第31話
『なんじゃ…主らか。』
可哀想に、問題児のガイさんは上半身椅子にくくりつけられて固定されてました。
「えと、何故そんなことになってんですか?」
『ガイさんまた逃げ出そうとしたんですよ!団員だった木工職人達はもう普段の生活に戻ってるっていうのに。まったく。』
プンスカと怒っているマーヤの発言に驚くことひとつ。
「え?彼ら木工職人だったんですか?…じゃ、ガイさんも…」
『ええ、ガイさんは大樹様の守り手であり、祭りの柱とも言われる存在なのです!』
またわからない言葉が出てきた。
「祭りとは?」
『コトリ様はご存知ありませんでしたか。この村以外にも近くにムラがいくつかありまして、その村と合同で大きな祭りを近々やるのです。祭りの内容は各村の中で中央に位置するこの村に集まり、各大樹様へ感謝の言葉の意を伝えることと、賑やかな雰囲気と笑顔を奉納するのです!厄払いの意味もあるんですよ!』
ほへー。そんなこともやるんだ。
「で、その肝心の柱さんはなんで、ボイコットしてるんですか?」
『フンッ』
『さっきからこの調子で隙あらば逃げ出そうとする始末です。』
「……彼と話をさせてください。」
『それなら、私のいる場でお願いします。』
「………わかりました。ではガイさん。」
目だけをこちらに向けるはぶてたおじいさん。
『……。』
「とある者達に、あなたを連れてくるように言われました。」
『……』
『…?誰でしょう?』
「樹霊様と大樹様です。」
『…!』
『なんですとぉ!』
反応あり。
「樹霊様は何故、あなたが来なくなったか心配されてました。」
『……嘘を言うな。樹霊様と話ができるわけがあるまい。』
『…そ、そうです!ガイさんも一時期声が聞こえるとか言ってましたが……』
「なんだ、聞こえるんですか。なら、何故話に行かないのですか?異界人に今依頼で大樹様の枝をひとつとってこい的な依頼が出されていますが、大樹様はあなたにしか渡す気は無いようですよ?」
『…っ!』
『……あ、あの。樹霊様と戦闘したとの報告が昨日あったのですが…まさか。』
「その依頼を受けた私以外の異界人が挑戦し、無理に枝を取ろうとでもしたんでしょう。それで、大樹様の子である樹霊様が怒っているだと思いますよ?」
『あわわわ…どうしましょう!私達が依頼なんか出したせいでっ!』
青ざめ震えだすマーヤさん。
他にもそう言ったクエストについても言っておこう。
「それと、あなた達が邪魔者扱いしているキノコの形をしている植物は樹霊様の子分みたいな者です。なのに、減らそうとしたら余計に怒ると思いますよ?」
プツンと意識が切れたかのように頭から後ろに倒れそうになったところをカイルがなんと支える。
「うおっ。…大丈夫かー?」
『ふみゅ〜〜』
『………お前さん、本当に樹霊様の声が聞こえるのか。』
「えぇ、後ろにいる2人も聞こえてます。」
『………なんて言っておった。』
「ガイさんが急に来なくなって心配だ。会いたい。何故いなくなったのか、来なくなったのか理由を知りたい。話をしたい。ですね。」
『………………儂は意地を張りすぎたのかもしれんな。あいつらまで心配させてしまうとはの。……理由は簡単じゃ。そこに倒れているマーヤ含め、儂以外は木の子たちの声が聞こえん。声が聞こえると言った瞬間皆、儂を見る目が変わった。まるで、イかれた人間を見るような目だった。完全にイかれる前に、後継者をと、何人もの木工職人が儂に弟子入りをしてきた。…儂は、こんな村のために働く価値などあるのかと。思い、森に行くのをやめた。』
「…それおかしくありませんか?」
『…何?』
「村を出て、大樹様のお世話を近くでするならまだしも、何故そこで森に行くのをやめるのです。あなたが傷ついたこと何も知らないまま大樹様と樹霊様はあなたを待っていたんですよ?毎日か週に一回なのかは知りませんが…ずっと心配して待っていたのですよ。」
そんなことを追求すると、ガイさんの目に涙が溜まって行くそして決壊したように、流れ続ける涙。
『そうじゃ……儂は…儂は何をしておるんじゃ…あいつらに謝らねば……話をっ…!』
嗚咽しながら、言葉を紡ぐ。
「じゃ、護衛しますね。」
『うむ…頼むっ。』
まず、椅子に拘束されているガイさんを短剣を使い解放。そして、近くにあった仕込み杖をカイルに止められるが、ガイさんに渡す。
「じゃ、行きますか。」
『……主は…。』
「お祭り楽しみです。早く仲直りしてくださいな。」
『…………ありがとう。』
先に扉を飛び出し、森へと向かうガイさん。
「あ、カイル。マーヤさんをよろしく。」
「えぇ!?俺も行きたいんだけどっ?!」
「じゃ、シャールもよろしく。」
「なんでですかぁ?!」
「これから走るけど、シャール持久力は?」
「…うぐぐっ。」
「俺は?!」
「そこの本当は起きているマーヤさんと一緒に、ガイさんについての誤解を解くの手伝ってあげて。」
ビクッ
『!!』
「起きてんのかい!」
「じゃよろしく。」
ちょっ!と、叫ぶが私は無視して突き進む。ガイさん早いなぁ。
……ふぅ。追いついた。そしてついた。と行っても森の奥にではなくて木の子達の群生地帯だけど。
“ガイダ!”
“カエッテキタ!”
木の子達が騒ぎ始めると、突風が起き、砂埃を巻き上げながら樹霊様が突然と現れる。
“ガイ!!!”
樹霊様が怒鳴るようにガイさんを捕まえ。ガイさんの肩をガックンガックンと揺さぶる。
『ふおっ?!』
「わぁ(棒)」
『見てないでっ止めっ…うっぷ。』
だって…面白いんですもん。
「樹霊様、それじゃ、話ができないよ。」
“…ハッ!ゴメンヨー!大丈夫〜?”
『……吐く。』
“ワァ!!マッテマッテ!癒セ!”
樹霊様がガイさんの背中を撫でながら言うと青く光る胞子が樹霊様の傘から出てきてガイさんを包み込み、一瞬ぼんやりと光って何事もなかったように消える。
“ドウ〜〜?”
『助かった。…それと悪かった。来なくて。』
“ソウダヨ!ソレニ、コトリガ来テクレナカッタラ自分ココニイナイカモシレナカッタンダヨッ!守リ手ナラチャント守ッテ!”
『っっ!!本当にすまなかった!!悪かったぁー!!!』
“ナ、泣クノハズルイ!…自分ダッテ、大樹様ダッテズットズット心配ジデェ〜〜!!”
2人とも号泣です。お互いに抱き合いながら泣いてます。泣くとスッキリするよ。泣きたい時は泣けばいいんだよ。
しばらく、2人をその場に座って落ち着くまで眺めていると、大きな葉っぱが私の前に飛んできて宙に浮いた状態で止まった。
…?何か書いてある。
【ガイヲ、我ガ前ニ、連レテキテオクレ…異界の旅人ヨ。】
これは…
「ガイさん、樹霊様、なんか来たんだけど。これってさ…」
“『大樹様!!』”
ですよね!
急いで行かなければ!
と2人…いや、1人と一体?が立ち上がって大樹様のところに走る。
守り手だからなのかはわからないけど。ガイさん、早すぎませんか…。
「はあっはぁっ…」
さすがに疲れたっ。
“コトリ!早ク!早ク!”
『主にも大樹様からお礼の品があるぞ!』
これ以上走ったら体力が削れ出すので早足で向かう。そして下を見ていたので気づかなかったが、大樹様が白く輝いている。
“…通訳スルヨ!ンン…マズ、ガイ。今ノソナタニコレヲ託セバ今回ノ祭リハ今マデヨリモ最高ノモノトナルダロウ!頼ムゾ!”
『勿論ですとも!大樹様に恥をかかせるわけには行きません!!頑張ります!』
“ソシテ、異界ノ旅人。コトリヨ…ソナタニモ我ノ枝渡ソウ。是非共有効活用シテクレ。”
ーー大樹様の枝を手に入れました。ーー
ーークエスト2件のクリアを確認しました。ーー
ーー報酬IP合計、20000が贈呈されます。ーー
ーーイベント称号 大樹の友を取得しました。ーー
2件?3件あったような…あ、アレか。
「あの、木の子達が最近増えて来たと聞いたのですが何故でしょう?」
『それは祭が近いから、よその木の子が集まって来ただけじゃ。祭が終われば眠りにつくいて、地面に潜るわい。』
ありゃそうなのか。
ーークエスト1件のクリアを確認しました。ーー
ーー報酬IP10000が贈呈されます。ーー
ーークランランキングにランクインしました。ーー
ーー発展ランキング(白の村)にランクインしました。ーー
なんかランクインした。
発展ランキングもまだ白の村の中だけだねぇ。統計したランキングとかもあるのかなぁ。
ナイト達の出番も少なかったし…魔物退治でもしようかな。そうだ、猿たちも森だから自由行動させてみようかな。猿限定だけど。他の子達は迷子になりそうだから草原フィールドにしよう。
『主、これからどうするんじゃ?』
「狩りにでも行こうかと。」
“ソーダネ!祭ノ騒ギヲ聞キツケテ魔物ガ一杯クルダロウカラ!気ヲツケテネ!”
ほほぅ。ポイント稼ぎにちょうどいいね。
猿たちにも武器持たせてみようかな。何がいいだろう?
「うん、気をつけるよ。…もし疲れたらここに来て休んでもいい?」
“モチロン!大歓迎サ!”
大樹様ってなんかマイナスイオン出てるんじゃないかな。適度な涼しさがあるんだよね。
あとで寄りかかって休憩させてもらおう。
『主、悪いが大樹様の枝を運ぶのに人手を呼んでくれるか?攻撃の値が100超えとるものが3人ほど欲しい。』
ーークエスト 運び手を呼ぶを受理しますか?ーー
ん?まあ一応受理するけど呼ぶのは1人でいいよね。
「ガイさん、つまり攻撃が300超えてたらいいんだよね?」
『む?そうじゃが…』
なら…
「ヴァイス、手伝って。」
キュウゥ!
丸太のように大きな枝を先の方だけ持ち上げる。先は持ち上がるが全部ではない。手伝うか。
「よいしょっ。ナイト達、私手が離せないから各自で判断して護衛しなさい。」
ピシッと敬礼をして周りを囲むように護衛を始める。
「ガイさん行かないんですか?」
『主…本物の手練れだったとは…龍まで従えとるではないか…』
“ワァ!スゴーイ!コトリハ強インダネ!”
ガイさんをなんとか動かして村へと帰る。
帰ると、村人全員がいると思えるぐらいが村の入り口のところに集まっていた。
『あ!帰ってきた!』
『ガイさん!』
『すまねぇ。弟子入りした身なのに、信じてなくて…』
『ガイさん悪かった…』
『……なんのことじゃ。分からんの。わしもボケてきたかの。』
泣くの堪えきれてないぞー。目頭に止まってた涙も溢れてるぞー。
ガイさんの応えを聞いて皆んながわいわいと笑いわいわいと楽しそうな雰囲気に戻っていく。
『全部この子のおかげじゃ!大樹様の枝も持ってきてくれたんじゃぞ!』
わぁ!と歓声が広がり、持つのを代わると声をかけてきたおじさん達10人くらい?に枝は任せ、見知らぬ大人や子供達にありがとうを言いまくられたりとしばし揉みくちゃにされた。
なんとか解放されたと思ったら、今度はシャールとカイルそして、サタンさんのクランが詰め寄ってきた。
「最初に言っておきます。一気に喋らないでくださいよ?!」
前置きをしたのに関わらず、私は捕まり、いろんな人に言い寄られ…疲れ果てた…
親睦会じゃなかったのか…コレ。
休ませてください。




