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畑を作る! ③

♢11♢


 何か温かいものがそばにある。

 そんな感じがして目が覚めた。

 まだ暗い。目を凝らすと時計は4時を指している。


 1時間前か。どれ、起きるかな……。


「ところで……これ、何?」


「──んっ」


 温かいものが声を発した。


「にゃーーーーっ! アン、どーして隣に寝ている!」


 そして思い出す。昨夜のことを。


「……あれっ、もう朝?」


 寝巻き姿のアンが隣に寝ていました。なんてもったいない。

 ……違うよ。寝顔を見ていたかった的な意味だよ?


「アサダヨ。ヨジダケド、オキヨウヨ」


「もうちょっと……」


「──ダメじゃ、ダメじゃ。起きろ! いろんな意味でダメじゃから!」


 焦ったー、隣にいるとは思わなかった。

 というか何の記憶もない。ぐっすり寝てた。


 毛布を引き剥がし、布団を引っ張りアンを転がす。


「さ、寒い……」


「起きろ、起きろ。着替えたら台所に集合」


「……なんで」


「朝飯の用意に決まってるじゃろ。昨日のは酷かった。それはもう。ビックリするくらい。教えてやるから、着替えて顔洗ってこい!」


「……Zzz……Zzz……」


「寝るな。シャキッとしろ!」


 本当に1人じゃったら寝坊だな。寝起きの悪いヤツ。

 そして……スキだらけ過ぎる。はだけてるし、チラチラ見えてる。何がとは言わない。


 ふらふらと洗面所に歩いていくアンを確認し、自分も着替えから部屋を出る。朝飯の用意をするために台所へ向かう。


 途中にヤロウ共の部屋の前を通るが、起きている気配はない。


 遅刻したら何させよ……。

 ここいらのモンスターとバトってもらおうかな。絶対に死ぬけど。


「昨日、アンが食材をムダに消費したから買い出しにもいかないとダメかな。そもそも5人分の食料なんてないし、あいつらも入り用な物は出てくるだろうしな」


 買い出しは必須か。

 今日はなんとかなる。明日は買い物に行くか。


「……おはよう……ございます」


 アンがやって来た。が未だに眠そう。


「おはよう。簡単じゃが米だけ炊いておく。おにぎりにでもしようと思う。あとは味噌汁でもあれば……」


「……Zzz」


「立ったまま寝るとは器用じゃな。仕方ない」


 冷凍庫を開けて、氷を握って、細かく砕いて、えいっ!


「……──!? つ、冷たいーーーー!」


「目、覚めた? もっかいやる?」


「覚めたわよ! なんてことするの……」


 ちょっと氷を背中に入れただけじゃん。

 セクハラしたら怒るくせに。ほっぺたでもツネれば良かったか?


「私、料理なんてできないんだけど」


「知ってる。昨日の夜の飯は不味かったね」


「……自分でも思ったわよ。でも、やったことないし」


「最初から出来るやつばかりではあるまい。料理なんぞ最たるものじゃろ。教えてやるから覚えろ」


「えっ、魔王って料理するの?」


 試したことはないが食わないと死ぬと思うし、魔王の周りは自動的にヤロウが多い。

 男飯といえば聞こえはいいが、要は雑な料理でしかない。ヤロウは雑。


「部下はヤロウばかりだからな。料理しないと昨日みたいなのでが出てくるよ?」


「……大変なのね、魔王も」


「最初は米を炊くのを覚えろ。白飯だけあればあとは何とでもなる。オカズは飯を炊けるようになったらじゃな」


「よろしくお願いします」


 なるほど。料理ができないのを気にしてはいたと。

 勇者もできると言ったからか? そういえば、勇者とはどんな関係なんじゃろうか? そのうち聞いてみよう。


「最初は米を洗う。炊く量によって変わるのは水の量だ。最初にちゃんと米をはからんかったから、半生だったんだ。炊くのも炊飯器使うんだからやることは少ない。1回で覚えるように」


「はい」


「米をボウルに入れて水。2、3回かき混ぜたら水を捨てる」


「もっとゴシゴシやらなくていいの?」


「昨日はやったのか……。水が綺麗になるまでやらんくていい。水を捨てるまでを4回も繰り返せば十分だ。やってみろ」


 炊飯器という便利なものがあってあれじゃからな。何も火にかけて炊くわけじゃないのに。

 まぁ、今日覚えれば昨日のようなこともあるまい。


「次はどうするの?」


「炊飯器に入れて終わりだ。水をメモリまで入れて、スイッチ押したらおしまい」


「……これを失敗した?」


「あと、昨日はすぐスイッチ入れたな? 米に水を吸わせる時間が必要なんじゃ」


「水を吸わせるの?」


「そうしないと昨日のようになる。原因はそれだけじゃないがな。夏場なら30分、冬場なら2時間くらいだな。ぬるま湯を使うと20分くらいかな? 今日は忙しいのでぬるま湯を使う」


 米はこれでいい。出る前にスイッチだけ入れれば朝仕事が終わる頃には炊けてる。


「思ったより簡単だった」


「やってこなかったのが問題じゃな。炊けたらおにぎりにする。あとは味噌汁を作って……時間無いから儂がやる。後ろで見てろ。次教えてやるから」


 手早く済ませなくては5時になってしまう。

 勇者たちをシバくどころではなくなってしまう。責任者が遅れるとか示しがつかない。


「すごい。テキパキ動いてる。全然ムダが無い!」


 アンの感想も聞こえているが、反応する時間も惜しい。ヤロウたちより早く外に出なくては。


 最初はひたすら耕す作業じゃな。

 飽きるだろうし1日2部制にして、朝と夕方にやろうと思う。


 それ以外は少しずつ鍛えんとな。魔王をぬっころすために。まずは役割分担だな。


「よし! あとは終わってからでいい。アン、スイッチ入れて!」


「ちょっと、1人だけ先に行かないでよ」


「示しがつかないから、先に行ってるねーー」


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