蓮始開(はすはじめて開く)
水の宇宙人マナブと破壊の概念インテリタスが紡ぐ連作短編です。
■いる人
インテリタス…破壊の概念。少女の姿を得た。人間勉強中。親指姫
マナブ…水の宇宙人。美青年。世話焼き。バンドのベーシスト。自我のある水滴。
夢のなかで、マナブは一雫の露となって蓮の葉の上に浮かんでいた。
蓮の葉は水をはじくというのは本当のようで、風が吹いては葉の上を滑るように、行ったり来たりになってしまい、危うく池の中に落ちそうになる。落ちればたちまち、池と同化して消えてしまうに違いない。それは困る。何が困るのかというと、上手く説明することはできないのだが、とにかくその辺の有象無象の水と一緒になってしまうのは避けたかった。雫である自分が、自分とはまったく関係のない大きな存在に飲み込まれたとき、意識を保っていられるのか、という恐怖があるのかもわからない。しかし、この大きく広い不安定な葉の上から逃げ出す術がなかった。
その哀れな水滴が右往左往しているのを葉の上で眺めている小さな少女がいた。ふよふよと浮かぶ水の動きを面白くもなさそうに、興味があるのかないのかぼんやりとしながら瞳に映している。
その蓮の花の花びらにも似たピンク色の瞳をこちらも見返している間に、気が付けばマナブの身体は葉の縁まで滑っていた。慌てて身体を踏みとどまらせて、落ちまいと水の身体を揺らす。
その動きを見て思うところがあったのだろうか。少女はその場から立ち上がると、マナブの方にとことこと歩いてきて、身体に見合った小さな手で水滴を掬った。
それから、向こうの方で咲いているピンク色の蓮の花に飛んだかと思うと、水の身体を黄色の花芯の上に優しく置いたのであった。
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読者の皆様に少し不思議な出来事が降り注ぎますように……!
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