力の開花2
気絶した花恋。
一体どうなるのか。
「ーーい、ーーおい。おいっ!」
いきなり耳元で大声が聞こえて、がばっと跳ね起きる。
「な、なんですか!?」
慌ててこたえると、目の前にいる月也くんは、呆れたような顔をした。
「なんですか?じゃない。神楽坂花恋、お前あいつと戦って気絶したんだぞ?覚えてないのか?あと、体は大丈夫か?」
ほええ?
「あ、わたしは大丈夫です。ーーそんなことがあったような、なかったような…」
わたしのあっけからんとした答えに、なぜか頭を抱える月也くん。
「つーかお前、中庭を戦いでほぼ全壊させておいて、記憶がないのはどうかと思うぞ」
中庭を全壊?
不思議に思って中庭を見やるとーー
「ありゃあ…」
ーー無惨な姿になった中庭が視界に飛び込んできた。
燃えて炭のようになった花壇の花々。
舗装されていた石畳の道は、そこかしこに小さなクレーターができておりめちゃくちゃに。
木も表面が完全に焼け焦げている上に葉も燃え尽きている。
この悲惨な状態を見た瞬間、花恋の頭の中に蓮との戦いの記憶がフラッシュバックした。
暴れ続ける彼。
花恋が放った爆炎により燃え上がる蓮。
全てを思い出した花恋はーー
「あわわわわ…す、すすす、すみませんっ!!中庭がこんな状況になったのはわたしのせいです!!本当にすみません…!!」
ーー凄まじい勢いで謝罪した。
花恋が土下座する勢いで謝っていたときだ。
「うぅ…ん。ここ、は…」
ーー聞き覚えのある声が花恋と月也くんの耳に入り込んできたのは。
そっと声が聞こえた方を見やると、そこには暴れていたはずの一条財閥御曹司、一条蓮の姿が。
花恋は蓮が先ほどとは違うことに気づく。
彼の目には光が宿り、不気味な腕もなかった。
もとの、蓮くんだ。
そう理解した瞬間。
「蓮くんんんんんんんんんんんっ!!!大丈夫だった!?元に戻って、よかったぁあああ!!」
花恋は猛ダッシュで蓮くんのところに行き、彼に喋りかけていた。
頬を温かいものがつたっている気がするのは気のせいだ、きっと。
そう自分に無理やり言い聞かせる花恋。
「神楽坂花恋…。お前…」
「なんで、泣いてる…」
二人の驚きの混じった戸惑った声に、はっとしてほおに手を当てる。
あたたかい、湿ったものを感じた。
わたし、泣いてるの…?
蓮くんが無事だったから…?
どうして…?
「わか、りません…!わからないんです…!!」
花恋は、自分が泣いている理由がわからなかった。
蓮くんが無事だったから?
蓮くんを助けられたから?
安心したから?
頭の中はぐちゃぐちゃで、花恋はただ泣くことしかできなかった。
そして。
月也と蓮は、泣き叫ぶ花恋をただ呆然と見つめるしかなかったーー。
泣き叫ぶ花恋。
それを見つめる彼らの心のうちとは。
次話、お楽しみに。




