畑を作る! ④
♢12♢
4時55分。遅れるヤツもなく無事に全員集合。5分前じゃし、こんなところでしょう。
「おはよう。さっそく君たちの作業内容を説明する」
「「おはようございます」」
「全員分の桑を用意した。最初はこれを使って土を耕す。その際に地面にある石やゴミなんかを取り除く。これを全面やる」
全員分の道具は用意してきた。タダで。世の中には心優しいチンピラたちがいる。
道具を買ってくれるだけでなく、ここまで運んできてくれたのだから。いのちはだいじ。
「重要なのは役割分担だ。杭打ちでも分かったと思うが、勇者はゴミ。土に埋めたいくらい。しかし、勇者がリーダー。よって耕す係のメインは勇者。もう1人スケさん。カクさんとアンは石を拾う係」
「なんで俺が……。昨日の働きを見る限り、スケさんカクさんが耕す係じゃないのか?」
「途中で交代して行うこととする。大事なのはチームワークと役割分担だ。合図があるまで続けろ。休憩と終了は合図するから。 ──始め!」
「俺の話が聞こえてない?」
ゴミ……勇者以外の全員はすぐに動き出す。
勇者は1人だけ決められた係に文句があるらしい。
「早く行けよ、リーダー。それとも石と一緒に拾って捨てるか?」
「その方がいい! 俺はこんな作業やりたくない!」
「わかった。ちなみに石はこのようにして捨てる」
儂が乗っかっていた足元の石。
目印にちょうどいい、目立つ大きな石がある。人力では掘り出すのも難しい石が。
その石から飛び降り、手で触れる。
ピシピシ、──ボン!
そんな音がして石は粉々に砕け散り、サラサラの砂のようになる。
「勇者くんもこうしてやろう。動くなよ。なに……一瞬だ。痛みも感じやしないさ」
「──リーダーが今いくよ! みんなまっててくれ!」
青い顔をした勇者が駆けていく。
逃げ足は悪くない。実にあいつらしい。
「最初から大人しくやらんか。さて、暇になった。手を出すわけにもいかんし……アンの作業姿でも見ておこう」
ヤロウたちは別にいいや。サボってたらぬっころすだけだし。
2時間くらいだな。いきなり長時間やらせるのもな。もう少ししたら朝飯の用意しにいこう。
ちなみにこの作業。畑を作るに、魔王を倒すに関わる内容はほとんど含まれていない。
ただ、人手が欲しかっただけなんだ。
しかし、あいつらには何もかも足りない。
チームワークもないし、チーム内の役割も決まっていない。
勇者と仲間たちと言うだけで、実際にはただの遊び人仲間。まずはそこから変えなくてはならない。
いっぱしの勇者パーティくらいまでは。
ついでに体力もつくだろう。
勇者のクズさも減るといい。なおいい。
全面耕すのに何日かかるか。
儂がやったら1日で終わるとは言えんな……。
♢13♢
耕す作業は全然進まなかった。
初日だし要領が悪いのはしかたない。
それを補うチームワークもないしな。
「か、身体中が痛い。明日は筋肉痛で動けない!」
合計5時間くらいの作業で勇者は音を上げる。
アンと、女子と大差ない体力に筋力なのかこいつは……。
「明日も5時からだからな」
「もう無理だ。死んでしまう……」
「別に勇者が死んでもいいから。5時からだから。遅れたら連帯責任だから」
ゴミでも勇者は勇者。
ゴミのフォローをしなくてはならないとは可哀想だけど、仲間意識は必要。チームワークは大事。
「「マオちゃん厳しい!」」
「あまったれるな。ゴミ勇者の仲間が苦労するのは当たり前! 嫌ならそいつを早く使いものになるようにしろ!」
「……お、俺だけが悪いのか?」
「「お前が悪い!!!」」
お前が悪い。1日でこの様では先が思いやられるが、手は抜かん。
ウルトラスペシャルなコース設定だから。
「ご飯できたわよ」
晩ご飯が完成したようだ。
簡単なものじゃがレシピを与えて、途中までは慣習しました。
料理ができるらしい勇者は、もう動けないので今日もアンがご飯を作りました。
米を炊くは覚えたらしい。次は味噌汁と言ったが、出汁をとる作業だけ気をつければ昨日のようなことにはなるまい。
──ズズッ
「しょっば! 味濃すぎ! 味見したのか、これは!」
「……してない」
「こっちも1日ではダメか。昨日よりはマシじゃが、30点。塩分の過剰摂取で死ぬ。こんな味噌汁は飲めん。勇者全部飲めよ」
「──えっ! 塩分の過剰摂取で死ぬかもしれないのに?!」
1人でやらせるのは早かったか。隣にいてやらんとダメか。
「ごめんなさい」
「大丈夫。勇者が残さず食べてくれるから」
「良かった」
「本当に。本当に俺が1人で?」
誰が他にやるか。もったいないとは思うが無理なものはムリ!
「「俺たちも手伝うよ」」
……なんと。スケさんカクさんは勇者に付き合うと。いいやつら。儂は手伝わんけど。
「飯のあと話がある。儂は風呂にいくから、そのままそこにいろよ。アン、今日こそは一緒に……」
「入らない!」
……知ってた。知ってたよ。
毎日言ってれば、折れるかもしれないじゃん!
わーい、1人でお風呂だ! 以下省略。
理由は……語ることは無いからだ。




