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164話 カタストロフは逃がさない!

気づいたら文章50万文字超えてました。

よく書いたなー

「はぁ……はぁ……なんとか戻れたわね」


 膝に手をつきながら息を整える。

 ここは冒険者ギルドの転移の間。

 ダンジョンコアを手に入れたことにより、ダンジョンの空間が崩壊。

 すべてがガラガラと砕け、虚空に飲まれていく中、全力で逃げた私たちはなんとか転移陣に到達。

 飛び込むように中へ入り、なんとかギルドに戻ってこれたのである。


「全く……。最後までドタバタだったわね」

「ほんと……こっちは弱ってるっていうのに……、うげぇ……」

「疲れたよ〜……」

「もう足が動きませ〜ん……」


 アルテナ達もヘトヘトみたいだ。

 その時、部屋の中央に存在する転移陣が白く光り始める。

 そして徐々に光の粒子と化していき、転移陣はフワッと消滅してしまった。


「エレン様、転移陣が消えちゃった……」

「ええ、そうね……」


 私を含め、四人で転移陣のあった床を見つめる。

 みんなで苦労して攻略したダンジョンだったのに……。

 なんというか、あっけない。

 ダンジョンなんて危険な場所、嫌いだったはずなのになんだろう?

 この胸に浮かぶ寂しさは……。


(みんなはどう思っているのかしら……?)

 

 そう聞こうとしたその時。


「おい、転移の間から音がしたぞ!」

「まさか……!? 早く扉を開けろ!」


 外から騒がしい声が聞こえ、勢いよく扉が開かれる。

 そこに現れたのは、二人のギルド職員だった。


「おお! みんな! ()()たちが帰ってきたぞ!」


 そう言って、一人が外に向かって叫ぶ。


「えっと……?」

「さあ、早くみんなにその姿を見せてあげてください」


 理解が追い付かず、ギルド職員に言われるままみんなで転移の間から出る。

 すると……。


「「「「「うおおおおおーーー!!!!!!」」」」」

 

 ギルド内に歓声が巻き起こる。


「町を救ってくれてありがとう! カタストロフー!」

「貴方たちは命の恩人よー! カタストロフー!」

「マルター! 今日くらいはお前の毒舌も許してやるぜー!」

「ミラちゃんを俺にくれー!」

 

 ギルドの職員、冒険者、町の住民たち。

 みんなが私たちに感謝の叫びをあげる。

 とりあえず最後の奴はあとで殺しておくとして……。


「マルタ、これってやっぱり……」

「ええ、そりゃこうなりますよ。町と人々の命を救ったんですから。こういう時は胸を張りましょう!」

「いや、そう言われても……」


 こういうのは苦手……いや、嫌いなのに。

 ミラも怖いのか、恥ずかしいのか、私の裾を掴んで後ろに隠れてしまっている。

 まあ……だけど……。


「クックック……。あーっはっはっはっは!」


 そんな私たちの気も知らずアルテナが高笑いし、フードマントをはためかせながら前に出る。


「ここにいる全員、よく聞きなさい! あたしたち冒険者パーティー、カタストロフがダンジョンを攻略し、魔物の暴走(スタンピード)を止め、町を救ってやったわ! ミラ、ダンジョンコアを出しなさい」

「はーい」


 アルテナはミラからダンジョンコアを受け取り、頭上に掲げる。


「これがその証拠よ!」

「「「「「おーー!!!!」」」」」


 黄金に光り輝くコアを見て、再び人々が歓声を上げる。


「こ、これがダンジョンコア……!」

「なんて美しいのかしら……!」

「すごい力を感じるぞ……!」

「クックック……。そうでしょうそうでしょう。はっはっは!」

「アルテナ、そろそろ仕舞いなさい」


 宝物を見せびらかすのはあまりよくない。

 再びコアをミラに収納させる。

 その時。


「みんな、どいてくれ! おーいエレン、アルテナ、ミラ!」


 人々をかき分け、私たちの前にアーシャさんがやってくる。


「アーシャさんだ!」

「アーシャさん、ただいま」

「アーシャ、戻ったわよ!」

「へ、約束通り無事に戻ってきたようだな! 無茶しやがってこの野郎が!」


 私とアルテナの首に腕を回し、アーシャさんは笑顔で喜んでくれる。


「ちょっとアーシャさん、痛いわ」

「へへ、わりぃ。嬉しくてついな」

「……ありがとう。そうだ、この状況を見る限り、やっぱり町に魔物が?」

「ああ。実はな……」


 質問するとアーシャさんが腕を離し、起きたことを説明してくれる。

 やはり魔物の暴走が起きた時、町にも大量の魔物が現れ、暴れたらしい。

 討伐隊が来るまでギルドに避難し籠城するつもりだったが、急に魔物が転移陣と同じく、光の粒子となって消えていったそうだ。


「なるほど、それで私たちがダンジョンを攻略したことを知ったのね」

「ああ。町はかなり壊れちまったが、被害は少なくて済んだぜ。全部お前たちのおかげだ。本当にサンキューな」


 笑顔で微笑みあっていると、そこにドン・ガイさんもやってくる。


「やあ、カタストロフの諸君。僕もギルドを代表して礼を言うよ、ありがとう。マルタ君もお疲れ様」

「やれやれ、本当に疲れましたよ。特別手当に期待してもいいですよね?」

「はっはっは。今回ばかりは断れなさそうだ」


 二人が普通に会話してるのを見て、何か違和感を覚える。


「あれ……? ドン・ガイさんは、マルタがダンジョンにいたのを知ってたの?」

「ああ、マルタ君が君たちを止めるって聞かなくてね。僕が見届ける中、ギルドで戦ってもらうつもりだったんだが……」

「『紅蓮の鉄槌の』バカが無茶してダンジョンに入ったと聞いて、そっちの対処を優先する羽目になったわけですね。そうじゃなきゃ、ダンジョンの中で待ち構えたりしませんよ」


 なるほど。

 そういう事情があったわけね。

 

「ちょっと変態筋肉! それならそうと、どうして教えなかったのよ!?」

「いや、言おうとしたんだが……。君たちがその前にさっさとダンジョンに入ってしまって言いそびれたんだ」

「どうせアルテナさん、『先を越されてたまるかー!』って感じでエレンさんを引っ張ってさっさと入っちゃったんでしょう? 目に浮かびますよ」

「うぐ!?」


 事実という矢がアルテナにぐさっと刺さる。

 まあ細かく言えばミラと一緒にだったけど。


「しかしマルタ君、なんだかいい顔になったじゃないか」

「え? そうですか?」

「ああ。憑き物が取れたという感じだよ。君の問題は解決したのかな?」

「……はい。おかげさまで」

「……そうか、本当によかったよ」


 そう言って二人は笑いあう。

 おそらく、ドン・ガイさんもマルタの事情を知っていたんだろう。

 

「さて、ここは騒がしいし、話をするにも向いていない。上の執務室に行って、ダンジョン内で何が起きたか詳しく聞いてもいいかな?」

「ええ。大丈夫よ」

「よし、それじゃあ上に移動し……」

「た、大変です!!」


 突如、町の兵士がひどく慌てた様子でギルドに駆け込んでくる。

 まさか、町で何か起きたのだろうか?


「君、一体どうしたんだい?」

「ギルドマスター! え、エミールが……領主エミールが、脱獄しました!」

「なんだって?」


 それを聞き、ギルドにいるみんなが騒ぎ出す。

 エミールが脱獄?

 いやでも、ヴェインの南門は閉鎖されているはず。

 逃げる場所はないはずだ。


「彼はどこへ行ったんだい?」

「それが……奴は自分の屋敷の地下に秘密の抜け穴を作っていたようで……。それを使って、ヴェインから逃亡した模様です!」

「なんですって……!?」


 まさか、そんなものを作っていたなんて。

 万が一の時の対策ってこと?

 わかってはいたけれど、エミールに町を守る気はこれっぽっちもなかったらしい。


「エミールの奴……俺たちを見捨てて逃げたのか!?」

「ふざけんな! それでも町を守る領主かよ!?」

「みんな、落ち着くんだ!」


 ドン・ガイさんが、怒るみんなをなだめようとする。

 しかし悪いが、私も気持ちは一緒だ。

 ダヴィドと手を組み、暗躍していた奴を逃がすつもりはない。

 

「アルテナ、ミラ! エミールを追いましょう!」

「ふ、あんたならそう言うと思ったわ!」

「うん! ミラも行く!」


 人々をかき分け、二人と一緒にギルドの外へ飛び出す。


「ミラ、ドラゴンスケーターを!」

「うん! えーい!」


 ミラが手のひらから一条の光を出し、収納していたドラゴンスケーターを私たちの前に出現させる。

 素早く乗り込んだ私たちは、すぐにドラゴンスケーターを発進させる。


「なんなんですかこの乗り物は!? ってちょっと待ってください! 私も行きますって!」


 発進させた直後、マルタが慌てて後部座席へ飛び乗ってくる。


「なによマルタ? あんたもくんの?」

「ダヴィドを雇っていた奴なんか野放しになんて出来ません! 私も参加させていただきます!」

「よし、スピードを上げるわよ!」


 町の周りは山で囲まれている。

 もし馬車で逃げるなら南しかないはずだ。

 

「絶対逃がさないわよ……!」


 そのまま町を爆走し、南門を無理矢理出た私たちは、そのままエミールを追った。

 ちなみに……。


「……おい、エレン達行っちまったぞ。どうすんだ?」

「いや……まさかあんな乗り物を持っているとはね」

「どうすんだ”作戦”は?」

()に任せよう。もしかしたら、手間が省けるかもしれないしね」


 そんなやり取りをアーシャさんとドン・ガイさんがしてたことは、私には知る由もないのだった。


最近過去話を見直してると誤字がポロポロと…

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