120話 エレン、お宝をゲットする
色々あってまた更新遅れました。
すいません。
宝物庫にあった財宝によって真のポンコツになってしまったアルテナ。
さて、どうしよう?
「その右目に張り付いたモノクルが原因よね。外す事は出来ないの?」
「さっきからやってるんだけど外れないのよこれ」
「アルテナ様、ミラが引っ張ってみるよ!」
ミラがアルテナに張り付いたモノクルをガシッと掴んで引っ張る。
「いたたたた!? ちょ、ちょっとミラストーップ!!」
アルテナが痛がったので手を離す。
ミラの力でもモノクルは外れないようだ。
「うぐぐ……エレン、どうにかならない?」
アルテナが泣きそうな表情で表情でこちらを見てくる。
どうにかする方法はある。
だけど、アルテナがずっとこの状態だったら……もう冒険とかしなくても良くなるような……。
「……安心しなさい。どうにかする方法はあるわ」
「え、本当!?」
パァッとアルテナの顔が明るくなる。
まあしょうがない。
アルテナがずっと落ち込んでる姿は見たくないし、そもそもシスコンの上級変態女神が許さない可能性もある。
ここはちゃんと治しておこう。
「私の見立てでは、このモノクルは呪いにかかっているわ。呪いだったら私に任せなさい」
ヴェルミナさんから教わった技術とアルテナで神体実験を行った経験を活かせばなんとかなるはずだ。
アルテナに張り付いたモノクルに触れ、意識を集中させる。
どうやら呪いの魔力はアルテナにベタッと吸着しているようだ。
呪いは力づくでは外せない。
ならば。
「アルテナ、動くんじゃないわよ……。『解呪』!」
習得しておいた解呪魔法を発動すると、白い光が呪いを包み、徐々に黒い呪いの魔力がシールを剥がれる時みたいに取れていく。
そして完全に浄化され呪いの魔力が消えると、モノクルが自然とアルテナから外れ、足元にカランと落ちる。
「ふう、何とかなったわね。アルテナ、力は戻った?」
「やってみるわ……はぁあああああ!!!!」
「うわ!?」
「うわわわ!?」
アルテナが凄まじい魔力を解き放ち、砂埃がパラパラと落ちて来るほどピラミッドが揺れる。
「クックック。戻った……戻ったわ! あーっはっはっはっは!!」
喜びのあまり高笑いする。
いや、気持ちははわかるがやりすぎだ。
お陰で私とミラが壁まで吹き飛ばされた。
「アルテナ様〜酷いよ〜」
ミラが目を回しながら戻って来る。
「いたた……アルテナ、何するのよ」
「いやーごめんごめん復活は派手にやりたかったのよ。それよりもあっさり呪いを解くなんてやるじゃない!」
「はいはい、ありがとう。今の衝撃でどこか崩れないといいけど……」
「大丈夫よ。この程度でピラミッドが崩れたりとかそんなバカなこと起きるわけが……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「「「え?」」」
急に地面が大きく揺れ始める。
そして、天井が崩れ部屋が崩落を始めた。
「まずい……逃げるわよ!」
「う、うん!」
「ちょっと待ちなさい! ギャァァ!? お宝がーー!!」
「そんなこと気にしてる場合じゃ無いでしょう!」
お宝を惜しむアルテナを引っ張りミラと共に出口の階段を登っていく。
そして、玉座の間に戻った時、宝物庫の入り口は完全に塞がれてしまった。
「二人とも、大丈夫?」
「ミラは大丈夫。でも……」
「せっかくのお宝が……財宝が……」
崩落でお宝が埋まってしまい、ショックでミラはガックリと、アルテナは四つん這いになって崩れ落ちる。
「全く、本当にフラグ回収が早いわね」
「こうなったら掘り返してでも……」
「諦めなさい。無闇に掘って今度はピラミッドごと崩落したらどうするのよ」
「ぐぬぬ……」
自分のせいだから文句も言えないらしい。
いい教訓にでもなってくれたらいいんだけど。
「あ、でもミラお宝ひとつだけ持って来たよ!」
それを聞いてアルテナが飛び起きる。
「何ですって!? でかしたわミラ! で、何を持って来たの?」
「アルテナ様に張り付いてたモノクルだよ!」
「何でわざわざそんなの持って来ちゃうのよー!」
アルテナが再び崩れ落ちる。
忙しないやつだ。
「ミラ、どうしてそのモノクルを持って来たの?」
「一番価値が高そうだったからかな?」
金銀財宝よりも?
うーんミミックの嗅覚だろうか?
「ちょっと見せてくれる?」
モノクルをミラから受け取りよく見ると、魔力が宿っていた。
さっきは呪われていてわからなかったが、これもちゃんとした魔道具らしい。
試しに右目に取り付けてみる。
「エレン様どう?」
「特に何も……え?」
モノクル越しにミラを見ると、頭の中に何かが流れ込んでくる。
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名前 ミラ
種族 クリスタルウィスプ
状態 正常
レッサーミミックが大量の魔力を浴びることで変異した特殊なミミック。
本体のみすぼらしい見た目はそのままだが、力と防御が恐ろしいほど上がっている。
半透明の分身、収納魔法、相手を惑わす金貨の爆弾などの魔法の習得している。
かなりの脅威なのだが、臆病な性格のため自分から戦うことはほぼない。
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「これは……ミラの情報? もしかしてこのモノクルって……」
次は崩れ落ちてるアルテナを見てみる。
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名前 アルテナ
年齢 不明
種族 不明
状態 正常
所持スキル
『獄炎』
炎と闇の魔法を全て使用可能で複合魔法も使いこなし、魔力が大幅に増加する。
『死神』
デスサイズという大鎌を生み出し扱えるスキル。
スピードを中心に身体能力が向上する。
デスサイズによる攻撃は防御を貫通し体力、魔力を吸い取り回復できる。
魂は刈り取れない。
『邪眼』
目で見た相手を好きな状態異常にする事ができる。
一瞬でも目を離すと効果を失くす。
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やっぱりアルテナの情報が流れ込んでくる。
人と魔物で表示される情報に少し違いがあるみたいだが、これは間違いない。
「ミラ、よくやったわ。アルテナ、いつまでも四つん這いになってないで起きなさい。とんでもないお宝を手に入れたわよ」
「え、とんでもないお宝?」
「エレン様、そんなにすごいお宝なの?」
「ええ、このモノクルは……“ユニークスキル”『鑑定』が使える正真正銘、超レアなお宝よ」
鑑定出て来るまで遅くない?
はい、遅かったですすいません