エピローグ……Ⅱ
事件を解決した俺は、その夜、異世界観覧で花守を訪ねた。
「花守、いるか?」
「わわわ、大門部長! 急にどうしたんですか!」
眼鏡をかけてパジャマ姿の花守が、赤くなって慌てている。
「あ、あのですね、今度から来るときは、声からかけてもらっていいですか!」
「判った、そうする」
俺の霊体を見て、花守がクッションを抱えた。
「心配したんですよ。……あれから、三日間も連絡がなかったから。もしかしたら、全部、わたしの妄想だったんじゃって疑っちゃいましたよ」
「悪いな。こっちの事件はおかげで片付いた。が、その際に俺も負傷して、三日間寝込んでたんだ」
「はあ……大門部長は異世界行っても全力ですねえ」
花守が呆れたようにそう呟く。
「こっちも大変だったんです。黒須が潜伏していたホテルの部屋で、銀髪の老人が殺されてたんです。新たな黒須の被害者と思われます。――けど、この老人、未だに身元が不明なんです」
ゼブリアット枢機卿の遺体か。当然、身元など判るはずもない。
「それは実はこっちの人間だ。どれだけ調べても、そっちの世界で判ることはない」
「そうなんですか! それに、その後、黒須も河川敷で死体になって見つかるし……もう、この事件は迷宮入りですかねえ」
なに。
黒須が死体で見つかった?
「……黒須が死体で見つかったって、どういう事だ?」
「ああ、ナイフか何かで刺されたみたいです。目撃情報もゼロで、こっちもほとんど手がかりがありません」
「他殺か――」
黒須が殺された? 誰にだ?
まさかとは思うが、殺した奴はこっちの世界に操られた奴だとか。
……まさかな。
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