7.めでたしめでたし?
国に帰り、イレクスから事の顛末を聞いた。
何でも城の薔薇園で刺繍をしながらティータイムを楽しんでいるところに魔王が現れたのだと。
魔王封印から千年経ち、封印の力が弱まってしまったらしい。それで魔王は復活することが出来たということだった。
そして姫を攫いに手近な国へ行ったところ、とても美人がいたので攫った。それがイレクスだったのだ。
イレクスは自分は男だ、王子だと散々言った。
魔王はなかなか聞かなかった。こんな美人が男のわけないだろうと信じなかった。
何やかんやでどうにか王子だということが伝わるも、魔王は諦めなかった。ぶっちゃけ一目惚れであった。性別とかどうでもいいし何とかするから嫁に来てくれと頭のおかしいプロポーズを始めたのである。
そこにやって来たのがカメリア達だった、とそういうことらしかった。
「リアが来てくれなかったらどうなってたか……」
怖かった、とカメリアにすり寄るイレクス。その可愛らしい仕草にカメリアは頬を緩ませる。
イレクスの頭を抱き寄せるようにし、その耳元で囁いた。
「イルの為なら魔王城だって何処だって行くよ。……私の、大事な王子様なんだから」
「リア……」
「イル……」
二人の視線が絡み合う。どちらからともなく唇を重ね、互いの愛を確かめ合うのだった。
終.