姉とシスコン勇者
勇者の設定考えてたら筆がのったので本日2話目
「よお、リュート。アイカ。久しぶりだな。」
「ねーちゃん…」
目を開けたリュートの前に立っていたのは、2メートルほどの大剣を担いだ13歳の少女であった。リュートの姉ライリである。
母親に似て茶色い髪を背中まで伸ばし、褐色の肌を持つ。秋だというのに少し露出が多めの格好をしている。
「ギルドの依頼でこの森にオーガが出たってのがあったから帰省ついでに受けてたんだが、まさかこんなとこで出くわすなんてな。」
「助かった…まじで死を覚悟したよ…」
「まあ確かにこんなとこにオーガが出るなんて思わねえよな。それにしても、2人ともだいぶ強くなったんだな。」
リュート達が倒したオーガ二体の魔石が落ちているのを見ながらライリは言う。
「はい、リュートのおかげもあって」
先ほどかなりショックを受けていたが少し落ち着いてきたアイカが答えた。
「まあな、てか、ねーちゃんこそかなり強くなってないか?どうしたんだその大剣?」
「ふふふ、そうなんだよ!実はな、最近【バーサーカー】に昇格できたんだよ」
よくぞ聞いてくれたとばかりにライリが答える。
「すげーな!13歳で【バーサーカー】なんて!」
【バーサーカー】は【剣豪】が【剣聖】に至る途中で授かる【役職】の1つである。同じ【剣聖】でも【バーサーカー】を経た人と【魔法剣士】を経た人では戦い方のスタイルが全く異なる。
【剣聖】のステータスには【剣聖 (バーサーカー)】の様にどの職を経て【剣聖】となったのかが表示される。
ライリはマルコと同じ様に運命の日に【剣豪】を授かったのだが、最初から【剣豪】を授かった人でも次の職に昇格するまでに通常は10年以上かかると言われている。
「実はな、【勇者】のパーティーに入れてもらったお陰でかなり早くレベルが上がったんだ!妹の方の【勇者】はリュートと同じ歳のはずだからリュートも入れてもらえればいいな!」
「「えー!【勇者】!?」」
アイカとリュートは驚きの声を上げる。
リュートの住む国が昨年勇者召喚を行なって兄妹の2人の勇者が召喚された、という噂はなんとなく聞いていたが、勇者召喚は約500年ぶりであり勇者はおとぎ話の存在であったためあまり実感が湧かなかった。
そのおとぎ話の存在が姉とパーティーを組んでると聞きなんとなく誇らしい気分になる。
「勇者ってどんな人なの?」
「ちょっと妹愛が強すぎるし、時々よくわかんないことを言ったりするけど、基本的にはいいやつだよ!」
そういえば、兄がこの世界に召喚されたとき、「妹もこの世界に呼んでくれないとこの場で死ぬ」と駄々を捏ねて妹も一緒に召喚してもらったという噂があったなと思うリュートであった。
「そうなのか、会ってみたいな。」
「王都の学園に入学できたら会えるよ。楽しみにしとくんだな。」
勇者に会うためにも絶対に王都の学園に受かってみせたいと思ったリュートであった。
ライリはこの後3日間だけ家に滞在して戻って行った。両親も村の人もライリが勇者パーティーにいるという話を聞いて、大層喜んでいた。
ライリが家にいる間に、リュートとアイカはライリと、ある約束を取り付けた。