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白馬の王子と黒馬(こくば)の王子  作者: あぷりこっと
麻薬編 第四章 〜拡大の理由〜
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5.挑発

「あの…シンカさん?」

 私は人通りが減ったところで声をかけた。

「なに? って、ワタシの名前、知ってたのね。」

「はい。とある人に教えてもらいまして。」

「へぇ〜、ワタシって有名なのね。これのお陰かしら。」

 シンカはそう言うと、鞄から水筒のようなものを出し、私に見せる。

「アナタも、これのことは知ったるわよね?」

 シンカは水筒の中身─ヤナイを一口飲む。

「はい、もちろんです。ヤナイは、カスタルの多くの人が飲んでますから。」

「そうね。

 これ、とっても美味しいわよね。ねぇ、アナタもいる?

 一口だけだったら、無料(タダ)にしとくわよ。それ以上は…そうね、安くしとくわ。

 もうすぐ仕入れる予定だし、たぁくさん買っていっても構わないわよ。」

 シンカはにこにこしながら、そう言う。

 一方私は

「遠慮させていただきます。」

 とキッパリと断った。

 するとシンカは、驚く。

「え? いらないの?」

「はい。いりません。」

 私は理由を説明しようと、一息置く。

「私は、ヤナイによって心が身体が壊れている人たちを、たくさん見ました。ヤナイによって、命を落とす人も─。

 私はこれ以上、あんな人を見たくないし、増えてほしくもない。

 だから─私は貴方を捕まえて、ヤナイの拡大を阻止する!」

「へぇ〜、どうやって?」

「もちろん力づくで!!」

 私は隠し持っていた二本の短剣を手に取り、構える。

「ふふふ、アナタみたいな可愛い女の子が、そんな物騒なものを持っているなんて、思わなかったわ。」

「気づかれて逃げられたら、面倒だったので。」

「びっくりするほど正直ね。ワタシ、そういう子嫌いじゃないわよ。

 さて、ワタシを捕まえる前に、一つ質問に答えてくれる?」

 ? この状況で何を訊く気だろう。

「アナタ、どこから来たの?

 この町の者じゃないわよね。」

「……そうですね。トライヤンから来ました。」

「まぁ、トライヤン! いいわね〜。ここからは遠いわね〜。

 アナタをヤナイ漬けにしたら、一気に広まるかしら。」

「!?」

 私は半ば感情のままに、短刀を滑らし、シンカの喉元まで持っていき、ピタリと止めた。

「……ッ」

 私は一瞬、コイツを“殺したい”と思ってしまった。でも、ダメだ。今ここでコイツを殺してはダメ。

 シンカはさっき、ヤナイを『もうすぐ仕入れる予定』と言っていた。つまり、シンカの背後に真(・)の黒幕がいるということ。それを吐かせるまでは、殺せない。

 あっ、だからシンカは挑発するようなことを言ったのかな? 自分が死んでも問題ないから?

 いや、こっちは私一人。逃げることをまず考えるのがセオリーだ。でも、さっきからシンカにその気配は全くない。

 じゃぁ、何で…? まかさ時間を稼いでいる(・・・・・・・・)…?

 そんな考えが過ぎていると、シンカがほんの一瞬だけ、私から視線を離す。そして─ニヤリと笑った。

 !? まさか!?

 このとき、私はやっと、自分に忍び寄る気配に気づき、後ろを振り返った。

 私のすぐ後ろに、男がいて、剣先を上に構えていた。

「…っ!」

 ヤバい、この距離じゃ避けられない。

 斬られる─

 その剣は私目掛け、迷いなく振り下ろされた──。

 どうも、こんにちは。

 かなり意地が悪いところで終わらせた自覚のある、あぷりこっとです。

 自覚はあるのにそのままにする…我ながらどうかと思いますが、楽しみが増えたとでも思ってください。

 

 シンカは「Re」から始まる異世界ものの作品に登場する、主人公の敵役のなかなか死なないお姉さんの口調をイメージしながら書きました。

 あのお姉さんは私はかなり嫌いなのに…なんで参考にしたんだろう…と思います(笑)。

 なので、シンカの声は私の脳内では完全に女性でした(笑)。

 皆さんの脳内では、裏声使っている男の声だったかと。これからもそれでお願いします。

 

  ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

 また次回、お会いしましょう。

 バイバ〜イ!

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