第43話 異世界の調味料の性能は
昨日は久々にいい気分で眠ることができた。
日本の調味料を大量に手に入れることができたんだからな。嬉しくて頬も緩むというものだ。
因みに例の大量の調味料は、兵士たちに頼んで厨房に運び込んでもらってある。
大量の荷物を引っ提げて謁見の間から帰ってきた俺にシーグレットたちは唖然としてたけど、これは俺が使う調味料だと説明すると納得してくれた。料理に関しては理解がある連中で助かるよ、本当に。
「随分機嫌がいいな」
制服の袖に腕を通しながらグレンが俺に話しかけてくる。
まあな、と答えながら、俺は部屋着を脱いだ。
「新しい料理が作れるからな。それが楽しみで」
「ほう」
尻尾を揺らして俺の返答に相槌を打つグレン。
「お前の作る料理は絶品揃いだからな。その新しい料理とやらもきっと美味いのだろうな」
「おう。期待しててくれよ」
クローゼットから制服を取り出し、俺は自信満々に答えた。
グレンと共に厨房に向かうと、そこは既に朝食の下準備のために動き回っている料理人で一杯になっていた。
俺は自分の持ち場である調理台に行き、手を洗った。
「おはよう、マオ」
人参の皮を剥いていたリベロが顔を上げて微笑んだ。
「今日の朝御飯はキャロットラペだって。たくさんキャロットを使うから、切るの手伝ってもらっていい?」
「分かった」
調理台に山のように積まれている人参を、二人で手分けして千切りにしていく。
千切りにした人参には塩を振って、と。
「昨日マオが持ってきた調味料。あれ、どうやって使うの? 料理長が気にしてたよ」
「ああ、あれはな」
俺は人参に塩を振りながら、棚の一角に目を向けた。
あそこには昨日運び込んだ調味料がまとめて置かれている。分類はしていないので、後で時間がある時にやっておかないとな。
「まかない作る時に見せてやるよ」
「わぁ、またマオが作る美味しい料理が食べられるんだね」
「そいつは楽しみだな」
いつの間にか俺の背後に立っていたシーグレットが、腕を組みながら俺のことを見下ろしていた。
「ラペを作るのは他の連中だけで十分だから、マオ、お前はまかないを作れ。昨日持ってきた調味料をどうやって使うのか、見せてもらおうじゃねぇか」
そんなに気になるのか、調味料の使い道が。
そこまで言うのなら仕方がない、見せてあげようじゃないか。日本が誇る調味料の美味さと性能を。
ふふふ、実は大量召喚された調味料を見た時に、食べたいと思ってたものがあるんだよな。
まかないなら大した分量は作る必要はないし、すぐにできる。
俺は棚から鍋を取り出した。
さあ、調理開始だ。




