗った、


ほんの少しの違い


を楽しむようになった。


考えてみれば。


なろうそのものも、ずっとそうやって変わってきたように思う。


異世界転移。


転生。


チート。


料理。


生産。


内政。


農業。


追放。


ざまぁ。


悪役令嬢。


スローライフ。


現代ダンジョン。


配信。


現代転生。


異世界帰り。


一つの型が広がり。


読者が慣れ。


そこへ何かが足され。


それがまた広がる。


そしてまた慣れる。


その繰り返し。


昔からあった異世界転移や転生という題材が。


なろうという巨大な場所で。


ひたすら煮込まれ。


混ぜられ。


何かを足され。


気がつけば。


とんでもない種類の料理になっていた。


だから。


「なろう系」という言葉を一つのジャンルとして扱うのは。


今となっては、かなり無理があるのかもしれない。


異世界転生もなろう系。


悪役令嬢もなろう系。


現代ダンジョンもなろう系。


配信ものもなろう系。


スローライフも。


ざまぁも。


俺TUEEEも。


全部一緒に入っている。


そう考えると。


なろう系とは、一つのジャンルというより。


読者が飽きるたびに、中身を入れ替え続けてきた巨大な仕組み


みたいなものなのかもしれない。


だから私は。


十数年読んでも。


まだ飽きていない。


いや。


正確には。


何度も、


「そろそろ飽きたかな」


と思っている。


異世界転生ばかりだな。


追放ばかりだな。


悪役令嬢多いな。


またダンジョン配信か。


そう思う。


そして。


次の作品を開く。


……読んでいる。


全然やめていない。


一方。


私自身も変わった。


ただし。


ここまで書いてきて分かったのは。


私は、軽い話が好きな読者へ別人のように変わったわけではない。


昔から好きだったものは、今も好きである。


変わったのはむしろ。


そこから外れた重い話や、長く負荷のかかる話まで楽しめていた、


読書の守備範囲


の方だったのかもしれない。


昔は広かった。


今は少し狭くなった。


その代わり。


自分が本当に好きな場所は、ずいぶんはっきりした。


昔は。


主人公が弱くても。


そこから強くなっていく過程を楽しめた。


今は。


「どうせ強くなるなら、最初から強くてもいいんじゃない?」


と思う。


昔は。


主人公が絶望的な状況へ追い込まれると。


「ここからどう逆転するんだ?」


とワクワクした。


今は。


「これ、何話くらいしんどいのが続くんだろう……」


と思う。


昔は。


次に何が起きるのか。


その刺激も、今より大きかった。


今は。


好きな世界なら。


何も大きなことが起きなくてもいい。


村が少し大きくなった。


新しい仲間が増えた。


美味しいものを食べた。


それだけでも読める。


むしろ。


それがいい。


主人公最強が好き。


低ストレスがいい。


コメディも欲しい。


周囲から好かれてほしい。


長編がいい。


でもマンネリは嫌。


テンプレは好き。


でも一つくらい新しいものが欲しい。


安心したい。


でも退屈はしたくない。


改めて考えてみても。


注文が多い。


昔よりずっと面倒な読者になった。


ただ。


同時に。


昔より自分のことを分かっている読者にもなった。


以前なら。


途中で読まなくなった作品を、


「つまらなくなった」


と考えていたかもしれない。


今なら。


少し違う見方ができる。


作品が変わったのかもしれない。


でも。


私が変わったのかもしれない。


昔の私には合った。


今の私には合わない。


逆に。


昔から好きだった安心して読める作品を。


今は、以前より頻繁に選ぶようになった。


作品と読者の関係は。


固定されたものではないのだと思う。


考えてみれば。


これは当たり前の話なのかもしれない。


十年以上も経っているのだ。


その間に。


仕事も変わる。


生活も変わる。


人付き合いも変わる。


体力も変わる。


一日の使い方も変わる。


なのに。


物語に求めるものだけが。


十数年前と全く同じである方が不思議なのかもしれない。


第一部を書いた時。


私は、


なろう系がどう変わってきたのかを振り返った。


そして。


「はいはい異世界転生ね」


と言えるほど。


私たちは、その文法に慣れてしまった。


第二部では。


その作品たちが。


Webの中から外へ出て。


書籍になり。


漫画になり。


アニメになり。


「原作、なろうだったの?」


と言われるところまで広がっていった話を書いた。


そして今回。


第三部を書いて。


ようやく気づいた。


作品も変わった。


なろうも変わった。


読む場所も変わった。


世間の見方も変わった。


だが。


ずっとそれを見ていた私だって、同じように変わっていた。


では。


なろうが私の好みに合う方向へ変わったのか。


私が、なろうに合う読者へ変わったのか。


たぶん。


両方なのだと思う。


読者が求める。


作品が変わる。


新しい作品を読む。


読者もまた慣れる。


そして好みが変わる。


その変化に合わせて。


また別の作品が出てくる。


作者と読者。


作品と流行。


その全部が影響し合いながら。


ここまで来た。


だから。


「最近のなろうは変わったなあ」


と思うことは。


これからもあるだろう。


新しい流行が出てきたら。


「今度はこれか」


と思うだろう。


知らない言葉が流行ったら。


「何だそれ」


と言うかもしれない。


そして少し読んで。


仕組みを理解して。


しばらくすると。


また、


「はいはい、それね」


と言い始める。


きっと。


この繰り返しなのだ。


十数年前。


異世界へ行くだけで面白かった私が。


今では。


主人公最強で。


低ストレスで。


コメディがあって。


長編で。


でもマンネリせず。


テンプレだけど少し新しくて。


できれば周囲から愛されていてほしい。


そんな細かい注文を付けながら。


今日も作品を探している。


ずいぶん変わったものである。


そして。


たぶん明日も。


新しい作品のあらすじを見て。


こう言うのだ。


「はいはい、今度はこれね」


と言いながら。


一話を開く。


二話を読む。


三話を読む。


気がつけば。


百話くらい読んでいる。


……。


結局、飽きてないじゃん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。