一章 5話
しばらく三人で歩くと、どうやらお目当ての村が見えてきたようだ。移動中は中々有意義な情報収集の場として活用できたので、特に不満はない。それにアーリィとリラという美人姉妹と行動を共にできたのだ、不満など上がるわけもない。
「さっ、見えてきたわよ!」
「え、もう着いたのか?」
「もうっ、てだいぶ時間経ってるわよ?」
「はぁ〜、そんなに時間経ってたのか。全く分からなかったよ」
「まぁ、そりゃあれだけ喋ってたら時間なんて気にならないわよね」
やれやれ、といったようにアーリィは首を振った。
んん、そんなに喋っていたかな。自分では聞くこと聞いただけであまり大したことは言ってなかったと思うんだけど。
「リラは楽しかったです!」
と、一緒にいたリラがピョンピョンと楽しそうに跳ねていた。
「まぁ、確かにリラのいうとおりかしらね。少なくとも退屈はしなかったわよ」
「え、そうかな?」
「うん、間違いないわ。…っとと、ここで立ち話も何だし私たちの家に行きましょうか。流石にここじゃ目立つしね」
「あ、うん」
俺の返事を聞いたアーリィは、村の中に建つ一つの家屋を指差す。
「あれが私たちの家よ、結構目立つでしょ?」
「あ、あれなの?」
一応確認をするが、まぁ予想通り答えは変わらなかった。
「そうよ。まぁ、リンのその反応は予想してたわ」
そう言ったアーリィの指の先にある家屋には、大きく文字が書かれていた。明らかに日本語ではない、しかし俺にはその文字が不思議と読むことができた。
『冒険者アーリィの家』
でかでかと家の壁に書かれたその文字の威圧感の何と凄いことか。
隣のアーリィに目を見れば、何かおかしなことでもあるの? と言った様子でこちらを見た。
「まぁ、ね? 私も最初は抵抗あったけどいい加減慣れたわ。あ、因みにアレ書いたの私じゃないわよ?」
「え、じゃあ誰が?」
と俺が聞けば、
「父よ」
と短く答えが返ってきた。
「まぁ、取り敢えず行きましょうか」
返事を待たずにアーリィは行動を開始した。
「あ、お姉ちゃん待って!」
その後ろをリラが追う。さらにその後ろから俺が追いかけた。
「ただいま〜」
「ただいまです〜」
「お、お邪魔しま〜す」
家に入るなり三者三様にそう口々に言いながら家の扉を潜る。
「あら、おかえりなさい!」
そう言って俺たちを出迎えたのはアーリィの母らしい。らしいと言うのは、外見がどう見繕ってもいいとこ20代後半なので、俺は最初姉だと思っていたからだ。
「って、リラちゃん!」
「えへへ、おかあさんただいま」
「あ〜、リラちゃん無事でよかったわ!」
「うん、お姉ちゃんが見つけてくれたの」
「そうなの〜、本当に良かったわ〜!」
リラに抱きつきよしよしとリラの母は頭を撫でた。
「アーリィちゃんもありがとね〜、流石私とパパの娘ね!」
「ちょ、ちょっと、私はいいわよ!」
「もう、照れちゃって〜! ってあら? お客さんかしら?」
リラに続いてアーリィにも抱きつこうとしていたが、照れながら拒否したアーリィの後ろにいた俺を見つけた。
今まで挨拶するタイミングが見つからなかった為に、好機と思い慌てて自己紹介をした。
「あっ、初めまして深山燐と申します!」
「えーと、ミヤマリン君? 変わった名前ね〜」
「あ、いや、深山が性で名前が燐です。なので燐て呼んでください」
「うんうん、分かったわリン君ね!」
「はい」
「私はアーリィちゃんとリラちゃんの母親でアイーシャって言うの、よろしくね〜!」
「はい、よろしくお願いします」
「うんうん、礼儀正しい子ね! 気に入ったわ、リン君も一緒にご飯食べましょ! 作りすぎちゃったから丁度いいわ!」
「え、いいんですか?」
チラリとリラとアーリィに目配せする。
「私はいいわよ」
「リラもいいよ!」
「私も賛成〜! ということで決まりね! ほらほら早くそこに座って!」
早く早くとアイーシャがみんなを急かした。促されるままにリラとアーリィが座ったのを確認して、恐る恐るとリラとアーリィが対角に座ったその反対に座ろうとしたが。
「あー、ごめんね? そこはパパの場所だからリン君、アーリィの隣に座って?」
「えっ? あ、はいっ」
意図的に隣になりそうな位置を避けたのにまさか強制で座らされることになるとは思わなかった。
仕方がないので席をアーリィの隣に移った。
あー、近い近い! そう思った俺とアーリィの距離は僅か50センチほどしかない。俺はドキドキしているのに、隣のアーリィは平然と座っていることがうらめしい。
そうこうしているうちに扉を開ける音が聞こえ、ギッ、ギッと床を軋ませる足音が玄関から聞こえてくる。
反射的にそちらを振り向くと、厳つい顔の男性がいた。
まだ主人公のスキルが判明しません。次、次の話あたりには解明するかと!(汗)




