瘴気災害の謎と、不思議な出会い
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ーーーーーーー「ん、」
朧げな意識を覚醒させて、自身のフルパワーを持って枕もとの時計へ視線を誘導する。
『7:18』と指し示されたそれは、ハヅキを慌てさせるには十分な時間だった。
「やば、学校」
言ってみたは良いものの、体は一向に動こうとしない。
転げ落ちるようにしてベットから離れて、ハヅキは急いで身支度を始める。
(学校ってわざわざ行く必要あるか?)
なんて、生産性のない問いに自問自答して、結局はサボるのも嫌になって無気力に学校に行く。
親はとっくのとうに死んでしまったため、ずっと家にいても咎める奴は誰もいない。
(どうせ死ぬんだから、あれのせいで)なんて心の中で毒づく。
あれとはなにか、この国の者なら赤子でも知っている。
かの恐ろしい瘴気災害を食い止めるべく天厄歴12年に成立した法案、その名も、
「天厄歴0年発生の瘴気災害におけるセルバン王国自衛のための探索隊構築推進法」
、、、、、、、長い、長すぎる。
そのため世間一般では自衛法なんて言われてたりする。
この法律は選挙権のある一般市民の中から、頭脳、身体能力などの観点から評
価し、優秀で探索隊に選ばれるのに値する人物たちおよそ数百人を瘴気災害の最前線に立たせ、実態を調べることを定められ、最近施行された法律だ。
なぜこの瘴気災害は発生したのか、瘴気の物質の原料は何か、そもそも瘴気と定義づけられたこれらはなんなのか、まだまだこの災害についてわからないことが多すぎた。
この法律が成立するまでの12年間、この世界はおよそ2割を失い,
特段被害が少なかった政府が作り出した法案がこれだ。
調査なんて言えば聞こえはいいが、実際は常に死が隣り合わせのえげつないもんだ。まだ探索隊が派遣されたことはないが、初回の調査では少なくとも1割弱の探索隊のメンバーが死亡するだろうと推定されている。
そんなこんなで各国の間で瘴気災害には手を出すないようにという旨の条約が締結されたが、領土の損失が唯一全くなかったセルパン王国は調子に乗り、条約に唯一参加せず、瘴気災害に立ち向かう道を選んだ。
このことが原因で、かの悪名高い反政府組織、「レジスタンス」の人員が劇的に増え、治安も悪化している。
ともあれ探索隊に選ばれても健康体で帰れる確率はほぼない。
まだ瘴気が人体にどのようなえいきょうをおよぼすのかすらわかっていないのに、なにもおこらないわけがない。
探索隊となったことで周りからの扱いや待遇などは変わったが、それだけだ。
ハヅキの人生は国からの招集状が来たあの日から、余生のようなものなのだ。
ーーー学校ーーー
葉月は眠い目をこすりながら、何とか席に着いた。
寝たのは何時だかわからない。
夜勤のアルバイトは稼げるけど睡眠時間が少ないのはどうにも苦しいな、
なんてごく当たり前のことを考えていると、自分の友人のモリヤが声をかけてきた。
「よっ、調子は?」
「まあまあ、っていうか常時寝不足、夜勤はやっぱつらいよ」
その言葉をきいたあいつは心底理解できないというように、
「まだバイトしてんの!学校から出てる奨学金とかもっと使えばいいのに」
「どうにも根が真面目だからな、仕事がしたくなっちゃうんだよ」
「学校はサボるのに?」
ぐっはあ、だいぶ核心をついてきやがった、この野郎。
「それはあれだよー、あのー、そのー,俺は病弱だから」
うん、言い訳が思いつかん、こいつには口論で勝てる気がしない。
「適当言いやがって」
モリヤが苦笑する、こうやって話せているのも、俺が生きているおかげだな、なんてもっともらしいことを最近考えてしまう。俺も年だな、まだ十代だけど。
そんなこんなで雑談をしていたら、教室の扉がガラッと空いた。
でてきたのは見慣れた担任と、校長先生。その後ろに質素だけども高級そうなスーツに身を包んだ、いかにも大臣って感じの中年男性が一人。
「ハヅキ、ちょっといいか?」
担任が普段にはない真剣さを含んだ声色で俺に問う。
俺の横にいるモリヤの顔が強張り、クラスの空気が変わるのをはっきりと感じた。
ーーー校長室ーーー
「いやぁすまないねハヅキ君、楽しそうなところを、早く君に伝えないといけないことだからね」
「はい」
生返事をしつつも、心の中ではきた、と確信する。腹をくくり、息を吐いて向き直る。
「率直に言おう。君の、君たちの、この国初となる調査隊の日程が決まった」
「、、はい」
覚悟はしていた。だがこんなふうに言われると、まるで死刑宣告されているようで気分が良くない。
「君のような学生の身分の調査員は本当に少ない、それだけ君の能力が高く、信用されているということだ、。苦しいだろうが、頑張ってくれ!」
「はあ」
随分とポティブな言い方をされたが、命を懸けるこっちからしたらたまったもんじゃない。
「ではさっそくだが、第一回瘴気災害調査の説明をさせてもらう、場所はこの国の首都であるベリオールの北門、日時は明後日の午前10時からだ。」
「明後日!?]
それはいくらなんでも早すぎなんじゃないかと突っ込みたくなる。こっちにも別れの挨拶とか諸々あるんだから。
「すまない、一刻も早くこの瘴気災害の原因を、ってのが国の方針でね、僕みたいな下っ端じゃどうしようもない」
「まあ、わかりました」
それもそうだ。この人は悪くないし。別に政府も間違ってるわけじゃない。
「それでは、君は探索隊の一員として、次回の調査に参加するということでよろしいかな?」
今更後戻りしてしまわなように、覚悟が薄れてしまわないように、弱虫な自分を殺すために俺はそこで宣言をした。
「第一回瘴気災害調査、参加させていただきます。」
ーーーベリオール北門ーーー
ハヅキは予定よりも少し早く来てしまった。
いや、少しなどではない。昨日はあれだけ準備をし、覚悟を決めて、いざ布団に入ったはいいものの、極度のの緊張と不安で一睡もできずに、なんやかんやで8時前に集合場所に付いてしまった。
それでもあながちちょうどいい時間に来たのかもしれない。
周りには不安な面持ちの、探索隊の人々が、数えるのがおっくうになる程度にはいた。自分は死ぬかもしれない、いや自分は死なないだろう。
どうすることもできない恐怖と、どこから枠出てくるかわからない自信が心の中でいがみ合っている。だって極限状態だもん。しょうがないね。
「あの、、、」
「ふえ?」
虚を突かれた、というか近くに人が来ていたことすらわからなかった。
「もしかして、学生の方ですか?、、すいません深い意味はないんですよ、ちょっと珍しいから少しきになっただけで、、、」
なんかすごくオドオドしている。
俺がこの子に対して何かしたんかってぐらいだ。
「そうだよ、それがどうか、」
「あーよかった!同じ年齢ぐらいの人がいなくて怖かったんですよー、自分が真っ先に死んじゃうんじゃないかって」
「いやーやっぱりこういう人がいると緊張もほぐれますね!」
あらやだすっごいフレンドリー、さっきまでの態度が嘘みたいだ。
でも年が近い人が見つかると安心するよな
「俺は17だけど、同い年かな、大変だね―」
「ですねー」
なんか少し緊張がほぐれたな、たとえ死ぬとしても、その直前まではいい思いをして過ごせそうだ。
少し時間がたって、探索隊は出発した。
どうやら、最初は大型の馬車数台に分けて移動し、瘴気災害が侵食する恐れがない場所まで進んで拠点を立てた、そこからは馬に直接乗って移動するそうだ。まったく初日だというのに容赦がない。
こちとら命かけてるんだから少しくらい休ませろ!なんていいたいが、
言ったら確実に命はないだろう。
そうして少し緩んでいた気合を奮い立たせ、決意を固めていた。
ーーーーーその時だった
何か気体のような、液体のような塊がこちらに迫ってきていた。
間違いない、「あれ」だ。
本能が告げる。
あれはやばいと
国から直々に派遣されてきた、エリートたちも右往左往していて意味がない、俺は人一倍臆病なせいか、恐れをなしていち早く、逃げおおせた。後ろから悲鳴が聞こえる。明らかこの世のものではない悪臭が鼻をつぶし、視界も少しぼやけて見える。今日知り合ったばかりの女の子の悲鳴が聞こえる。こちら側に「人だったもの」が飛んできた。
馬を叱咤激励し、逃げて、逃げて、逃げて
恐怖のあまり振り返ってしまったハヅキはーーーーーーーーー
「それ」の「顔」を見た。
「それ」に目口鼻がうっすらと浮かんでいたのだ。それは何かに対して怒っているようにさえ見えた。
何が何だかわからず、呆然としたハヅキは、
右腕と左足の5本指全てをくいちぎられて、気を失った。
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「聞こえますかー!」
「うわっ!」
急に大声がして驚き飛び起きる、、、ことができず、満足に体も動かせない。
そこで初めて、ああ、俺は体の一部がなくなったんだな、と気づいた。不思議なことに痛みはあまりない。血もきれいに止まっている。目の前のこの子が直してくれたのか?
「やっとおきたー!あ、安静にしててくださいね、絶対に!ボスを呼びますから、少し待っててください!」
??
ボスって何?
ここは何らかの組織の施設なのか?
だとしたらなんでこんなところに俺が?
うーーーーん、、、、
考えても答えが出ないならしょうがないと思い、
ハヅキは横たわって、瞼を閉じた。
しばらくしてこの組織のボスと思わしき人物がやってきた。
「おー、起きたか、寝たままでいいぞー」
何とも気の抜けた声だな、どんな面してるのか見てやろうと思い、顔を上げた瞬間ハヅキは息をのんだ。
「おー、そうだ。自己紹介がまだだったなぁ」
俺の記憶が正しければ、こいつは、、、
「『レジスタンス』の組織の長を務めている、サレーというものだ、以後よろしく」
そいつは煙草をふかしながら、そう言った。
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