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ミミックボランティア 留年妖魔と偽りの土地神少女  作者: ムタムッタ
chapter 2 碧海サル殻合戦

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2-1(3)強制返戻②


 翌日。新たなお仕事を課せられた俺は荒れ果てたひすい公園の花壇の手入れをしていた。


「ったく、どんだけ暴れたらこんなことになるのかねぇ」


 現場に来た途端、気分こそ最悪だが『強制返戻』は起きない。散乱していた薬莢や土に埋まった銃弾を拾い集め、いざ花の種蒔きの用意。土をもう一度耕す。

殻装キャラペイサーの両肩および両腕に搭載された武装による制圧射撃の結果と考えれば妥当です」


 いかにも慣れてなさそうな腰付きで、涼香が鍬を振るう。柄の付け根まで鍬が土にめり込む。今日もまた、あの赤い強化外装・殻装とやらを身に纏っているのである。


「あのなぁ………」

「加えて言えば、わざわざ戦闘要員である我々が花植えを行う必要性はないと考えます」


 涼香は手を止め、不満気にこちらを見据える。必要ない──そう言っているが、ほぼ8割の作業を涼香が行ってくれた。


「ここまで協力はしましたが、植栽と土地神の責務に関連性を感じられません」

「こらこら、あまり漆葉君を困らせたらダメだろう、涼香」

「お────博士………」


 昨日の格好とは打って変わり、ツナギ姿の桧室博士が現れる。他の区画を職員に混じって手伝ってくれていたようだ。


「いやぁ昨日はすまなかったね!」

「ま、博士も怒られてたしもういいでしょ」


 白神をお姫様抱っこしたことは置いといて。母の話を反芻する。

 内容としては、公共の場所を兵器まがいの装備で荒らしたことは昨日撤収後に榊支部長からこっぴどく怒られた。桧室博士もやや調子に乗っていたことで注意を受けたらしい。

 民間人の怪我人がいなかったことが唯一幸いだったが、新型装備の殻装を見た住人からは『過剰すぎるのではないか?』と懸念を含めた苦情が来ていたそうな。


(今までも銃自体は使ってたけどな………)


 一応、殻装のモニタリングは続くようだが、一部装備はオミットされる運びとなった。今の涼香が装備している殻装には両肩に載せていた銃口は消え、両腕に備えられていた腕部の銃も左腕のみになっている。昨日と比べるとスッキリし、見た目上は白神の使っている強化外装に近い。


「アレのフルスペックが出せないのは非常に残念だね! せっかく復活したという黒蜥蜴相手に実験したかったんだが!」


 豆鉄砲の相手ならいくらでもしてやるつもりだが、これ以上碧海市が荒らされるのは勘弁。


「結局キミの能力について色々聞こうかと思っていたが昨日の一件で有耶無耶になってしまったね!」

「は、はぁ…………」


 この博士とやらの相手も面倒だな……早く白神に押し付けたい。


「お父さん、種蒔きまで終わりました」

「そうか! では、後は殻装の調整をしよう。武装が少なくなった分バランスが………」


 作業も終わり、桧室親子も撤収を始めた。

 ………博士のことはっきりお父さん呼びしたな。

 ひとまずダメになった花々は対策課が対処し、芝生や道の舗装は業者に協力を得て元に戻す目処はついた。


 これで………いいんだよな?


 と、胸ポケットのスマホが震える。着信は榊支部長から。


『公園の復旧はどう?』

「まぁ粗方終わったとこです。あとはちゃんと手入れすれば元通りにはなるんじゃないですかね」


 そう、と報告を聞いた榊女史は話題を変えた。


「夕緋──白神さんの様子を見てきてもらってもいいかしら? 大丈夫だとは思うけど。昨日連絡した通り、入院しているのでお願いしますね」


 了解、とだけ返して通話を切る。

 母親の親切な行動の後だ。白神がどんな態度を取るのか予想できないが、面倒なのは確実だ。気の乗らないまま、白神のいる病院へ向かった。



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