メリルのお願い
メリルのお願い、それは『人見知りだからアドバイスを伝えるときリュートが間に入って欲しい。』とかそういう類のものだろうとリュートは勝手に推測していた。
しかし、
「リュート様を…技闘大会に推薦していただけませんか?」
技闘大会とは生徒が作ったゴーレム同士を戦わせ、その力を競う大会で、学園3大大会の1つとされている。
「え?」
驚きの声を上げたのはリュートだった。
「あ、すみません…ご迷惑でしたか?」
「いや、技闘大会にはチャンスがあれば出たいけど…どうして?」
「ごめんなさい…普段一緒にダンジョンや依頼に行けない私がリュート様の活躍を見られる貴重な場ですので…」
メリルは大好きなリュートの活躍を間近で見られる3大大会を誰よりも楽しみにしていた。
学園3大大会に出るには教師1人の推薦が必要だ。技闘大会に推薦できるのは技術科の教師のみである。
「ありがとう!気持ちはすっごく嬉しい!でも」
リュートはそう言ってグリオールの方を見る。
「せめて2回戦くらいまでは行ってくれよ。ゴーレムの研究のためにお金が必要だからな。」
教師のボーナスは推薦した生徒の成績で決まる。
「え?いいんですか?」
リュートは驚きの表情を見せる。
「ああ、実はワシは息子を推薦するつもりだったが、あやつを推薦する奴は大量にいるもんでな。別に心配いらんのだ。」
「「ありがとうございます。」」
メリルとリュートは頭を下げる。
「その代わり王女様は約束のアドバイスをしっかり頼むぞ。」
「はい…毎週行かせていただきます。」
メリルはよほど嬉しかったのかそんなことを言っていた。
技術科での授業の後、午後の授業がある騎士校舎へと向かう馬車の中でリュートはメリルにお礼を言った。
「メリル、ありがとう!まさか3大大会全部に出られるなんてな!特に技闘はほぼ諦めていたから嬉しいよ!」
「いえ、リュート様の活躍を見たいという私のわがままですので…」
「俺も出たかったし、メリルに活躍を見たいと思われていること自体が嬉しいんだよ。」
メリルの顔が赤く染まる。馬車の中では甘い空気が流れていた。
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「…す、すごいわ…」
その日の放課後、ニーネは圧倒されていた。
「見事ですわね。教会の聖騎士団以上の連携ですわね。」
セイラも感嘆していた。
「はい、ここまでが見本ね。ニーネちゃんは次から私と代わって!」
ダンジョン20階層、ニーネたちが苦戦したダンジョンボス、オークキングを魔法で軽く焼き殺したアイカが言った。
「え?ちょ、ちょっと待って。まだ早すぎるというか…」」
「もう20階層よ!そろそろ加わらないと敵も強くなってしまうわよ!」
レイはそう説得する。
ニーネはリュート達3人の完璧な連携に加われる自信がなかった。もちろんプライドの高いニーネはそれを口になどしない。
「このままじゃ、『新入生のニーネちゃんはびびって何もできなかった。』って学内新聞に書くことになりそうだニャ。」
ダンジョン攻略の付き添いで来ているユキヒロパーティーの猫耳シーフ、ネリがそう言う。
「びびってなんかないわよ!わかったわよ!代わればいいんでしょ!」
そう言ってずんずん前を歩き始めるニーネに、
(((((わかりやすい!そしてチョロい!)))))
ニーネを除く全員はそんな感想を持つのだった。
そんなニーネが角を曲がった瞬間、巨大なありの魔物、ジャイアントアントと鉢合わせて、
「ひゃあ!」
と可愛らしい声を上げるのは3分後のことである。




