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第二話 零動の剣士(改)

 次の瞬間、世界が歪んだ。

 

 銃声が引き伸ばされ、弾丸が空中で微かに震える。

 止まったように見えるが、違う。

 

 ――鎮まっている。

 

 俺は、深く意識を沈める。

 


 ――《能力・抑界》――

 


 周囲の“力”が削がれ、均され、静まっていく。

 

 空気が重くなり、音が遠のく。

 

 集中しろ。

 感情を浮かべるな。

 

 ほんの僅かでも意識が揺れれば、この領域は崩れる。

 視界が狭まる。

 

 思考が細く、鋭く尖っていく感覚。

 ……長くは、持たない。


 ――――――――――



 弾丸の動きが弱まった瞬間、俺は地を蹴って走り出す。


「……なんだ?これ……弾丸が宙に浮いてやがる?!」


 近くにいた呆気に取られている敵の背後に周り、木刀を構える。


 こいつらに刀を使うほどの価値はない。

 

 「……少し、眠れ」


 首筋へ、正確にひと突き。

 糸が切れたように、男が崩れ落ちる。


 ――一人、二人、三人。

 踏み込み、振り抜き、沈める――斬撃は嵐のように連鎖し、目では追えない速さだった。


 振り返る暇もなく、通り過ぎた場所には、敵が無数に倒れていた。


 だが――

 頭の奥が、軋む。


 視界の奥がゆがみ、仲間の声が遠くなる。


 集中を切るな。

 切れば、全員が死ぬ。

 その思考だけを、必死に縛り付ける。



 ――――――――



 「クソっ、こいつ……バケモンか……」


 敵のリーダーらしき人物の目に恐怖が宿る。

 鬼塚は瓦礫を盾に接近戦、鷹宮は高所から狙撃――残りの敵は数少ない。

 

 ――まだだ。


 このままでは精神が先につぶれる。

 俺は、最後の一手を選ぶ。


 足を止め、深く構える。

 

 意識をさらに削り、すべてを一点に束ねる。

 

 ――これ以上は、戻れない。

 


 ――《抜刀術・桜花爛漫》――

 


 世界が、静止した。

 

 風が巻き、視界に舞う幻の花弁。

 それは斬撃の軌跡となり、空間を裂く。

 

 鎮められていた弾丸が、一斉に力を失い、雨のように落ちた。

 

 敵は、なすすべもなく倒れていく。


 

 ――――――――



 何が起こってるんだ?

 仲間たちが次々と倒れていく。


 「な……なんだ……あいつ……」

 

 視界の端で木刀が仲間を斬り裂く。弾丸も能力も、あいつの前では無力だった。

 

 そして――俺の視界に、神代、()()()()()が現れた。

 

 その瞳には狂気とも理性ともつかぬ冷徹さが宿り、空気ごと凍りついた。


「くそ……こんな……勝てるわけ……」


「リーダー!早く撤退の指示を!」

 

 体が動かない。言葉も出ない。

 心臓が凍りつき、呼吸すら奪われる。仲間の悲鳴も、視界に映る光景も、まるで夢の中の悪夢のようだった。

 仲間たちは倒れ、俺も逃げ場を失った。


 その目には戦う意思だけでなく、すべてを切り裂き尽くす冷徹さが宿っていた。狂気と理性が混ざった、異様な存在感。


 そして次の瞬間、背後から――。


 「……抵抗するな」

 

 冷徹な声と共に意識は闇に沈む。

 残された仲間たちの無残な姿と、凍りついた恐怖だけが、目に映った。


皆さん、二話を読んでいただきありがとうございます!

今回は神代の力と零動の剣士としての姿を初めて見せる回でした。戦闘描写が長くなりましたが、緊張感や恐怖を少しでも伝えられていたら嬉しいです。

次回は、神代の過去と家族との日常を描きます。戦う彼ではなく、守るために悩み、笑い、傷つく普通の人としての一面に触れられる回です。


この回は改変済みです。

もちろん最後には、少しだけ戦闘も…! 神代の“日常”と“戦い”の両面を見られる回になるので、お楽しみに。

読んでくれる皆さんのコメントや感想は、作者にとっての大きな励みです!

次回もどうぞよろしくお願いします。

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