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#05. Error 誤搬送
― 革のグローブを嵌めた左手
左手をポケットに そこから肘上までは
黒のアームカバーを着用している ―
ターシャは泣きながら、ついシャルに手を伸ばしかける。
だが、見る見る炎に巻かれていく鉄の手に、引き下がった。
その光景が恐ろしくてならず、床を這い続け、階段扉を開くと転げる様にその場から出た。
右足を掴まれたまま焼かれ続け、熱さに悲鳴を上げる部下。
ヘンリーはそれを見るや否や、シャルの燃える顔を左手で鷲掴みし、軽々鉄扉まで投げ飛ばす。
その後、ジェレクがすぐさま彼女の両膝をへし折った。
連結があっさりと断たれ、青白い電流が宙に走る。
そのまま首と腰の鉄骨を掴むと、再び焼却炉入り口へ持ち上げる。
そこに、透かさずヘンリーが駆け寄った。
「「ヘンリー!」」
無茶な接近に部下の声が次々飛ぶが、彼には聞こえていない。
配線だけでぶら下がる彼女の右足を、左手で持ち上げ、頭部から滑降する角度を更に付けた。
だが、彼女の熱を帯びた手はまだ、入り口の縁を掴んで抵抗し続けている。
ジェレクはそれを2回、3回と片手ずつ殴り、叩き割っていく。
半端な補助で、彼女が直にバランスを崩した時
let utter = SystemRebirth1("string: Sys…tem Re…birth First …Charlo…tte Da…vies start…ed by Hen…ley,K…lassen.")
……command = input("Transport the corpse safely.: ")
......("TAA…SHA,C…LAU…DIA\);
「Sys…tem Re…birth 初号機…シャルロッ…デイ…ヴィスヘン…リー・ク…ラッセンにより…起…動…ター…シャ・ク…ロー…ディア」
また彼女は、狂った機械の声を放ち始める。
そこへ入り混じったのは
― 面倒ばかりかけないで お二人が気の毒だわ
世話がかかるものね
貴方はチームを混乱させる 冷静になって
警察は何も…?なら…いいけど
ほんと疲れた やっと解放された気分よ ―
「っ!」
反射的に右手で視界を遮りながら、顔を突っ伏した。
舞い込んだ声に一時困惑し、体が突如萎縮する。
そのまま震え上がり、増幅し始める痛みは全身に巡り、拘束しようとした。
それは、左腕から全身を包み、密着する様に襲いかかる。
息が止まりそうになる中、歯を鳴らし、左手に有りっ丈の力を加えた。
炎は手先から上腕、肩に素早く纏わりつく。
火傷を負う事に、一切の苦痛を感じない。
彼には今、それを上回る殺意が滾っていた。
開いた瞳孔に焼却炉の朱を立たせ、ジェレクよりも前に押し出す。
シャルは、再び炎の渦へ消えていった。
それに合わさる様に、部下がバケツの水を激しく彼等にぶちまける。
ジェレクがその最中、鉄扉を閉めた。
彼はすっかり剥き出しになった上半身から、白い煙を上げている。
両手を力無く広げ、バランスを取りながら、フラフラと立位を保とうとしていた。
MECHANICAL CITY
本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。
また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




