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*完結* MECHANICAL CITY  作者: Terra
#08. Reboot 脱出
95/188

[5]




 3光は、ジェレクの骨格に絶え間なく巡り続け、基盤等の損傷は然程無い様子を見せていた。




人間で言う火傷の様に、腕一帯と胸部の骨格は黒く燻んでいる。

顔は、鼻から上半分に皮膚を残し、右耳は側頭葉にかけて全焼、左耳は半端に焼けている。




 ゼロとは違い、銀に光る下顎を持つ。

口元には、発声に合わせて自在に唇を動かす為の、短く細かい突起が光る。

側面に整列した歯も、数ヵ所が焼け落ちていた。

側頭葉の部分には、丸型のガラリを思わせるパーツが露わになり、隙間から3光の点滅が漏れている。 






 「トップ!」




事態が収束し、部下は顔を突っ伏す彼に駆け寄る。




だが彼は、無言で震える右人差し指を、火傷して床で唸る部下に向けた。




彼はそのままフラフラと、傍に寄る部下に体を軽くぶつけながら押し退け、壁にずっしりと背を預けた。

顔はずっと伏せたまま、そこでフリーズする。




「…………先に連れてけ…」




床で唸る部下を見て、イーサンが静かに指示を出した。

応急処置が手早く施され、搬送準備を整えていく。




補佐2人がヘンリーに近付こうとしたが、彼は右手で遮った。






 震えながら、細々と溜め息をつく。

まるで溶接でもされたかの様に、壁から動こうとしない。

ぐったり俯き、強張る顔を隠す。

肩で息をする速度は、徐々に上がっていく。




全身がまだ痛い。

胃から、今にも突き上げて来る。

封じた物が噴き出しそうになるのを、生唾ごと只管呑み込み、奥へ奥へと押しやる。

身から滴るのは、水ではなく汗かもしれない。

胸痛に頭痛、吐き気は、肘から肩にかけて負った火傷の痛みを、大きく上回っていく。




左腕を覆っていた物は完全に焼失し、水を滴らせ露わになっていた。

右手が力無く、その装着位置を掴む。




 嘗て失った利き手は、青と白の2色が巡る、アンドロイドと類似モデルの義手だった。

その掌を、下向きに広げる。




手首から手先を動かす連結の嚙み合わせが悪くなっているのが、妙な軋み音で分かった。

燻みを帯びた、どれだけ軽量を試みても重い、銀の手。






 虚ろな目が、規則的に手先まで流れる点滅に落ちる。

晒したくない。

だが、隠す力が無い。




動悸が押し寄せ、周りの音を遠ざけ始める。

視界は淀み、闇が大口を開けた。




来る。




浮き彫りになる声はまた、いつまでも止む事無く犇めき、全身を縛り付けてくる。

長いか、短いか、その札は出てみなければいつも、分からない。

微かな高音が、耳から脳を貫く。

右手が反射的に側頭部を抑えると、息を吸い込み、止まった。




(…あ――…ははっ……もう……分かったよ…

…分かってるよ……)




………


……











MECHANICAL CITY


本作連載終了(完結)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] これは凄い惨劇になってきましたね。 先が気になる。 良い…良いよ。 感情も想いも其々にきちんとあるんですね。
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