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第1話 空から少女が降ってきた


 学校の屋上に行ったとき、僕は確かに見た。


 空から降ってくる少女を。


 そして少女のスカートの奥に秘められた、あの縞模様しまもようを──。


 ■■■


 少女が降ってきた数分前に時計の針を戻してみる。


 僕『大石コウ』は撤退戦を決意して行動を開始していた。

 何からの撤退かって?

 友達をつくる戦いからの撤退さ。


 高校生になって一週間が経過した昼休みの今、クラスメイト達はグループに分かれて談笑しながらお弁当を食べている。


 あぶれた僕一人を除いては、だけど。


 予想はしていたよ。

 なにせ僕は中学の3年間友達ゼロで過ごしたぼっちのプロだからね。


 不覚にも『高校なら友達が出来るかも』などというお花畑な妄想にとらわれてしまったのはわずか一週間だけさ。


 昨日までは一人でお弁当を食べつつも「誰か誘ってくれないかなー」と捨てられた子犬のような目でクラスメイト達に視線を送ってみたものの効果ナシ。


 もう諦めて逃げまーす。

 教室でのぼっち飯に耐えるのは正直しんどいから。


 という訳で──。


 僕一人だけが一人という惨め絶頂な昼休みの教室からお弁当袋を手に脱出。


 人目につかずにお弁当を食べられる場所を求めて校内を彷徨さまよっている最中だ。


 そういえこの高校は屋上が立ち入り禁止だったな。

 行ってみるとするか。


 ──さて。


 校舎最上階の4階、屋上に行く階段の手前までやってきたぞ。

 赤いカラーコーン2つに黄色と黒のシマシマのポールが渡してあって、この上の屋上に行ってはいけないことをきっちり示している。


 僕は人に見られていないことを確認してサッとコーンの脇を通り過ぎた。

 さらに素早く階段を上ると、屋上に出るドアの前にすぐに辿り着いた。


 ドアの前のスペースは僕を除けば無人だ。

 4階の廊下からは死角になっていて見られる心配はないし、絶好のぼっち飯スポットだね。

 うんうん。


 屋上で食べられたらもっと良いけど、さすがに立ち入り禁止だから鍵が掛かっているだろうな。


 そう思いながらドアノブを回してみると──。


「あれ? 鍵が掛かってない」


 あっけなくドアは開いた。

 少し警戒しながらドアの向こうへ出てみる。

 フェンスに囲まれた屋上には誰もいない。


「ラッキー。屋上、貸し切りじゃん。誰にも気兼ねしないで青空の下で食べるぼっち飯は最高だね」


 僕は数メートル進んだところで足を止めた呟いてみた。

 虚しい。

 暖かいはずの春風も心なしか冷たく感じる。


 高校生になれば僕だって孤独から解放されて青春ってやつを謳歌できるかもってちょっとは期待してたんだけどな。

 でもコミュ力ゼロの僕は中学と同じことの繰り返し。

 また孤独な三年間を過ごすことになりそうだ。


 それに友達さえ作れないんだから──。


「彼女なんて、絶対できないだろうな。ハァ……」


 彼女欲しいなあ。


 できればラノベとかアニメのキャラみたいな不思議な美少女だと嬉しいな。

 眼帯をしていて特殊なものが見える能力を持つ邪気眼じゃきがんの美少女とかいいよね。

 それで日本刀で怪異を倒したりしていると一層ポイント高いよね。


 そういう美少女が突然空から降ってくるのを僕がキャッチしたりすると、運命の出会いって感じがするのになー。


 僕はあり得ないことを妄想しながら青空を見上げた。


「嘘──」


 その瞬間、僕は確かに見た。

 空から僕に向かって落下してくる少女を──。


 走馬灯そうまとうのように時間がゆっくり流れているように感じたからなのか、僕には少女の姿がしっかりと見えていた。


 その少女は高校指定の黒いセーラー服をまとっていた。

 落下中だから長い黒髪が逆立っている。


 そして左目に眼帯をしていた。

 まるで邪気眼を隠しているかのように。

 そして驚くべきことに、右手には日本刀を、左手には鞘を握っていた。


 さらにさらに!

 はためくスカートの奥には、白と水色のしまパンが──。


 ズゴッッ!


 縞模様しまもようにに釘付けなっていた僕の意識は、少女の落下の直撃を受けて途絶えた。


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― 新着の感想 ―
1話から勢いがあって、すごく楽しく読めました。ぼっち飯をしようと屋上に逃げる主人公の自虐気味な語りが面白くて、そこから“本当に空から眼帯美少女が降ってくる”展開のバカバカしさとインパクトが最高でした。…
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