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一章 4話

「え、あなたが冒険者に?」

「ああ! どうしたらなれる?」


美少女は頰に指を当て、首を傾げて唸る。


「うーん、それは簡単だけど……、やめておいたほうがいいわよ?」

「え、なぜ!?」


なぜそんなことを言われるのだろう。と思ったが、ああそうか。


「もしかして俺が弱いから?」

「うん、まぁ簡単に言っちゃえばそうね」


あっさりと言ってくれる彼女に軽く眉を顰めた。そんな俺の様子で察した彼女は言葉を続ける。


「言い繕ってもしょうがないわ。私はむざむざ人を死なせる趣味はないの」


真剣な眼差しでこちらを見つめる彼女はどうやら本気で俺のことを考えて言ってくれているようだ。

確かになぁ、と納得しかけていた俺だが、更に続いた言葉が俺の思考を収めた。


「どうやらあなた()()()()()()()何にも持ってないみたいだしね」

「え、何それ!?」


驚きに思わず聞き返した俺を彼女は不思議そうに見た。


「え、何ってスキルよスキル。この世界に存在する生物なら当然のように持っているものよ?」

「え、そんなの知らないんだけど……」

「「えーーーーーーーー!!?」」


俺の返答を聞いた彼女と妹のリラも含めて驚愕を口にした。


「う、嘘でしょ? じゃ、じゃああなたもしかして《ステ玉》に触れたことないの!?」

「え、あの、ごめん。《ステ玉》ってなに?」


聞きなれない単語に思わず聞き返す。恐らくこの世界の住人であれば常識なのであろうその単語を知らないと見た俺に対する反応は、まぁ見ての通りだ。


「えぇぇ!? う、嘘でしょ!? じゃああなた今までどうやって生きてきたのよ!?」


猛然と詰め寄る彼女の整った顔が目前に迫る。

うおおおぉぉぉ、近い近い近いッ!


「うぉッ、え、っとその……! じ、実は俺記憶ないんだよねッ! だから《ステ玉》なんてもの聞いたことないし、覚えもないんだ!」


理由としては理に適っている言い訳を思いつきざまに口にする。その際若干のドモリが入ってしまったことは見逃して欲しい。理由は察しろ。


「あ〜、なるほど。じゃあ今こういうカード何処かに持ってたりしない?」


そう言って彼女が見せてくれたのはトランプよりふた回りほど大きなカードを身につけていた小さめの腰のポーチから取り出してこちらに見せてくれる。それにはこのように書かれていた。



名前:アーリィ

職業:魔法剣士

在籍:アルメリア王国

ランク:D



繁々と見つつ、一応探るように身につけている制服のポケットや懐など探してみるものの、当然あるわけもなかった。


「うーん、ない」


そう言った俺をアーリィという名前らしい彼女は怪訝な表情で見つめてきた。


「そう……、そうなると無くしたにしろ作っていないにしろ発行しなきゃいけないわね。となると……、私たちの住む村が一番近いわね」

「え、どういうこと?」


訳がわからず目を白黒させる俺。


「ねぇ、あなた名前は?」

「深山燐だ」

「ミヤマリン? 変わった名前ね」

「すまん、それ繋げて読むんじゃないんだ。性が深山で名前が燐だ」


説明するとああ、と納得したように手を叩いた。


「ということはリンて言うのね。私は、さっきもステータスカード見せたから分かると思うけどアーリィよ。少しの間だと思うけどよろしくね」


そう言ってアーリィは手をこちらに差し出す。


「え、ああ、よろしく」


おずおずとこちらも手を差し出しアーリィの手を握った。


「お姉ちゃん、リラも自己紹介していい?」

「あっ、リラ! ええ、そうね」

「……お姉ちゃん、わたしのこと忘れてたでしょ?」

「そ、そんなことないわよぉ〜!」

「ホント?」


アーリィに上目遣いでそう訴えるリラ。


「ホントホント! それよりほら、早く自己紹介しなきゃ!」

「あっ、えとえと、わたしリラって言います。リンさん、でしょ? よろしくです!」


アーリィを見習ったのか姉と同じようにこちらに手を差し出してくる。精一杯腕を伸ばして俺が握りやすいようにと言う配慮の見える手の高さに、思わず顔がにやけた。


「ああ、こちらこそよろしくね」


優しくキュッと握った手のひらは小さく、こちらの手を握り返してきた。


「じゃあほら、さっさと行くわよ!」

「え? 行くって何処へ?」

「どこって、私たちの村よ。分からなかったの?」

「いや、何となく分かってたけど念のため聞いてみただけ」

「そう? まぁこの国ではステータスカード無いとまともに生活できないから、取り敢えずそこまでは助けてあげるわよ。妹を見つけるキッカケを作ってくれたお礼よ」

「え、ありがとう!」

「お礼を言うのはこっちよ、ほら、さっさと行きましょ!」


まさかたったあれだけのことでそんなことに付き合ってくれるなんて!


折角訪れたまたと無い幸運に感謝して、俺は先頭を買って歩き出したアーリィとリラの背中を追いかけたのだった。


稚拙な文章ですが、読んでくださった方心よりお礼申し上げます。

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