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カタクリズム:中編  作者: ウナ
烏合の讃歌
54/72

5章 第30話 Fallen in Love

【Fallen in Love】







暗い沼の底、音もなく、光もなく、暖かさもない闇の底……

ぽつりと、純白のローブを着た少女が(うずくま)っている


少女の名は、マルロ・ノル・ドルラード


ほんの少し前に10歳の誕生日を迎えたばかりの少女だ

誕生日は誰も祝ってくれず、少女はいつも通りの日を過ごす

それは毎年の事だから気にも止めなかった


少女は、幼い子供たちと接する事で、

誕生日というものの大切さを初めて知った

人には誕生日を祝ってくれる人が必要なのだ、と


それじゃあ、私は人ではないのかな


神の子……少女にとって呪いの言葉にも等しい呼び名

生まれてからずっと、名前よりも呼ばれ続けている


私は地の巫女……神の子だから人じゃないんだ


幼い子供たちを見ていると"普通"というものに憧れを(いだ)

子供たちも幸せとは言えない人生を送っているけど、

彼らはとても幸せそうに笑い、泣き、怒った

それが少女には羨ましくて、眩しかった


私の幸せは、どこで落としてしまったのだろう


今更だ、本当に今更だ

ずっとずっと前から幸せなんて持っていないじゃない

幸せだったのは……あの時だけ


すらっとした長身の無精髭を生やした男が脳裏をよぎる

見るからに悪党で、見るからに小汚い、無礼で、失礼な人


でも……………大好きな人


クガネさん……クガネさん……クガネさん……

何度呼んでも彼は応えてくれない、応えてくれるはずがない

彼はもうこの世にいないのだから


だから私にこの世界は必要ない


あの子たちも、あの人もいない、こんな世界……

悲しくて、悲しくて、つらいこんな世界なんていらない


私なんて……いらない


暗い沼の底、少女の身体は無数の白い手に掴まれ、

ゆっくりと、静かに沈んでゆく……底の底へと沈んでゆく


挿絵(By みてみん)


沈んで行く中で、何かがパチっと弾けた気がした

音なんて一切ない場所だったから驚いてそちらを見ると、

小さな粒子がキラキラと光っていた


届くか分からないけど手を伸ばす……ダメです、届きません

それでもあの粒子がこの暗闇の世界ではとても輝いていて、

私は諦めたくなかった、けど……やっぱり届きません


どうすればいいんだろう?


身体はゆっくりと沈んでいる

このままじゃキラキラは徐々に遠ざかってしまう

少女は身体をひねり、何とか足掻いてみようとした


手足は重く、泥の中を泳ぐようだった

それでも少しずつキラキラに近寄り、何とか手が届く


わぁ……きれい


両手の中で輝くそれは、少女の願いの欠片

その残骸とも言えるものだった

とうの昔に捨ててしまった願いは風化し、残骸となったのだ


今の少女にはその残骸ですら眩しいほどの光を放ち、

とてもとても美しいものに見えていた


しかし、残骸は残骸だ

ただのゴミでしかないそれは、意味など持たない


手の中で光は消え、泥に溶けるように消えた残骸を、

名残惜しそうに見つめ、少女は再び沈み始める


ゆっくりと、時間をかけて沈んでゆく……


どれだけの時間が経っただろうか?

この暗闇の世界ではそれすらも分からない

人は時の流れを理解するためには光を必要とするのだと、

少女はこの時に実感した


光……胸の奥にはこの暗闇の世界全体を照らせる光がある

それでも私は照らさない……もう明るい場所は怖いから……


明るさを知っていると、暗闇が怖くなる

なら、最初から暗闇なら何も怖くない

光を求めて泣いたりしないし、苦しまない


無数の白い手に引かれてゆっくりと沈んでゆく……が、

急に白い手たちが離れ、少女は自由の身になる


え? 連れて行ってくれないの?


自分以外との唯一の接点だった白い手は消え、

少女は完全な孤独に"戻る"

暗い沼の底で、音もなく、光もなく、静かに漂う


この暗闇では目を開いていても閉じていても変わらず、

ずっと闇の中にいると自然と眠気が訪れる

こくり、こくりと頭を揺らし、意識はゆっくりと溶けていった


・・・・・


・・・



神々の封印神法・六大星天(セスステーロ)が徐々に押し返される中、

4人の巫女たちによる四象結界が発動し、

マルロの頭上に輝く極上の光が集まった結晶の動きが止まる


だが、一瞬だった


耳障りな酷い音を立てながら四象結界は歪み、

4人の巫女たちの顔も歪む


「くぅっ……皆さん、耐えてください!」


リリムの声に黙って頷き、巫女たちは魔力を込める


「なんてじゃじゃ馬なんだ、

 マルロ、あたしはそんな子に育てた覚えはないさね!」


イエルがまるで母親のような言葉を投げかけるが、

少女の表情はぴくりとも動かなかった


しかし、少女には変化があった


彼女の背から生える翼は、22枚から36枚まで一気に増え、

その黄金の輝きは徐々に黒く塗り潰されてゆく


ギギギギギギギギギギギギ………


神々の封印神法が急速に押し返され始める

軋みを上げ、今にも砕けそうな音だった

だが、それはぴたりと止まる


六芒星を押し上げていた翼は向きを変え、

一点に集まるようにマルロの元へと向いたのだ


"それ"はマルロの眼前でぴたりと止まり、

36枚もの混沌の翼がリリムたち巫女の目の前で停止している


「一体何が……」


巫女たちは手を休めることなく結界魔法を発動している

ほとんど効果は無いと言っていいが、無いよりはマシだ

輪の完成は気持ちゆっくりになっているのだから


一点に集まった翼の先に黄金と黒の(まだら)な光が集まり、

36の光は1つになり、その強烈な輝きに目を細める


『これマズくない?!』


シャルルが叫ぶが、誰もこの先に起こる事など分かりはしない

ある一人を除いては……


……あの馬鹿(ケルヌンノス)の原初魔法か


アスタロトは何かを知っているようだった

簡潔に説明して! とジーンが催促すると、

渋々といった感じで口を開く


……女、我と替われ


……了解


ジーンと入れ替わったアスタロトは、

手足をポキポキと鳴らして慣らしてから声を発する


「あー、あー、よし」


声の出し方に問題はないか調べ、アスタロトは話し始めた


「人間ども、よく聞け」


その口調でハーフブリード達はアスタロトと気づくが、

他の者たちは「突然なんだ?」といった表情で固まっていた


「我はアスタロト、お前らが悪魔王と呼ぶ存在だ」


訳あって今はこの身体の中にいる、と付け加え、

アスタロトは簡潔に今の状況を説明し始めた


「この小娘が使おうとしているのは原初魔法、

 即ち、お前らの言う"神々"を作り出した存在が使う魔法だ」


アスタロトの話す内容を受け入れられる者などいない

神を作り出す……? 何を言っているんだ?

誰もがそう思っていた


「我も……あー、今はいいか、

 小娘がやろうとしているのは神の創造だ」


それ自体に危険はないから安心しろ、との事だ

言いたい事だけ言ったアスタロトは引っ込み、

ジーンの意識は肉体へと戻る


「……だってさ」


ジーンが自分が戻った事を知らせるように言うと、

皆はポカーンと口を開いたまま止まっていた


「それは、マルロ様は神を創造できる存在という事ですか?」


エインの問いにジーンは頷く


「そんな事が……」


あっていいのか、とでも言いたげだった

それでは神の上位存在という事になってしまう

だが、目の前に事実としてあるのだ、認めざるを得ない


36の光が一点に集約し、周囲から七色の光も集まり始める

世界に漂う魔力を集めているのだ


しかし、それだけではなかった


大地の奥底……龍脈からも引き上げ、

地面を突き破って淡い青緑の光が現れる

直視すれば目が潰れるほどの光が一点に集まってゆく


黄金、黒、青緑の光は混じり合うが溶け合わず、

それぞれの色を主張しながらも混ざってゆく



そして、神は誕生した



いや、正確に言うと、神となれる力の化身が誕生した

神となるためには信仰を集めなくてはならないのだ

その点、マルロは十分以上の信仰を集めていた


力の化身たる光は形を成し、一本の杖になる

今までずっと動かなかったマルロの片手が動き、

その杖を握りると、杖は命でも吹き込まれたかのように、

美しい姿に変化していった


それは、樹のようであり金属のようでもある

大自然を現したかのようなその姿は、最上級の美を感じさせた


聖杖(せいじょう)グランドアーリア


神の力を内包した神器グランドアーリアが誕生した瞬間だった

マルロはそれを手にし、すっと音もなく静かに振り上げる


同時に、六神の作り出していた封印神法は砕け散り、

リリムたち巫女の結界魔法もまた砕け散った


……相変わらずのバケモノっぷりだな


……アナタが言う?


……今の我にそんな力は残っていない……悪魔になったあの日から


また長そうな感じだったのでジーンはスルーし、

この状況をどうにかしないとと頭をフル回転させていた


六神は再び封印神法を発動したようだが、

それもいつまで持つか分からない

自分たちにできる事はしなくては、生き残るのは難しいだろう


ジーンは幾つもの可能性を考え、

その中で一番可能性の高いものを選んだ


「巫女様たち、ちょっといいかしら」


「どしたの、ジーン」


シャルルがきょとんとした顔で見てから「様とか」と笑い出す

巫女たちはもう一度結界魔法を使うか話し合っていたのだ


「私の魔法障壁で食い止めてみる

 巫女様たちは結界魔法でその隙間を埋めてみてくれる?」


しかし、魔法障壁は目に見えないものだ

そこへの対処法はジーンが補足していた


「サラは砂をあの輪にかけて、

 ラピはディナ・シーの鱗粉でお願い」


なるほど、と巫女たちも納得する

粒子が空気中にあれば障壁がどこにあるか分かるのだ


「俺たちもやるか?」


アシュがそう言うが、あまり数がいても邪魔でしかない

集中力が削がれるのもあるため断った

手持ち無沙汰になったアシュはプララーを連れて見張りに戻る


エインもまたやる事が無いのだが、

先ほど耳にしたエインの能力……神炎というものに興味があった

少し見せてもらったが、それはジーンの手を一瞬で焦がす炎で、

他の者には熱すら感じないものだそうだ


使えるかもしれない


そう思ったジーンはエインには残るよう言い、

可能性を少しでも上げるために急いで準備を始めた


ジーンの魔法障壁は1枚1枚を極小にまで縮め、

マルロの頭上に輝く結晶の隙間に入れ、その動きを止める


ここまで小さくした障壁の強度はたとえ1枚でも尋常ではない

巫女の融合魔法なら余裕で防げる強度なのだ、

それを10枚も使っている、そう簡単に壊されてたまるものか


小動物の鳴き声のような甲高い音が鳴り響き、

ジーンの魔法障壁の1枚目に亀裂が入る


「万物の母たる四象の(くさび)


巫女たちの詠唱が始まり、すぐに結界魔法が発動する

サラがふりかけた砂と、ディナ・シーの鱗粉により、

障壁と結晶の隙間が見え、全員がそこへ集中した


結界は隙間をぴったりと埋め、

マルロの頭上に輝く結晶は動きを止めた


いけるっ!


ジーンは「後は神々が……」と空を見上げると、

神々の封印神法も翼が退いた事で押し返しているようだった


魔法障壁が1枚割れるごとに結界魔法の形を変え、

それに対応していく……かなり精神力を削られる作業だが、

何とか輪の完成を阻止出来ていた


神々の封印神法が成功するまでの時間を稼げればいい

自分たちの力ではこれが限界だ

しばらくその攻防が続くが、不意に状況は一変する


シャルルが倒れたのだ


彼女は元々魔力切れに近い状態だった

ベリンダから少量の魔力を分けてもらっていたが、

それもまた使い切り、僅かな自前の魔力すら使い切っていた


シャルルが倒れた事により四象結界は消滅し、

ジーンの障壁は1枚、また1枚と割れてゆく

残りの障壁は5枚、このままでは……


しかし、既に手は尽くした、これ以上策はない

巫女たちの魔力も既に限界に近く、

仮にそれぞれが結界魔法を使ったところで意味はないだろう


ジーンは念のため残しておいた2枚の障壁も使い、

7枚の障壁で時間を稼ぐ……が、1枚、また1枚と割れていった


そして、残り2枚になった時、

誰もが目を瞑り、助けを乞う……だが、諦めていない人物がいた


エインだ


エインは神炎の宿った銀の右手で結晶を掴み、

何とか止められないかと力を込めている

そんな事で止まるようなものではないが、

無力な彼はそうする事しか出来なかったのだ


だが、この無力な一手は奇跡を生む


・・・・・


・・・



どれだけ寝ていただろうか?

マルロは朧気(おぼろげ)な意識の中で目を覚ます

辺りは変わらず暗闇で、音も何もない


気がつけば、再び白い手が自分を引っ張っていた

ゆっくりと沈んで行くその感覚に身を委ね、マルロは瞳を閉じる


この暗闇も、無音も、慣れてしまえば心地よくなってくる

沈んで行く感覚にも慣れてきた頃、

ふと、ある出来事を思い出していた


以前、ラーズ国を訪れた時に嵌まった壁の穴だ

思い出して赤面した少女は、同時に頬が緩む


あの時はお尻がつっかえちゃって、

クガネさんが引っ張り出してくれたんだっけ


ふふ、と小さな笑みがこぼれる


どうして今それを思い出したのかは分からないが、

ほんの少しだけ幸せな気分になった少女の胸から、

光が漏れ出し、辺りを照らし始める


完全なる闇だったその世界に光が射し、

今自分がどこにいるのか、どんな状況なのかが分かってしまった


「い、いやっ……」


否定するように首を振る

彼女が見たのは、おびただしい数の人の死体だった

彼女が泥と思っていたのは人々の血肉や臓物で、

その死体の中には見知った顔が幾人もいる


この死体の全てがマルロと関わりのある死んだ者達だった


見たくなくても視界に入ってくる"それ"の中に、

一番見たくない存在を見つけてしまう……


「クガネ……さん」


少女は悲しみや恐怖よりも、彼に触れたかった

血肉をかき分け、必死に進み、彼の亡骸へと触れる


体温など無いが、懐かしい彼の大きな手に触れ、

涙がとめどなく溢れてくる


「クガネさん……グガネざん……うぅ、うぅぅぅっ」


涙や鼻水でひどい有り様だが、ここには彼女しかいない

辺りにあるのは死体だけだ


死体でも、愛しい彼との再会は、

ほんの僅かな暖かさを与えてくれる、そう思っていた……


だが、マルロの腕の中にいたクガネはドロリと溶け、

白骨へと姿を変えてしまう


「やだ、やだ、もうやだ!」


マルロは両手で頭を抱えてぶんぶんと振り回す

少女の精神は今ぷつりと音を立てて切れるところだった


が、そうはならなかった


一瞬だけ熱が肌に届き、その後すぐに、

彼女の耳に懐かしく、間違うはずがないあの声が届く


「おいおい、何泣いてやがるんだ

 泣きたくねぇから神様になったんじゃねぇのか」


今までの朧気な幻聴の類ではない、

ハッキリと、現実のものとして耳に届いた


「うそっ」


マルロは顔を上げ、天を見上げる

漆黒の空に一箇所だけ光が見えた、

声はそこから聞こえたように思える


「……ク……クガネさんなんですか」


「まさか忘れたのか? この俺を」


この傲慢な態度、口調、間違いない

本当に、本当にクガネさんなんだ!


『クガネさんっ! クガネさんっ!』


泣き喚くように天へと手を伸ばすマルロを、

声の主……クガネが鼻で笑う


「ったく、いつまで経ってもガキはガキだな……ほらよっ」


光からスゥっと手が伸びる

独特な指先が出たグローブを着けたその手は見覚えがある

忘れるはずもない、愛しい彼の手だ


マルロは必死に手を伸ばすが届かず、

背後から白い手たちが彼女のローブを引っ張る


「やめて! 離してっ!」


しかし、無数の手は彼女をがっしりと掴んで離さない

徐々に身動きすら取れなくなっていく中、

クガネの手が伸びる光の穴が徐々に小さくなっていた


「ダメっ! 待って!」


白い手……亡者たちの手はマルロを離さない

マルロが殺した人々、救えなかった人々、

その罪悪感が形となってマルロを縛っていた


それでも、私は!


《離せっ!》


人知を超える力を使い、

辺り一帯の白い手や死体は吹き飛ばされる


私は、クガネさんに!


マルロは手を伸ばす……必死に背伸びをして、

ぷるぷると震える手を彼の元へ……しかし、後少しが届かない


《クガネさんっ!》


「慌てるな、ガキじゃあるまいし……と、お前はガキだったな、マルロ」


「ガキじゃありませんっ」


懐かしいやり取りが心を暖かくする

嬉しくて、嬉しくて涙が溢れる

こんなに温かい涙は久しぶりだった


その瞬間、背中が押されたようにふわっと浮き上がり、

ついに彼の手を取った


挿絵(By みてみん)


世界は一瞬で暗闇から鮮やかな七色へと一変し、

光の粒子がキラキラと辺り一面を埋め尽くしている


「……きれい」


手には彼の体温があった

それがたまらなく嬉しくて、また涙が溢れてくる


マルロの身体はぐいっと引き上げられ、

七色の世界から、見渡す限りの海の世界へと引っ張り上げられる

そこには恋焦がれていた彼がいた……クガネだ


「クガネさんっ」


飛びつくように抱きつき、彼の体温を匂いを感じ、

マルロは幼い女の子のようにわんわんと泣く


「っと、なんだなんだ、随分甘えん坊になったな」


クガネはマルロの頭に手を置き、優しく撫でていた

それが嬉しくて、だらしなく破顔する

だが、幸福感と同時に、マルロは現実的な事に目を向けた


「クガネさんはなぜここに……?」


「あぁ、それか……それはな」


クガネが語る話はとても信じられないものだったが、

彼の声が、表情が、体温が、匂いが、存在が、

マルロの中で弾け、全てを受け入れていた


クガネが言うにはこうだ


疾雷の使った炎で、お前の悪魔の部分に穴があき、

神々が俺とお前を繋げたんだとよ


少女はぴったりとクガネに寄り添い、

彼の顔を見上げて目をうるうるさせている


「お前聞いてんのか?」


「はい!」


ニコニコする少女にクガネはため息をもらし、

もう1度頭の撫でてから真剣な顔になる


「いいか、よく聞けよ、マルロ」


「はい!」


「俺はもうすぐ消える」


「え……」


幸せは音を立てて崩れ去る

この時間は永遠ではないのだ


「何、そんなに落ち込むな、近い内に必ず会える」


「本当ですか?」


マルロは目に大粒の涙をためて見上げてくる

そんな少女の頭を撫で、クガネは上を指差した


「あそこに光が見えるか?」


「……はい」


「お前はあれを目指せ」


「……はい」


「俺の認めた、お前ならできるよな?」


「もちろんです」


マルロは涙を拭って笑顔を見せる


「なら頑張れ、そうすればいつか会える」


「約束ですよ?」


「あぁ、約束だ」


マルロとクガネは握手を交わし、

最後にマルロは彼に抱きつき、その体温を、匂いを、

忘れないように心の刻んだ


「クガネさん、ありがとうございます」


離れたマルロはぺこりと頭を下げる


「あぁ、じゃあ俺は行くからな」


上げた顔には微塵の陰りもなかった


「はい!」


マルロは杖を手にする……いつもの黒曜石の杖だ

そして、光に手をかざし、願うのだ


挿絵(By みてみん)




「世界に祝福を! 愛する人に祝福を!」







いかがでしたでしょうか、マルロ編。

ここのお話は口にしたくても出来なくて、ずっと我慢していたので、

やっと描けて僕は大満足です(*´ω`*)みなさんも楽しんでくれてるといいなー。


ここで終わりって訳ではありません、

もちろん5章はまだ続くので次回もお楽しみにー!


感想・ファンアートなどなどお待ちしてまーっす!



オマケ



挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後のイラストが全部持って行ったなあ…… マルロをまた奮い立たせるという意味では、残酷な再会だったのか。 [一言] なんか、なろうの絵って長細くなりません? 俺の場合、それが嫌でイラスト…
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