エルフの少女
リュートとアイカが貴族街のカフェに入ると、レイとソリリスの3人はすでにテーブルに座って待っていた。
リュート達が来たのを確認したテナとヘリウスがお祝いの言葉をくれた。
「特別科合格おめでとう!パーティーメンバー3人とも特別科ってすごいね!」
「おめでとう!俺たちもすぐに特別科に入るから待ってろよ!」
感謝の言葉を返したリュート達が椅子に座ると早速話は本題に入った。
「合格発表の掲示板に書いてあった通り、王女様だけが特別科に合格した。そこでしばらくの間3人に王女様の護衛をお願いしたいんだ。」
ヘリウスは悔しそうにそう口にする。
護衛として学園に来たはずが、護衛できない状況になってしまったのだから悔しいだろう。
騎士科の試験内容ならヘリウスもテナも特別科に合格できた可能性はあっただろうが、そもそもメリルが特別科に入れるほど賢いなんて誰も知らなかったのだから仕方がない。
むしろ戦闘能力をアピールする時間が少ない貴族科の試験で、特別科候補生に入るほどのアピールをできたのだからよくやったほうだと言える。
「皆さんの手を煩わせるなんて...私は特別科でなくても...」
「メリル王女は俺の婚約者だし、身内みたいなもんだから俺自身は断るわけないよ。」
メリルが言い終わらないうちにリュートが了承する。
「身内...はっ!」
身内という言葉に反応してついにやけてしまったメリルだが、周りの視線を感じてすぐに真面目な顔に戻った。
その後、アイカとレイも快く了承したのでこの話は決定した。
リュートは気になっていたことを尋ねてみた。
「そういえば特別科候補生が特別科に上がる条件って何だった?」
「人や時期によって違うらしいんだけど、今回の新入生は5人全員でパーティーを作って学園のダンジョンの60階層をクリアするってやつみたい。」
「一般試験で受かった2人はなかなか優秀なようだったからすぐにクリアできるかもな。」
「魔法科試験を一緒に受けていたエルフの子も優秀だったよ!ちょっと性格に難ありって感じがしたけど...」
何かを思い出したのかアイカの表情が少しだけ曇った。
「おばあ様!なんで【テイマー】の人間なんかが特別科で誇り高きエルフのわたくしは候補生止まりなんですか?試験官の目は節穴ですか?」
その夜、『性格に難あり』と言われたそのエルフの少女は声を荒げていた。
「ニーネ、そうやって他人を見下すのは良くないっていつも言ってるでしょ!それにリュート君は、最年少でSランクになったすごい人よ。」
「うるさい!お姉ちゃんは黙って!」
(やれやれ、末っ子で魔弓を使う才能があるからと村全員で甘やかしすぎてしまった。教育者でありながら孫の教育もろくにできんとは我ながら情けない。)
祖母がそんなことを思っているとは知らずにニーネは続ける。
「Sランク冒険者になったのだって何か卑怯な手を使ったに違いないわ!そうだ!入学式の日にギャフンと言わせてやりましょう!」
(1回ギャフンといわされんとこの性格は治らんだろうし、ちょうどいい機会かもしれん。リュートとやらの実力も見たいしな。)
こうして、祖母は敢えて止めないことにした。この判断が吉と出るか凶と出るか…




