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胸パットについて自分を納得させていた涼に律は頷いた。
そして彼女は涼に向き合っていった。
「それじゃあ、パット込みのバストを測るわよ」
「また計測……まあ、そりゃそうだよね」
げんなりしつつも自分を納得させた涼に対し、律はいった。
「まあ、服のサイズを測らないといけないからね」
「律のいう通りだからね。ともかく、サイズは分かった?」
「サイズはこのくらいね」
そういった律の出したサイズを見た涼は思わずいった。
「流石にスタイルを追求しただけはあるのかな?」
「まあ、女の子らしさは出さないとね」
そんなことをいってのける律に涼はいう。
「ともかく、試着は明日かな?」
「そうなるわね。だから今日は」
そんな律に、涼は嫌な予感を隠しきれない。
「まさか、律……?」
「私のお下がりにはなるけど、服を着て外に出るわ」
嫌な予感が当たったといわんばかりに涼はいった。
「やっぱり……」
「心の準備ができてないかしら?」
そう問いかける律に涼は頷きながら返す。
「でも、明後日からはプロセン学園に通わないといけない。なら、腹をくくるしかない」
「その心意気よ、涼」
律はそういって、涼を着替えさせる。
「女物の下着の感覚だけでも男だってこと否定されそうだけど、女物の服まで着るなんてね」
「腹をくくったならやるしかないわよね」
そういいながら服を着替えている律に涼は頷いてこういった。
「なら、外に出る準備をしよう。だからメイクもするよ」
「分かったよ」
そんな涼に律はメイクし終え、外へと連れ出す。
連れ出された先はショッピングモールだった。
「それにしても、色んなものがありますね」
「そうよね、今日は服を買うわよ」
女性として振舞うなら私服を買うことになるだろう、と涼は考えた。
「でも、高級すぎる物はちょっと……」
「そうね、ならこの店とかどうかな」
そういう律に涼は頷いた。
「そうだね、カジュアルな感じで行くならこの店がいいと思うよ」
涼は料理の知識を得るために聞き留めていたクラスメイトの女子がいっていたことを振り返っただけなのだ。
だが、そんな涼の反応を見て律は思わずいった。
「意外と詳しいのね」
「クラスメイトの話を聞いていただけだよ」




