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蘇生少女は両親と出会う

ノンプロです。

どんな結末かは作者も知らないです。

大丈夫な人は読んでください。

「人体生体保存実験、被験者募集、試験合格したものにはaランクの地域への居住を許可する。

報酬は一万ゴール。」

aランクの地域なら呪いに怯えなくていい。

一万ゴールもあれば、あの食べ物もあの服もあんなものだって買える。

わたしは希望を持ってのその人体実験に申し込んだ。

人類は魔法に頼りきり、環境を破壊しすぎたゆえに自分の子孫の首を絞めたよ。

被験前の休憩時間わたしは、研究室の窓から外を眺めた。

魔法で対処しきれない原因不明の呪いで狂った虫に食い尽くされて赤茶けて枯れた山々が目に入る。

わたしは十年この実験に参加する。

そんなに周りの風景が変わるわけではないだろう。

この実験が成功すれば、上級階級はこのガラスの棺で千年は眠るらしい。

あくまで観察しやすいようにガラスにされているだけで、上級階級はオーダーメイドのデザインが計画されているんだって。

それ考える余裕があるなら台数を増やせばいいのに。

棺に入り、私は急な眠気に襲われた。

こんな安心できる眠りは初めてだ。




目が覚めると真っ暗だった。

明るい実験室で眠ったわたしは、また明るい実験室で目が覚めると思ったら違ったようだ。


なんとか、蓋を開けようとガラスの蓋を押した。

まるでガラスが飴細工のように砕けた。

砕けたガラスが目に入り、激痛が走る。

のたうち回りながら、治癒魔法を体にかけつつ棺から這い出ようとするができない。


なんとか治癒魔法をかけて体を回復させようとするが、魔力が足りない。

おかしいな。魔力だらけの研究所で魔法が使えないなんて。

いくら規制がかかっているとはいえ、治癒魔法に規制はなかったはず。


しかたないから、体を小さくしよう。

そうすれば全身の治癒ができる。

余分な分は捨てて。

というか頭や体の中心部を除いた末端も壊死してる。

自分の目やられてる。

これじゃあ真っ暗なはずだ。

アンチエイジングで無事な部分を元に体を再構築しよう。

そうして、無事な部分を集めて体を再構築すると、古い体を破って外に出た。

体の感覚から、生まれた時の赤子と変わらない。

切り捨てた部分の腐った匂いがする。

早く離れよう。


離れると空気が湿っぽい。何やら菓子とは違った甘い空気の味がする。

高級料理葉野菜のサラダを間近で嗅いだような匂いがする。


視界が真っ暗から明るいに変わった。

研究室の天井が割れて、棺が潰されかかっていた。

自分の抜け殻は赤黒く変色した肉の塊となっていた。


視界が悪くてよく見えないが研究室を絨毯のように柔らかや何かが覆っている。


なんとか、研究室を出ようとしたが、赤子同然の体では何もできなかった。

頑丈な錆びた鉄の扉はびくともしない。

イラついて声もちゃんとでず、赤子のように泣いた。

「オギャー、オギャー」

そうして、泣き疲れた。眠い。

眠っても結果わかわらないだろうが、もうそれしかわたしにはなかった。


しかしすぐに起こされた。

硬い何かが、扉に当たる音がする。

削るような音がした。

自分より頭四つ分上の部分が、大人一人が倒れそうなくらい丸い穴が空いた。

「赤ちゃんいたー!ナギム。いたよ!」

その穴からひょっこりと若い女性が顔を出しわたしを見つけて叫んだ。

「わかったから、イザ、叫ぶな、魔獣が来る。とっと赤ちゃん連れてずらかるぞ」

穴の向こうから若い男性の声がする。

「うん!」

女、イザは元気よく応えると有無を言わさず、私を掴み穴から引き摺り出した。

廊下の方は天井の崩落が起きておらず暗い。


二人が持ち込んだであろう火の魔力で灯を灯す燭台のような原始的な照明魔道が、わたしと二人を照らした。

これが両親との出会いとなった。

「なんで、赤ちゃんこんな迷宮にいたのかな」

「さあ、魔獣が連れ込んだか、割れた天井の上からダンシンの奴らが放り込んだんじゃないか。

この子は無事でよかったが。

命拾ったからには最後まで俺たち、責任を持たねえとな」

頭の上では小難しい会話が起こっているが眠くて仕方なかった。暖かいイザの腕に抱かれながらわたしは寝た。




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