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第52話 文化祭(2)

 そして迎える九月二十九日、日曜日。僕と綾乃は先にサツキの高校の正門前で合流していた。外からでもわかる、学校内の異常な熱気。学校全体で準備中なのか、ときおりマイクの声が聞こえてくる。


「なんだかすごいね。人もすごい集まってるし」


 綾乃が周りを見渡しながら言う。まだ開場前だというのに、正門前には多くの人で賑わっている。ざっと見ても、五十人ぐらいはいるんじゃないだろうか。


「ね。サツキの高校、けっこう祭り好きなのかもね」


 などと雑談をしていると、遠くから有城さんが「おーいっ」と手を振るのが見えた。……有城さん、なぜか高校生ものの制服を着ている。


「お待たせーっ。いやいや、やっぱり高校生は活気があるねぇ」


 僕らの近くまで来ると、有城さんは何食わぬ顔でそう言った。制服については何も説明してくれない。


「……あの、有城さん?」


 思わず制服について突っ込もうとすると、有城さんがスッと僕の唇の前に人差し指を置いた。


「アキラくん。余計な詮索をする男はモテないよ?」


 どうやら、制服について触れさせるつもりはないらしい。しかし空気を読まずに綾乃が「有城さん、制服カッコいいですね」と感嘆するように言う。


「ホントォ!? そういうあやのんだって、制服かわいいじゃーん! この間はじっくり見る暇なかったからねぇ~」


 と言いながら、有城さんは綾乃のことを抱きかかえ、頭をスリスリとさすった。


「今日はマユさん仕事だっけ? あぁ~、マユさんの制服もまた見たかったなぁ~」


「いや、片瀬さんが来たとしても、制服は着ないと思いますけど」

 まぁよく分からないけど、女子にとって制服には特別な意味があるんだろう。片瀬さんもそんなことを言ってたし。


 そんなこんな綾乃たちと楽しく話していると、やがて正門が開く。午前十時。文化祭が開催する時刻だ。


「それじゃあ、今日はみんなで思いっきり楽しもっか!」


 心底楽しそうな笑顔で、有城さんはそう言う。綾乃は特に笑いもせずに、小さくコクンっと頷くだけだった。

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