小田原城へ向かう予定です。
さて……これからどうしよう。
北条 氏綱殿と会う為に小田原城へ向かう途中なのだが、もう会ってしまい、全てを北条 長綱殿に丸投げをして去って行った。
長綱殿の方を見ると長綱殿はため息をしながら、とりあえずお茶でも飲みますか…
せっかくなので私が持っている煎茶を入れて飲む事になった。
別室で待機していた小姓の岡部 五郎兵衛と瀬名 勘十郎を呼び、お茶を淹れてもらう。
小姓、側近の中で美味しいお茶を淹れれるのはこのこと2人だ。
私が淹れた方が美味しいけどね!!
私がお茶を淹れて飲もうとすると皆に嫌な顔をされる。
私が料理をする時は何が出来るのか、目をキラキラさせながらワクワクしているのにな…
そんな事を考えていると五郎兵衛がお茶を差し出してきたので受け取ってお茶を飲む。
ほっとするね。
長綱殿を見ると私と同じようにほっとした表情をして美味しいと言いながらお茶を飲んでいる。
このお茶は私のお土産の名産品詰め合わせセットに入っていると伝えると喜んでいた。
お茶を皆に配った、五郎兵衛と勘十郎はそのまま退席したので長綱殿と話し合いを始めた。
話し合いの結果、武田 信虎の心次第なのでこれ以上の話し合いは無意味という事になった。
後はお屋形様の仕事だという事になった。
武田家と交渉をするのはお屋形様と今川双頭家老の三浦 氏員殿と朝比奈 泰能殿が中心になるのだから。
私の今回の役割は北条家に今川家と武田家の同盟締結の承諾を受ける事と、三国同盟の締結を北条家に提示する事ですでに任務は遂行している。
北条家から、今川家と武田家との同盟締結の了承を得た事を急いでお屋形様に知らせる為、政棟の配下の者に今川館まで行ってもらう事にした。
加えて、北条家は三国同盟の締結に前向きだと伝えてもらい、私は小田原城へと向かうとも伝えてもらう。
長綱殿からせっかくここまで来たのだから一緒に小田原城まで行きましょうとお誘いを受けたので太原 崇孚と相談した結果、小田原城へと向かう事にした。
崇孚は私と北条家の繋がりも出来る事の利点をあげ、氏広殿は久しぶりに実家に行きたいと言い出し、長綱殿は私に実家を自慢したかったようだし、私も小田原城を見てみたかった。
柳生 家厳、松永 久秀、松山 重治も、私が日頃から北条家は民を思いやる政策を実施していると好意的にしている為に北条家に興味を持っているとの事だ。
北条家の本拠である小田原城を見てみたいと感じているようで、私が小田原城へ向かう事に反対しなかった。
小田原城へ向かうのだが……
長綱殿がせっかくの機会なので氏綱殿と一緒に小田原城へと向かいましょうと言ってきたのだが、断る訳にもいかず氏綱殿とともに小田原城へ向かう事になった。
氏綱殿の護衛として【松田 盛秀】殿【大道寺 盛昌】殿【石巻 家貞】殿が同行していた。
盛秀殿は小田原城の奉行と評定衆を務めている。
盛昌殿の父親は御由緒六家の1人【大道寺 重時】殿でやはり内政手腕に長けている。
さらに猛将としても知られており、氏綱殿に信頼されて重用されている。
家貞殿は小田原城の内務管理を取り仕切っている。
重治の話では氏綱殿は家貞殿が疲れ切っていたので、家貞殿を温泉に入れる為に箱根までやって来たそうだ。
なぜ、重治が知っているのか?
それは温泉に入っている時に氏綱殿から聞いたそうだ。
家貞殿は、誰のせいでこうなっていると……
ぶつぶつ、氏綱殿への愚痴を呟いていたそうだ。
氏綱殿は愚痴を呟く家貞殿に笑いながら、お前がいるからワシが好き勝手出来るのじゃ!!と悪びれずに言い放っていたそうだ。
氏綱殿は家貞殿の疲れが取れるまで後、2、3日ゆっくりとするそうなので私たちもゆっくりと温泉に入って過ごす事にする。
せっかくなので芦ノ湖で釣りでもしようかな…
材料を調達して何か料理でもして家臣たちに振る舞おうかな?
その呟きを聞き取った家厳は、それならば前に作っていただいた蕎麦切りが食べたいと言い出した。
醤油、味醂、鰹節が出来たので昆布も手に入れて蕎麦つゆを夢男から教えてもらい試行錯誤して、蕎麦打ちの練習をして家臣たちに振る舞ったが皆から好評だった。
特に家厳は気に入ったようで、私が蕎麦打ちの腕を上げる為に練習をすると必ず食べに来ている。
家厳だけは私が作った蕎麦切りを一回も食べ逃した事が無い。
材料が有れば作ると言うと笑顔で材料なら持って来ていますと言うので長綱殿に台所を借りる事をお願いしよう。
長綱殿所に出向き、台所の使用許可を取ろうとしたらそこには氏広殿が何を作るのか聞いて来たので蕎麦切りと答えたら、私の分もお願いしますと氏広殿に言われたので材料は多めに有ると聞いているので多めに作るので大丈夫ですよと伝えた。
台所を使用していない時なら使用しても良いと言われ、台所の責任者を呼んでくれた。
責任者の名は【弥助】と言うらしい。
私も名乗り、挨拶をして台所に案内しますもらう。
今の時間ならしばらく使用しても良いと言うので早速蕎麦を始めると弥助は興味津々でみている。
私は思ったより多く蕎麦が有ったので蕎麦つゆはつけ汁とかけ汁を作る事にした。
暖かい蕎麦と冷たい蕎麦を今回は楽しもう!!
小姓の岡部 五郎兵衛、柳生 新介、瀬名 勘十郎が手伝いをしてくれている。
荻 君誉はまだまだ手伝いできるほど料理が上達していないので大人しくしてもらっている。
家厳は私と一緒に蕎麦を打っている。
メキメキと蕎麦打ちの腕を上げているな…
私も負けないように精進しなければな。
家厳は私の剣の師匠だが、私は家厳の蕎麦打ちの師匠だ。
蕎麦つゆも作り終わり、蕎麦も打ち終わり少しだけ茹でて私と家厳と弥助で味見をする。
家厳は自分の打った蕎麦に満足しているようでしきりに頷いていた。
弥助は食べた瞬間、目が見開き、美味い!!と叫んだ。
弥助も気に入ったようで、是非作り方を教えて欲しいと言うので蕎麦を用意してくれれば作りながら教えますよと答えると明日には届くようにするからとの事だ。
夕飯の支度の為に皆が集まって来たので邪魔にならないように蕎麦切りを持って撤退した。
夕飯の支度が終わった頃にかけ汁を温め、蕎麦を茹でて家臣たちと夕飯に蕎麦を食べていると氏広殿が現れた。
かけ蕎麦とざる蕎麦のどちらにするか尋ねると両方を少しずつと言われたので勘十郎が手際よく準備をしていると氏綱殿と長綱殿が現れた。
どうやら蕎麦切りが気になった為やって来たそうだ。
蕎麦を受け取る氏広殿を見て、2人とも氏広殿と同じ物を注文した。
2人とも蕎麦切りの美味しさにびっくりしていた。
氏綱殿はざる蕎麦が好みのようで長綱殿はかけ蕎麦が好みのようだ。
明日、弥助に蕎麦打ちを実演しながら作り方を教える事になっていると長綱殿は喜んでおり、氏綱殿は小田原城に着いたら小田原城の料理人にも蕎麦切りの作り方を教えてくれと言われたので承諾した。
氏広殿がおかわりを所望したがちょうど蕎麦切りも無くなったので、明日に蕎麦を打つのでその時まで我慢した下さいと告げた。
明日は氏綱殿が家臣たちにも食べさせたいと言い出したので、長綱殿も家臣たちに食べさせたいと言い出した。
長綱殿は弥助を呼び出し、明日は皆で蕎麦切りを食す事になったと告げて、明日は頑張るようにと励ました。
家厳、明日も蕎麦打ち、一緒に頑張ろう!!