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灼熱の誓い

アピスが二人の元へ歩み寄る。

「ごめんなさい……本当にごめんなさい。私は全てを知っていながら、ずっと嘘をついていた。あなた達を見ていると、本当に幸せそうで――話す勇気がなかった。恨むなら、私を恨んで。あなた達には、その権利がある……」


ネクトリアがアピスを見つめ、拳をぎゅっと握る。

そして――ヴェスピナは、静かに膝をついたままの身体を起こす。

同時にヴェスピナに力強い「魔力」が湧き上がる。羽音が小刻みに震える。だが、その瞳には迷いの影はなかった。


「ウチ…いや私は……。


私の母は、誇り高きミツバチの王女だった…。


私の姉は、慈悲深きミツバチの王女…。


私の妹は、勇敢なミツバチの戦士…。


私は……!!」


予想外の事態に敵軍の増援が迫り来る中

ヴェスピナが空を覆う羽音を鋭く睨みつける


「私はヴェスピナだ!ネクトフラム騎士隊長にして!焔蜂国家ネクトフラムの第二王女――

『スズメバチのヴェスピナ』だ!!!

かかって来やがれクソ共...!!貴様ら一人残らず、バラバラに砕いてやる!!!誰一人として、ウチの家族に触れさせはしねぇ!!!」

ヴェスピナの叫びが、大地を震わせた。

ヴェスピナの全身が震え、荒れ狂う羽音が戦場を引き裂く。

その瞬間――

膨れ上がった魔力の渦から、黒く巨大な槍が浮かび上がった。

「……これが……ウチの力……!」

今まで扱ったことのない、巨大な武装の槍。しかし、それはまだ――単なる“形”に過ぎない。

槍の周囲を包む空気が、じわりと熱で揺らぎ始める。溢れ続けていた膨大な魔力が、行き場を求めるように槍へと吸い寄せられていく。

ギリ……ッ。

羽音が震えるたび、槍身が内側から赤く灼けていく――

ヴェスピナは、強く握り締めた拳に意志を込めた。

爆ぜようと暴れる魔力を、押さえ込む。縛り上げる。無理やり、従わせる。

息を詰め、膝を軸に踏み締めるその姿は――力を支配しようとする王族の覚悟そのものだった。

次の瞬間。

ボォッ――!!

顕現された巨大な夜が、赤く灼熱の輝きを帯びる。

その熱は、怒りではない。

誓いだった。圧縮された魔力が熱となり、周りの空間を歪ませる。

それはもはや、ただの武装ではない。

暴走ではない。借り物でもない。

ヴェスピナは――母から授かった”自身の魔力”で、初めてその「想い」を“形”にした。

アピスはその光景を目の当たりにし、息を呑む。

「……まさか……あれは……!?」

震える声。それが何を意味するのか、女王である彼女だけが理解していた。

「……誰も、ウチの家族に触れさせねぇ……!!」

叫びと同時に、灼熱の槍が唸る。

槍の切っ先から放たれる赤光と熱波が、見えない圧力の壁となって敵陣へ叩きつけられた。

――王族として立ち上がった証。――己の力を、己の意志で支配した瞬間。

それはまさしく、ネクトフラム第二王女としてのヴェスピナの覚醒であった。

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