51話 俺、嫌な予感がします。
夜はいつもと変わらず、生徒組+ミーシャさんで街を周り、ドラゴンゾンビを掃討していく。
昨日の映像からドラゴンゾンビが多方向から空中都市に登ってくる事が分かった為、今日からは捜索範囲を広げるようだ。
まあ、俺達は変わらず街が探索範囲だ。
いつも通り倒していく。
事件以降から、何百体と倒してきたドラゴンゾンビ。
流石に倒すのに慣れが出てきた。
だがこういう時が一番失敗しやすいのは俺も知っている。
油断しないようにしないとな。
とはいえ──
「ふっ!」
「gya……a……」
昨日までと比べて、ドラゴンゾンビ達が異常な程弱くなっている。
10回攻撃しなければいけなかったのが、今や3回で戦闘不能。
攻撃力も下がり、爪での切り裂き攻撃も容易に弾く事ができる。
「一発じゃない!」
「遅すぎるのです……」
「え、桜だけですよ!?」
弱過ぎて逆に戸惑うレベルだ。
これが【神域】の効果か……
強化前は、ドラゴンゾンビと戦った事が無い俺には違いがよく分からなかったが、こんなに違うものなんだな。
ただ強さはともかく、日に日にドラゴンゾンビ達は数を増している。
明日の夜に学園長が【災禍の竜】を駆除するらしいから、今日がピークになりそうだな。
明日の夜、竜の巣襲撃作戦に参加するのは、学園長とシャルの二人らしい。
シャルは先程──
『シャルの翼の力を借りたいから、明日の襲撃作戦はボクと一緒に来て欲しい』
と学園長から言われたそうだ。
まあ、あんな所を魔法や技術で降りていくのは危険過ぎる。
確実に飛べるシャルの翼がベストだな。
夜に作戦を決行する理由は、戦力を分散する為だ。
昼に作戦を決行すれば、全てのドラゴンゾンビを相手にしなければならないが、夜であればドラゴンゾンビ達は空中都市へと出てくるはず。
要は雑魚は俺達が倒し、ボスを学園長が倒す算段だ。
それから俺達は討伐を終え、寮への帰路についた。
ドラゴンゾンビ掃討も明日で最後だな。
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そうして、その日の夜がやってきた。
今日はシャルと月夜は俺達と行動を共にしていない。
シャルは学園長と本命の討伐に、月夜は【神域】の強化の為に呼び出されている。
「さて、大事になる事は無いでしょうが、私達も油断しない様に頑張りましょう♪」
「なのです!」
なので今日はラウラ、ミーシャさん、俺の三人で空中都市を回る。
今日の俺達の持ち場は空中都市の北側──ゲートターミナルや街の反対側だ。
現状一番ドラゴンゾンビの数が少なく、一番安全な所に回された。
それにこの場所は未開発なのか、ほとんど平面で何もない。
視界も開けているし、不意打ちを食らうようなこともないだろう。
「何にもないですね……」
「マイル様が言ってらっしゃいましたが、この辺りには駅を作るらしいですよ。何でも住居者からの意見で、移動手段が無くて大変という意見が多かったそうです」
「確かに端から端まで歩くのはしんどいのです……」
三人で雑談しながら歩いていると──
ドガァン!!
「何なのです!?」
「突然地面が揺れだして……!」
「……地震か?」
ここは空中に浮遊する空中都市。
地震が起こる理由は存在しない。
なら何故……?
ドガァァン!!
揺れは止まらない。
それどころか──
「この揺れ、段々こっちに近づいてないです?」
揺れが大きくなっている気がする。
すると──
『♪♫♬』
咲からの着信が。
「咲か?」
『うん』
今回、咲に情報の統括を行ってもらっている。
いわゆる司令塔だ。
学園長が何事もなく【災禍の竜】を倒してくれればいいが、万が一の事を考えて協力してもらった。
その咲から電話が掛かってきた。
つまり厄介な事が起きたという事だ。
『竜の巣に乗り込んだシャルさん達から連絡があったんだけど──』
その後の言葉で、俺はこの地震の正体を理解した。
『中に【災禍の竜】の姿は無くて、何処かに逃げ出したかのような跡があったって』
「!?」
それを聞いて察した。
恐らく、この地震の正体は……
──【災禍の竜】が空中都市を登ってくる衝撃だ。
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