表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/236

駅府にて

拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

よいお年を。

 派遣した村民と旦商会の人員が、(ハク)を連れて戻ってきたと知らされ、家へ運んでもらえるだろうと思っていたら、駅府へ運ぶと言う。旦商会の人間が指示したというので、旦商会の者はともかく、(ハク)と蘇順は団徳の人間であるから村が保護するのが筋である、と主張すると、もう商会側の手で運んでしまったと言う。門衛として対応し、孫達に知らせにやって来た村民はごく普通の農民で、村内の役目番をただ単に務めているだけだ。孫達が思うように動いてくれるわけではない。

 急いで駅府に駆けつける。蘇順を見かけなかったという報告も確認する必要がある。(ハク)は意識がなかったらしいし、気が緩んだ自分の不甲斐なさを呪った。

 駅府の門はすぐに通された。門衛の一人が孫達を案内する。館の玄関にも二人の男が孫達に挨拶をし、一人が奥へと消えていく。玄関の傍の応接間に通され、門衛がその場で茶を淹れてくれた。

 辺境の塩と酪を入れるものと違って、明るい澄んだ色をしている。そこに牛乳や蜂蜜などを入れて飲むのが王都流だと勧められた。牛乳や蜂蜜は辺境でも入れることはあるが、元の茶の色が違うので、ずいぶん違うものに見え、飲む気にはなれなかった。大体ゆっくり茶など啜っている場合ではない。

 そこに現れたのは、二人の男だった。一人は隊商の責任者の盛容殿だ。一番にその体格の良さが目に付くが、決して焦らず一言一言確かめるように話す様は、さすがに大商会で責任ある立場の人間だと感じさせる。

 もう一人は見覚えがない。盛容殿より小柄だ。孫達よりも少し低いくらいの身長に、ぶかぶかの服を着ているところを見るに、どちらかと言うと華奢な印象を受ける。その顔を見て、子供なのか女なのか、一瞬迷う。だが、子供がこんな席に来るはずもない。

 彼は手を胸に当て、「ご足労いただき、かたじけない。私は碧天と申す。こちらは盛容、既にご面識を得ておりますが」あっさりとした礼を行った。そしてさっさと上手へ座ってしまった。

 年齢からいうと碧天は一番下である。

 この場合誰が一番上座になるのかは、孫達にはちょっと迷うところだった。そもそも駅府、というのが難問なのだ。村内にあるが、村の物ではない。正確に言うと国の物であろう。但し、旦商会のように民間人でも、借り受けることが可能な施設だ。今回のように、大人数で宿泊したいが、村にはそれに対応できるような宿がない場合などに使える。辺境では夏以外の時期は野営できないため、そういう施設が必要なのだ。もちろん、軍や学術的な調査団、役人や官警などが利用することもあった。

 商会は民間人なので、社会的な身分はそれほど高くない。大商会となれば話は別だ。しかし、孫達には王都から来た旦商会がどの程度のものなのか、見当がつかなかった。

 村に迎えたと考えれば、商会の人間は客人だ。駅府が旦商会の物なら、孫達が客人となるが、駅府は商会のものではない。孫達のちょっとした戸惑いをついて、碧天はさっさと話しを進めることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ