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第38話


その頃とある会社の社長室。


「…む。誰から…?……!コレは。…っ!」

男はすぐに電話をつなぎ…


「開発部長をすぐにここに呼びなさい!!」

“え?あ、は、はい!”


しばらくして開発部長らしき男がやってくる。


「しゃ、社長…なんの御用で…」

ひどく焦った表情だ。

「…あのコトリというプレイヤーについてだ。」

カマをかける。

「あのプレイヤーがなにか…?」

顔色は変えない。

「あのプレイヤーにあれ以来何もしていないと私の目を見て言えるか。」

私は目が少し泳ぐ瞬間を見逃さない。

「…なんのことでしょう。」


「開発部長、今すぐ弁解するなら減給で許してやれるが…クビの方がいいかね?」

「……っ。」

男は社長が証拠は握っているということを勘付く…そして頭を巡らせる誰がチクったのかと。

そんな思考を社長はどうでもいい。

「開発部長…返事は。」

「…………申し訳ありません。やりました。」

社長の眼力に負け、白状する。

そのあとは何をしたか、何を仕掛けたか…詳細を細々と吐かせる。


「……そのプレイヤーからのメールを見せなさい。」

「……はい。…失礼します。」

パソコンを渡し、原因となったメールとやらを引き出す。


「……」


開発部長が送った謝罪文の返し、こちらも悪かったと監督不行き届きだと。次からは加減していくと書いてある。

このプレイヤーがやったことは、自身のスキルを利用し、他のプレイヤーが参戦できないほどの速さで、敵モブを倒して行った。監督不行き届きというのは、そのプレイヤーの戦い方は使役を利用し、自分が操る者たちに命令することで攻撃、防御などを行える。その使役した者たちに敵を倒せと命じてその場にいなかったことを言っているのだろう。その場にいれば、すぐに辞めさせることなど容易いことだからだ。そして、開発部長を含む社員たちが怒りに走ったのは次の言葉…加減だろう。

全力を出せば迷惑がかかるということがわかってからこのプレイヤーは加減をすることを考えたのだろう。

だが、うちの社員は違う方向に考えた。

加減しないと楽しめられないのなら、してやるよ。と。

舐められたと思ったんでしょうな。


「はぁ。なんでこの文章で舐められたと感じるのかね。開発部長には、そのプレイヤーがそのような意図を含んで返したと思ったのか?」

「……ですが!」

「開発部長は思ったのか?」

「………いえ。彼女はそう言った考え方ではないと…」


…む?

「彼女?………まさか個人情報まで見たわけではありませんよね?」

「ち、ちがいます!このプレイヤーは女ですから彼女という言い方で!」

そういえば、開発部長…最近。女にフラれたとか言ってましたけど…まさか。

「まさかとは思いますが…相手が女の人で、自分に逆らう態度を示したから逆ギレしたとかそういうことじゃないですよね?」


ビクッと体を震わせる開発部長。


「………。」


苛立ちが社長の中を渦巻き始めた時。


コンコンコン…

「社長、ゲーム開発部の矢部が話がしたいとこちらに来ていますが…通してもよろしいでしょうか。」


緊張が高まった室内に、秘書の声が響く。


「…矢部?…まあいい、通せ。」


「失礼します。」

「何の用だね。」

「プレイヤー名コトリに挑ませていただく権利をください。」

「……」

何を言い出した…この男は。


「……1プレイヤーに集中することは許さん。」

「お願いします。」

頭を下げる矢部という男。

「ダメだと言っている。」

「彼女を倒したいのです。PKとして。」

「…断る。」

「なぜですか。」

「今言ったはずだ。許さないと。」

「…。」


この男がどうしてそんなにまでこだわるのか…逆に気になるな。

「なぜそこまで彼女を倒したい。お前は他にもプレイヤーを狙い煽って来ただろう。打ち負かされたことがそんなに悔しいか。」


「…はい。悔しかったです。」

ポツリポツリと話し出す。


「自分があの時かなり油断していたこともあります。」


「自分を運良く倒せたプレイヤーもいます。」


「彼らは自分を倒したことを自慢していたり、威張っていたり、掲示板に書き込み賞賛を浴びていた…」


「ですが…」


「彼女は違った。」


「自分を倒したのに、自慢なんてしていないし…」


「威張ってもいなかった。」


「確かに今さっきのことでしたが…」


「掲示板に書き込まれた様子もなし。」


「知り合いにも話した様子はない。」


「他にも…戻って来た自分にまた挑むプレイヤーも数多くいます。」


「なのに…彼女は自分におかえりなさいとまるで家に帰って来たかのように。悪意なんて一切感じられない…純粋な言葉をかけて来た。」


「いつもいつも、また殺してやると挑んでくるのがこなかったせいで、調子が狂い…自分からもう一度挑戦しようとしていた。」


「運営の他の人間から調子に乗っている奴らの情報を得て、依頼されてやっていたのに…」


「自分から殺しに行くことなんてなかったのに…自分から彼女を殺しに行こうとしたんです。」


「……だから、彼女に挑むことを許してください。先に言って許可を得ていないと、また問題として取り上げられると思いお願いに来ました。…お願いいたします!!」


………少し成長した…ということか?

そのプレイヤーによって?

挑むことによって?

……

………


「…考えておこう。許可については明日話す。明日の昼にまた来なさい。」


「…!はい!失礼します!」


彼が出て行ったのを確認し開発部長に向き直る。


「開発部長、彼女には挑戦状を送りつけたと言ったね、それを見せなさい。」

「…は、はいっ!」


…ふむ、5人か。


「5人の名前とプレイヤー名と能力スキルを出しなさい。この中に先ほどの子は入ってるのか?」

「いえ、矢部は入っておりません。最初は入っていたのですが、突然抜け1人でやると言い出したもので…」


1人では無理だろう…だが、情報を集め協力させることについて明日話せば大丈夫だな。


「開発部長、君の処罰についても明日話す。先ほどの子と一緒に明日来なさい。」

「…っ!…畏まりました。」

「下がっていいぞ。」

「失礼します…。」


開発部長を帰らせ、メールを打つ。

彼女に向けて、お願いだ。

社員育成にご協力を…と。

さあ、どう返ってくる?



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