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静止

戦場が、一瞬だけ静まり返る。



――その隙。



「い、今だァ!!」



我に返った雑兵が、槍を構えて突っ込む。



土煙。


一直線の殺意。



「お姉ちゃん!!」



ネクトリアの叫びが響く。



だが――



ヴェスピナは、動かなかった。



動けなかった。



ゆっくりと、目を閉じる。



「……は……」



かすれた声。



「……もう……いいや……」



その脳裏に焼き付いているのは――



自分の力。



振り下ろした一撃。



血。



崩れ落ちた男。



――兄。



すべてが、重なって離れない。



抵抗する理由が、見つからなかった。



――ドッ。



鈍い音。



時間が、止まる。



そして。



ヴェスピナの体が、赤く染まった。

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