第七話
遅くなってすみません。かけましたー
リアクションや、コメントをしていただけるとありがたいです
食べ終わると、サクレアは食器を片付け、いつものように報告書や業務の続きへ戻っていった。
アリアとプラネも研究所へ向かう。
しばらく廊下を歩いていると、アリアがふと思い出したように口を開いた。
「そういえばさぁ」
「ん?」
「この前増えたスキル、ちゃんと確認してみない?」
「……あぁ」
ドラゴンとの戦闘中に発見したスキル。
<霊魂複製>
<魂魄強化 [極]>
<魂魄保護 [極]>
<高熱耐性>
<即時回復>
その他にも、以前は気づいていなかったスキルがいくつかある。
「戦ってるときはちゃんと見る暇なかったしな」
「じゃあ調べよぉ」
「もう説明は出てるんだから、読めばいいだろ」
「あ、そっか」
「……」
「……」
「なんで俺が説明してる前提なんだよ」
「だってプラネのスキルだしぃ」
「まあいいけど」
研究室に着くと、プラネは自分のステータスを開いた。
そして、一つずつ説明を確認していく。
「<霊魂複製>.....自分の魂をコピー。分身の強化ができる。自由意思を持たせることも可能....これは<分身>のを強化するスキルだな。<分身>は....まんまだな」
アリアが少しだけ目を見開く。
「自由意思を持った分身って、結構すごくない?」
「そうだな」
「しかも、その分身が死んだら上位権限が移る......」
「……分身に複製移しとけば、そっから復活できるのか」
プラネが少し考える。
「強」
「感想それだけぇ?」
「他にあるか?」
「ないねぇ」
「だろ」
次に、<魂魄強化 [極]>。
「魂の強度が極めて向上する」
「ふむふむ.....てことは魂に直接攻撃してくるやつがいるってこと?」
続けて、<魂魄保護 [極]>。
「魂への攻撃を殆ど軽減する」
「違いがあまりわからないよぉ」
「そうだな」
「なんか、どんどん死ににくくなってない?」
「確かに、基本的には攻撃メインだったから」
「あー」
そして、<世界辞書>。
「解析魔法の対象制限を解除する補助スキル……」
プラネが説明を読み進める。
「解析済み情報を保存、比較、検索できる」
「へぇ」
「解析対象をスキル、能力、魔法、概念、術式なんかにも拡張する……」
アリアが少し考える。
「つまり、解析魔法をめちゃくちゃ便利にするスキル?」
「そういうことだな」
「世界のこと全部分かるとかじゃないんだねぇ」
「説明を見る限りはな」
プラネはステータスを閉じる。
「まあ、使えるならそのうち使うだろ。あとは耐性だし、あとパッシブ系はこれみたら有効化したな」
「適当だなぁ」
「分からないものを考え続けても仕方ない」
「それもそうかぁ」
その後もしばらく新しく増えたスキルや耐性を確認した。
特に問題はない。
新しい力が増えた。
ただ、それだけだった。
その日は、それで終わった。
次の日、昨日は来なかった使者達が現れ始めた。サクレアが死にそうな顔を隠して対応していた、どうやら近隣の村の長などが多いらしい。まぁ全員追い返されていたが。その日は、得た魔石を使って、実験をして失敗ししたりうまく行ったり。
また次の日は、実際に発動するとどうなるか確かめた。
そなまた次の日.......昨日気になったことを調べることにした。研究室じゃつまらないので今日は外である。
「今日は昨日言ってた<世界辞書>の検証だっけー?」
「そうだよ」
「早くやろ?ね?」
「因果魔法に使えるか試してみるか」
───できた。解析魔法だと、例えば石を解析すると、
===============
名称:灰白石
特殊効果:なし
概要:砕けやすい石、
どこにでもにある。
===============
<世界辞書>を通してもこうなるのが、因果魔法だと
===============
名称:灰白石
特殊効果:なし
概要:砕けやすい石、
どこにでもにある。
類似:無銘石・灰白岩
===============
と、ちょっと増える。
次、今まで解析できなかったものの解析───世界そのものって調べれるかなぁ
=====================
───上位権限により阻止
=====================
「何それ(ぇ)?」
できなかった。諦めて魔法や、スキルについて調べた。
調べた結果がこれである
《対象》魔法
・概要:魔力を実況者のイメージどうりに変換する技術。
《対象》魔力
・概要:どんな物質、どんなエネルギーにでも変換できるエネルギー
《対象》詠唱
・概要:術者のイメージの補填を行う式
《対象》能力
・概要:現実改変を部分的に起こす力。魔力を消費する場合が多い
《対象》スキル
・概要:事象を強制的に引き起こす。魔力を消費する場合がある
《対象》スキルのランク
・概要:事象への強制力が大きいほどランクが上がる。[低]→[並]→[高]→[特]→[超]→[神]→[極]→[滅]がある。
一番驚いたのはスキルの[滅]が存在したことだ。これ以上はないと思ってたたら意外だった。
そんなことをしているうちに検証を始めてから五日が経っていた。
「……なんか今日、人多くない?」
アリアが朝ごはんを食べながら外を見て言った。
「多いな」
「多いですね」
プラネ、サクレアも窓の外を見る。
門の周囲には、普段なら見ないほどの人間が集まっていた。
武装した者。
魔法使いらしき者。
何かを調べている者。
ドラゴン討伐について話している者。
その数は、時間が経つほど増えていった。
「一昨日国が動いたのと、噂が広まって移動して来たのかなぁ」
「だろうな」
「大変そうだねぇ」
「まぁ大丈夫だろ」
「……多分ねぇ」
その時。
研究室の扉が開いた。
「プラネさん、アリアさん」
サクレアだった。
「今日から本格的に使者が来始めました。」
「知ってる。みた。」
「……そうですか」
サクレアは少しだけ疲れた顔で笑った。
「でしたら、やってもらわないといけないことはあります」
「何?」
「今日は、無視できない方々が多いので、直接対応しようと思います」
「で、俺もそれの対応をした方がいいと」
「まぁ、張本人ですから」
「分かった」
「ありがとうございます。対応をするにあたって、国について教えときますね」
サクレア曰く、まず俺らがいるのが、アルヴェリア王国のテレノ自治区ってとこらしい。テレノ自治区はだいぶ特殊な場所だそうだ。昔の紛争で所有が曖昧になってしまいで、色々あり、サクレアの先祖が統治することになったらしい。で、紛争相手だった国が、他国に併合され、テレノ自治区を手放し、アルヴェリア王国の国土になったそうだ。
他の国として、王朝国家セレノア、ヴァルディア連邦、聖エルネシア王国、グランヴァルト帝国があるらしい。今日来たのはわかった範囲だとヴァルディア連邦と王朝国家セレノアの使者だそうだ。
そこから日が完全に沈み今日の対応は終わり、バルコニーに3人でいた。ほとんどが俺への勧誘だったが、全て断った。めんどくさいし。中には勧誘ではなく、俺を恐怖の対象とみなして殺そうとするもの、強いと知って挑戦しようとするものもいた。前者は軽くいなし、後者はボコボコにした。
「もう夜だなぁ。これで半分ぐらい?」
「そうですね....」
その直後だった。
――轟音。
「……!」
外から、地面を揺らすような音が響いた。
外を見ると人々が一斉に逃げ始めていた。
「何だ?」
「何があったのぉ!?」
「分かりません……!」
次の瞬間。
遠くで、防壁外で何かが人を襲っているのが見えた。
人間ではない。一目でわかった。
人の形をして見た目の差異はない。
だが、雰囲気が人間のそれではない。
「……あれ、何?」
アリアの声が小さくなる。
「さぁ?」
プラネが立ち上がる。
「サクレア」
「はい」
「アリアを頼む」
「……分かりました」
..
....
........
転移した先には人だったものが転がっていた。森で人の死体を見たのでこう見えて見るのは初めてではない。ただ見ると悲しくなってくる。そこには返り血に塗れた白銀の髪の少女がいた。感情が抜け落ちたような顔をしたそれは、先程数人を屠ったであろう細い月夜に輝く長く細い両手剣を握っていた。肌然り服然りどちらも白く天使のようであったが、感じる雰囲気とオーラは見た目とは対極に位置するような禍々しく赤黒いものであった。
「どこから何をしにに来た?」
「 ・ ・ ・ ・ 」
「返事なしかよ」
問いかけても返事はおろか、表情すら変えない。
少女はただ、剣を構えていた。
月明かりを受けた白銀の髪が、風もないのにゆらゆらと揺れている。
「……まあ、いいか」
プラネが一歩踏み出した。
次の瞬間。
少女の姿が消えた。
「っ!?」
反射的に身体を傾ける。
直後、頬を何かが掠めた。
背後で轟音が響き、地面が大きく抉れる。
「……おいおい」
プラネは振り返った。
少女が、剣を振り抜いた姿勢のまま立っている。
今の一撃。
避けられたからよかったものの、反応が一瞬でも遅れていれば頭がなくなっていた。
───俺の頭って再生するのか?
「いきなり物騒だな……!」
少女が動く。
今度は正面。
プラネは魔力を展開し、防御障壁を構築した。
アリアが教えてくれた魔法である。
あいつ.....全部書いとけよ
剣が振り下ろされる。
──障壁が砕け消えた。
「は?」
防御魔法が破られたこと自体は問題ではない。
問題なのは、その壊れ方だった。
強度で押し負けたわけではない。
防御魔法が、まるで最初から存在しなかったかのように消失していた。
プラネは稼いだ僅かな時間で回避する。
少女の剣が地面に突き刺さり、衝撃で周囲の木々がまとめて消し飛んだ。
「いや、ちょっと今のは聞いてないぞ……」
少女が剣を引き抜く。
表情は変わらない。
呼吸すら乱れていない。
「……解析」
プラネは少女を対象に解析魔法を発動した。
=====================
《解析結果》
名称:不明
種族:不明
能力:不明
存在情報:取得不能
関連情報:該当なし
=====================
「やっぱり駄目か」
ならば、とプラネは別の魔法を発動する。
時間を停止させた。
──停止..........したはずだった。
「……え?」
少女の髪が揺れた。
時間停止の中で。
少女は、ゆっくりと顔を上げた。
プラネと目が合う。
初めて、確かに目が合った気がした。
「……っ!」
少女が剣を振る。
プラネは咄嗟に身を捻った。
時間停止中はほとんどの魔法が使えない。
剣先が肩を掠め、衣服が裂ける。
時間停止が解除された。
「おいおいおい……!」
プラネは距離を取った。今のは、さすがに笑えない。
時間停止そのものを破られたのか。
それとも、少女だけが時間の影響を受けなかったのか。
どちらにせよ、通常の相手ではない。
「……因果魔法」
今度は、少女の剣が届くという結果そのものを無かったことにし続ける。
荒技だし長くは持たない。
少女が踏み込む。
剣が振り下ろされる。
──そして。
プラネの肩に、鋭い痛みが走った。
「っ、ぐ……!」
血が散った。
プラネは数歩後退し、傷口を押さえた。
──回復も遅い.......なんならほぼしてない。
「……は?」
理解が追いつかない。
今の攻撃は、届かないはずだった。
剣が自分に届くという結果を、因果魔法によって無かったことにしたが、結果が覆された。
因果への干渉そのものを無視して、その結果だけを押し付けてきた。
──いや、違う。
無視されたのか。それとも、概念存在値で負けているのか。その他の要素があるのか。
今の一撃だけでは判断できない。
……どちらにしても、面倒だ。
「……お前、何なんだよ」
少女は答えない。
剣についた血を払うこともなく、再び構える。
プラネは傷口から手を離した。
「……はは」
思わず、乾いた笑いが漏れた。
「久しぶりだな、こういうの」
少女が消える。
今度は、目で追えた。
右。
いや、違う。
背後。
プラネは振り向きざまに魔法を放つ。
だが、少女はその魔法を避けなかった。
赤黒い霧が広がる。
魔法が、少女に触れた瞬間に消えた。
「それも!?」
剣が迫る。
プラネは剣を即座に創造してかろうじて受け止めた。
肩からは少しだが、まだ血が流れている。
衝撃。
身体が吹き飛び、木々を何本もなぎ倒して地面を転がった。
「っ、痛ぇ……!」
すぐに立ち上がろうとする。
だが、足が崩れた。
プラネは咄嗟に魔力を集中させ、体勢を立て直す。
その間にも、少女は近づいてくる。
一歩。
また一歩。
急いでいる様子はない。
時間を稼いでいるようにも見える。
「……なるほど」
プラネは少女を見据えた。
「俺を殺すために来たってだけでもなさそうだな」
少女は剣を構えたまま、立ち止まる。
「なら、何が目的だ?」
沈黙。
数秒後。
少女が、初めて口を開いた。
「────ここの抹消」
声は、驚くほど平坦だった。
「……は?」
「この地域を、抹消する」
少女の周囲で、赤黒い霧が膨れ上がる。
空気が軋み、地面に走った亀裂が一気に広がった。
プラネは軽く回避する。
次の瞬間、先ほどまでそこにあった瓦礫が、消えた。
地面が抉れたのではない。
焼けたのでも、砕けたのでもない。
そこにあったものが、最初から存在しなかったかのように失われていた。
プラネの表情からは、いつもの気楽さが消えていた。
「……ああ、そう」
魔力を解放する。
周囲の空気が震え、森全体が軋むほどの圧力が広がった。
それでも少女は動じない。
「そうか……」
プラネは一度、深く息を吐いた。
「俺にちょっかいかけるのはいいが、それは許さない」
その言葉と同時に、彼の周囲の景色が歪んだ。
今まで抑えていた力が、静かに解放されていく。
少女が、初めて剣を握る手に力を込めた。
そして二人は、同時に動いた。




