30話 俺、学園の教育理念に共感です。
指定された部屋に入ると──
「あ、天霧殿! 試験お疲れ様なのです!」
「ラウラもお疲れ様。総合成績見たぞ、頭も良かったんだな」
「ラウラは凄いのです! でも、夜さんも戦術の得点凄かったのです。あのテストで満点なんて……っと、後ろの方達は?」
俺と月夜以外とは対面してないし、知らないか。
「私はシャル・アストリア。尻尾と双角は無いけど、一応魔族よ。こっちは──」
シャルから順に、皆(リンカは寝ていたから代わりにガイア)が軽く自己紹介を済ませる。
あとから聞いた話だが、リンカは寝ている時にした話を覚えているらしく、これでラウラの事もしっかり覚えているそうだ。
「ラウラはラウラ・アージェント。よろしくなのです! 天霧殿には妹さんがいたのですね!」
「いや咲とは従妹に当たるな」
「なるほど……では、夜殿と咲殿と呼ばせて頂くのです!」
最後にラウラが自己紹介を済ませ、時間が来るまで、皆で試験の振り返りをして待つ事にした。
「そういえば咲さんと夜さんって、霊装は無いんですか? 試験中は使ってなかったと思うんですけど……」
「俺は無いが、咲にはあるぞ」
「あの機械が霊装だったりするのです?」
ラウラも咲の戦いを見ていたのか。
「あの子達は私が自分で作った機械だよ。霊装の事については、んー……秘密!」
「確かに従来の霊装とは一線を画しているからなぁ。説明するより、実際に見た方がよく分かるだろうな」
「いずれ使う時が来たらまたその時に説明するよ!」
「そう、そういえばリンカの教養の点数どうしたのよ! 全体的な難易度が高かったとはいえ、一部簡単な問題はあったじゃない」
「Zzz……」
「多分だが、今みたいに寝てたんだろうな。お嬢は聡明なんだが、その分必要の無い所をとことん削って寝る時間に当てる癖があってな。教養科が5点でも学年10位に入れると確信していたんだろうぜ」
「ストイックなのです……」
「そういえば夜殿! 竜装を貫いたあの攻撃は何なのです? あれ凄く痛かったのです……」
「うっ、すまん……勝つ為に全力だったからな。許してくれ」
「気にしてないのです。寧ろ気になるから教えて欲しいのです!」
「あれは舞旋衝と言ってな……」
「ふむふむ……」
そうこう話しているうちに──
「ごめん、待たせたね!」
「母さま!?」
学園長が私服姿でやってきた。
……小学生かな?
学園長は俺とシャルが隣に座っているのを確認し、ニッコリと笑ってから本題に入る。
「君達は各学年の10位以内になる。つまりは、優秀な成績で入学した生徒──特待生という扱いになる。そんな君たち特待生は、普通の入学生の他にも色々とあるからね。ここで簡単に説明させてもらうよ。とりあえず、君達には二つの特典が与えられる」
・学内の食堂、購買、自動販売機等の施設利用料無料
・特待生寮への入寮
学園長は魔法でチョークを操り、これらを黒板に書き出していく。
身長が低くて上まで手が届かないんだろう。
「まあ、文字通りだね。特待生寮は普通の寮より設備が充実した寮だね。WGAでは毎月テストがあるんだけど、そのテストでの学年10名がこの寮に住むことができる。成績を維持し続ければずっとこの寮で過ごせるけど、他の子が頑張って成績を上げてきたり、君達が油断してると普通の寮に住むことになって、施設の使用量も普通に払ってもらうから、勉強も頑張ってね」
なるほど。
特典を用意する事で、それを得る為に競争意識を抱かせ、全体のレベルを上げる訳だ。
上手いシステムだな。
「君達には入学後に、専用のカードを配る予定なんだけど、そのカードをタッチする事で施設の無料利用が可能になるし、特待生寮の鍵にもなる。再発行は一応出来るけど、無くさないようにね! それで、ね」
再び黒板に書き出されていく。
「君達の実力を加味した上で、空中都市の内外問わず、世界中のトラブルを解決して欲しい。具体的には学園側から依頼を出して、任意で受けてもらう形になる。卒業まで一度も受けなくても構わない」
「強制じゃなんだな……」
「安全性の確保は十分にするけど、それでも実戦じゃ何が起こるか分からないからね。無理だと思うものを無理に受ける必要は無いよ」
『あの戦争を再び起こさないように、五種族間の仲を深めつつ、その戦を止められる力を持った人材を育成する事』
──がこの学園のモットーだしな。
実戦経験を積ませるのもそれに当てはまる。
「ぶっちゃけ、君達の実力は戦争時代の部隊長と同レベルだと思うし、実際に戦争に出て戦っていた人もいる。だけど、何分実戦経験が足りない。君達の世代で戦争の遺恨を無くす為にも、実戦経験は無駄にはならないと思う。それに仕事をこなした分は単位として加点するし、その分の給金もしっかり払わせてもらうよ」
「…………」
個人的には実戦経験が無いのが悩みだったし、経験が積めて単位が貰えて、それでお金も貰えるのならむしろ有り難い。
「依頼は今から行く特待生寮の玄関口に張るようにするから、後で見てみてね。じゃあ、取り敢えずこれで話は終わり。さて、勿体ぶってた寮に向かおうか」
これで話は終わりらしい。
学園長や他の生徒と共に、特待生寮へと向かった。
最後まで読んでくれてありがとう!
実戦投入の事だけど、簡単に言うとよくある冒○者制度と同じような感じだね!
ただ、この作品の冒○者制度にはランクの制限も無いし、空中都市を通した依頼ばかりだから安全性が保証されてるんだよ!(マイル)





